世界で最も最も生活費のかかる都市は「シンガポール」
スイスのプライベートバンク、ジュリアス・ベア銀行が2023年にリリースした”Global Wealth and Lifestyle Report”による「贅沢ライフ都市ランキング」をご紹介します。
“The Lifestyle Index” は、富裕層による12の消費財と8つのサービスへの支出に基づいています。調査は25の主要都市で実施されています。チリのサンチアゴが2023年版に追加されました。
2022年11月から2023年3月までの間、ブランド所有のブティック、ウェブサイト、または認定ベンダーからデータを収集した時点での価格に基づいています。価格にはすべての税金と付随費用が含まれており、現地通貨から米ドルに換算されています。
調査対象はある程度規格化されています。
例えば、コースディナーは各都市の上位2つのレストランの価格が使われます。可能であれば、ミシュランの3つ星を獲得したレストラン、または世界のベストレストラン50のレストランにランキングされたレストランを採用します。
航空券はスターアライアンス加盟航空会社のビジネスクラス運賃が使われます。インデックスのウエイトは居住用不動産が20%、自家用車が10%で、残りは適宜割り振られています。
出典:Global Wealth and Lifestyle Report 2023
世界の生活費のかかる都市ランキングTop10の変遷
ではランキングを確認します。
出典:Global Wealth and Lifestyle Report 2023
2年連続1位だった上海を抑えて2023年に1位になったのはシンガポールです。レポートはシンガポールに関して、
- 投資家と外国人居住者の両方にとって優れたリージョナル・ハブとしての地位を確立している。
- 政府は魅力的な住環境を作るために努力しており、富裕層は注目しているが、一方で地元の消費者が現在直面している価格に反映されている。
- シンガポールが1位になった要因は、宿泊施設の需要が高く、学校の場所が貴重なこと
と言及しています。
2位になった上海については、為替について言及されています。人民元が2022年後半の安値から上昇したものの、近年の米ドルに対するほど強くはないことが、インデックス算出におけるプライスを変化させたようです。
3位の香港を含めて、Top3をアジアの都市が占めました。
2022年はTop10圏外だったニューヨークが2023年は5位にランキングされています。ドル高が大きな要因です。
また、景気がパンデミックからゆっくりと回復した後、現在は大幅に回復しており、ニューヨークは仕事と遊びの両方の主要な目的地と説明されています。
ロンドンは2位から4位にランクダウンしました。イギリスポンドのパフォーマンスが要因です。またブレグジットとその後の混乱は英国の評判にダメージを与え、経済的混乱を引き起こし続けていると説明しています。
また、かつては優れたガバナンスと安定性のモデルと見なされていたロンドンは、現在、ドバイやシンガポールなどの急成長する金融センターとの激しい競争に直面しているという記述もありました。
順位を上げたドバイにも触れられています。順位を7つ上げて第7位となりました。
中東に拠点を求める企業や起業家が頼る場所となり、外国人に人気があります。最近では、多数の裕福な個人の移転が見られ、不動産価格と需要に影響を与えています。
ブラジルのサンパウロは、南アメリカ大陸の国で初めてTop10入りしました。
日本についても記述があります。東京は2022年の8位から2023年は15位にランクされました。とはいえ、円ベースでは、「1つの項目(高級レストラン-2%)を除くすべての品目で上昇しており、日本の価格は2022年に過去40年間で最速の速度で上昇したといわれている」と説明されています。
それでも、ドル高が効いて、国際価格では「安い国」になってしまっています。
世界の都市におけるモノやサービスの価格の変化
調査対象となったモノやサービスの変化も興味深いです。
出典:Global Wealth and Lifestyle Report 2023
ウィスキーとワインが航空券とホテル料金と同様に価格が上昇しています。航空券とホテルについてはパンデミック明けというわかりやすい理由がありますね。
ウィスキーとワインについては「ハイエンドなものは供給が少なく、希少価値があり、コレクション目的や投資、投機の対象になっている」と説明されています。
富裕層にスポットを当てた調査として興味深いと思い、取り上げてみました。読者のみなさんの感想はいかがでしょうか?実感が伴う、伴わない、いろいろありそうですね。
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