ブランド価値をつくる要素と定義
ロンドンに本拠地を置くブランディング専門会社Interbrandは2000年から毎年グローバルのブランド価値評価ランキングである”Best Global Brands“を発表しています。
2021年度版は10月に発表されました。
このランキングはグローバルに事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキングしています。
評価対象になる企業の条件は以下のとおりです。
- 少なくとも30%の売り上げを自国・地域以外から得ている
- アジア、ヨーロッパ、北米、新興国で著しい知名度がある
- ブランド価値を評価するための財務情報が公表されている
- ブランドの資本コストを考慮した経済的利益が長期的にプラスであること
- 世界のメジャーな国々で、認知されている
- ブランド力スコア(購買決定要因)が50以上である
ブランド力の評価は以下の3点に重きを置いています。
- ブランドの財務実績
- 購入意思決定におけるブランドの役割
- ブランドの競争力
また、Brand Strength Factors(ブランド力を表す要素)として、以下の要素が定義されています。
社内要素
- Leadership
- Direction(志向力)
- Alignment(結束力)
- Empathy(共感力)
- Agility(俊敏力)
社外要素
- Engagement
- Distinctiveness(独自性)
- Coherence(整合性)
- Participation(共創性)
Relevance
- Presence(存在感)
- Trust(信頼感)
- Affinity(愛着度)
出典:Interbrand website
このような観点から評価したブランド価値が高い上位100社のうち、上位20社は以下のとおりです。
世界のブランド価値ランキング【2022年】
出典:Interbrand website
上位10社の顔触れは前年と変化がありませんでした。アップル、アマゾン、マイクロソフトなど、おなじみの名前が多いですが、異色は5位のサムスンでしょうか。
7位のトヨタより上にランクされていますが、実は株式の時価総額もサムスン電子がトヨタ自動車を上回っています。また、自動車より電子デバイスの方が消費者により浸透しているであろうと考えると、ランキングの結果は不思議ではありません。
上位5社は前年比でブランド価値を20%程度増やしており、コロナ禍でもブランド力を伸ばしていることが特徴です。
レポートでは14位のテスラにも触れています。ブランド価値が前年比で2.8倍になり、ランキングも40位から大きく上昇しました。テスラのブランド価値は株価と同じような動きをしたわけです。
加えてセールスフォース・ドットコム(2020:58位→2021:38位)、ペイパル(2020:60位→2021:42位)も大きく順位を上げた企業として言及されています。
2021年はSephora(100 位)が初めてランクインしました。これにより、LVMH グループは、Louis Vuitton(13 位)、Dior(77位)、Tiffany&Co(92位)、Hennessy(95位)と合わせて100位以内に5つのブランドを有する最大のグループとなりました。
とはいえ、上位には米国企業が多いです。ブランド力は企業価値に直結するものとしてとらえられているようで、株式市場とプラスの相関を見出せそうなランキングです。
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こちらは製薬企業のランキングとなっています。
広い意味でのフィンテック系、BNPLですね。
中国のネット関連企業にとって2021年は厳しい1年でした。