たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

積立NISAと特定口座のメリットデメリットを踏まえた提案

 積立NISAで広がる投資の選択肢

 積立NISAが2018年1月1日から始まります。20年に及ぶ無税の積立期間ということで、長期投資を活性化する制度であることは間違いありません。従前の手数料ばかり高い投信を門前払いし、厳選した投信のみが対象になります。

 

 そのため、投資歴の浅い人やこれから投資を始めようとする人も、商品を比較的安心して選びやすい制度ということになるでしょう。実質的に高品質な米国ETFが今のままだと買えないなど問題はありつつも、日本の投資環境を変える制度になる可能性が高いです。

 

 さて、今回はその積立NISAに関わるご質問をいただいていますので、ここに紹介します。

積立NISAと特定口座のメリットデメリット

NISAデビューの初心者さんより

 はじめまして。いつもブログを拝見しております。投資歴が無い私にとって毎日目から鱗の情報ばかりです。実がある実戦的な情報をお教え頂きありがとうございます。

 

 さて本日は質問させて頂きたくご連絡致しました。それはNISA口座に関することです。現在NISA口座を開設しており当初は先進国株式の投信にて運用しようと考えていました。

 

 しかし、貴ブログを拝見し自身で他にも情報を収集するにつれ長期投資に向く米国株・ETFにてNISA口座を運用したいと思うようになりました。

 

 ここからが質問です。来年から「積立NISA」が始まる様ですが、現時点でのNISA口座を使用し米国ETF(もしくは個別株)を積み立てるのは長期投資として正解でしょうか。(私自身は来年現行NISAから積立NISAへと移行する予定です。)


 それとも最初からNISA口座を使用せず特定口座で買い付けていく方が先々のメリットは大きいでしょうか。これは積立NISA制度がまだ詳細がはっきりしていないため、回答しにくいところかもしれません。

 

 もしお答え頂けるようであれば近くに開催されるであろう金融庁主催の説明会以後でもけっこうですのでご回答頂ければ幸いです。参考までに私の状況ですが、20代後半で総資産は200-300万ほどあります。

 

 その内リスク資産に回せる金額は現在100万円ほどです。ここから月々8万円ほどの予算で投信や米国ETFに積み立てていきたいと考えています。

 

 質問が要領を得ず申し訳ありません。もしご回答頂けるのであればブログ・メール等何でもけっこうです。ぜひよろしくお願いいたします。

月々8万円という投資額から考えられる投資方法

 月々8万円の投資ですから、年間にすると12×8、96万円ぶんの投資ができるということになります。仰るように投資初心者ということであれば、金融庁が勧めている投資初心者向けの路線に乗り切ってしまうという方法もあります。

積立NISAと確定拠出年金iDeCoを活用する例

 まず、積立NISAで月3万円ちょっと積み立てます。年間で40万になるようにします。

 

 同時にiDeCoで月々2.3万円積み立てます。年間で27.6万円になります。これは企業年金に加入していない場合です。企業年金に加入していると公務員などと同じく月に1.2万円、年間14.4万円が上限です。ここでは加入していないものとして考えます。

 

 積立NISAと確定拠出年金iDeCoを組み合わせると年間67.6万円積み立てられます。残りはおよそ30万円になります。この30万円を特定口座で運用します。

 

 具体的な商品例ですが、

  • たわらノーロード先進国株式
  • DCニッセイ外国株式インデックス
  • 大和-iFree NYダウ・インデックス(S&P500連動なら言うことなし。NYダウ連動です。北米対象はまだ少ないです)

 こういったものになります。他にもありますが、その時の経費率が最安なものをサックリ選べばよいでしょう。他にもeMAXIS Slim 先進国株式インデックスはidecoあるいは積立NISA対応されれば魅力になります。現状は取り扱いがありませんが、著名ですので情報までです。

 

 たわらノーロード先進国株式、DCニッセイ外国株式インデックス、どちらにしようかと時間をじっくり割いて考えるのはあまり意味がありません。というのも、連動先の指数、ベンチマークが同じだからです。

 

 わずかな手数料の違いはありますが、ほとんどドングリの背比べです。ほんの0コンマの%ですから、運用額を考えれば無視して良いでしょう。

 

 たわらノーロード先進国株式、DCニッセイ外国株式インデックス、この2つの投信はMSCIコクサイ インデックスに連動します。これは、日本以外の先進国株の株価指数です。これに対しiFree NYダウ・インデックスはNYダウ連動です。私ならばS&P500連動の投信が出るまでのつなぎにNYダウ連動を選びます。

 

 のこりの30万を、米国ETFに振っていけばよいと思います。米国ETFに投資をする中で、自分の適正も分かります。

 

 適正というのは、相場と向き合うのが好きかどうかということですね。それと、この2つの制度は税制上非常なメリットがありますから、この枠を使い切るというのは良い選択だと考えます。特に20代であれば投資期間が長く、時間のメリットがありますからより有利です。

米国株ETFを活用する例

 積立NISAと確定拠出年金iDeCoを活用する場合の欠点は2つあります。

  1. 相場が好きな人には物足りない
  2. MSCIコクサイ インデックスが微妙

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相場が好きな人には物足りない

 相場が好きな人にとっては、積立は物足りません。淡々と自動で積み立てていくだけだからです。これは便利な反面、退屈です。長期投資というのは私のような個別株中心の投資家でさえ暇ですから、積立ならばさらにそうでしょう。

 

 また、買える商品が限られます。積立NISAは条件上ほとんど投信しか買えません。自分は相場が好きで、研究も深めたいというならば、最初から米国株ETFを現行NISAや特定口座で買ってしまうという手もあります。完全に適正によります。

MSCIコクサイ インデックスが微妙

 また、これも好き好きですが、MSCIコクサイ インデックスは先進国株式から日本を除外した、日本人向けの指数です。私は個人的にはあまり好きな指数ではありません。ただ、国と地域の分散がきくので人によっては好きな指数という人もいます。

 

 先進国は日本に限らずどこも低成長です。例外的にアメリカやオーストラリアが成長しています。税制的にはイギリスも魅力です。それを踏まえ、アメリカやオーストラリア、イギリスに傾斜投資しようということができません。つまり、低成長の先進国を取り込んでしまっている指数ということです。

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※グーグルファイナンスから。S&P500ETFのSPYとMSCIコクサイ インデックスTOKの比較チャート。2011年以降の乖離が大きくなっています。

 

 ですから、現行NISAや特定口座で米国株ETFや個別株を買うという手もあります。ただ、自分で投資先を調べるという手間がかかりますから、自分の適性を見極めてからということになりますね。

 

 ズバリ言いますと、特定口座で個別に米国株ETFを買うデメリットは税金と手間です。ただ、その手間は投資好きにとっては魅力の1つになります。投資に取り組み、自分の適性が分かってからまた振り返ってみるというのもアリですね。

 

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