たぱぞうの米国株投資

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ロシア債券というハイリスク投資

ロシア国債を始めとする新興国債券というリスク投資

 新興国経済に揺らぎの見られる昨今です。トルコリラの暴落は記憶に新しいところです。しかし、トルコリラに限らず、新興国通貨は全体的に弱含みです。 

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 こちらはロシア・ルーブル対円チャートです。実に2014年のクリミア・セヴァストポリの編入以来全く冴えません。すでにこの水準が定着した感があります。これは、編入以後の経済制裁が影響しています。そのため、原油価格が上昇してもルーブルは強くありません。

 

 また、ロシア株式も弱く、この数年は万年低PERの名を欲しいままにしています。国別のPERは参考指標にはなります。しかし、これはあくまで参考であり、買えない銘柄、買えない国はいつまでもパフォーマンスが低調で報われないことがあります。PERが万能ではない、その良い例になっています。 

 

 加えて、米国における金利上昇というのはじわじわと世界経済に影響を及ぼしています。最初に影響を受けるのが信用の弱い新興国ということですね。

 

 この流れはいつか来た道であり、コントロールできない状態になると、いずれEUや日本などの先進国に波及し、最後には米国となります。

 

 そういう意味では、今のFRBの金利政策は少なくとも米国目線では非常にコントロールされた状態であり、無理のない理想的な展開とも言えます。

 

 私たち投資家としては、過度なポジションを控えつつ、リスク管理をした投資をしていくということになるでしょう。

 

 さて、今回は新興国債券の中でもロシア債券投資と言う、リスクが高めの投資に関してのご質問です。

ロシア10年国債を買いましたが、含み損が拡大しています。

こんにちは。突然失礼します。


 たぱぞう先生に相談があり、今回問い合わせさせていただきました。よろしくお願いします。


 私は、知り合いのススメもあり、2017年8月より、ロシアの10年国債を購入しました。満期は2027年です。


 しかし、昨今のトルコリラ危機やロシアとの貿易摩擦もあり、ルーブル安と評価金額もどんどんさがり、含み損が拡大していっています。


 いま、とんでもない後悔がこみあげてきています。当方、国債の仕組みもよくわかっておりません。また為替のリスクや手数料など特に考えないまま購入してしましました。

 

今後の国債はそのまま持ち続けたほうがいいのでしょうか。
満期まで保有すれば、元本は帰ってくるのですか?

 

たぱぞう先生、今後のベストな対処法教えていただけますか。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

ロシア国債は、初心者手出し無用のリスク金融商品

 先生ですか。恐れ多いので、「たぱちゃん」ぐらいで大丈夫です(笑)

 

 まず、新興国債券は上級者向けの商品です。理由があります。

  • 為替が信用できない
  • 世界情勢に敏感
  • 高インフレ前提

 こういう側面があるからです。まず、ロシアルーブルですが、トルコリラの例を挙げるまでも無く、やはり下落傾向です。この傾向は米国利上げが落ち着くまで続くとみるのが妥当です。

 

 また、ロシアの場合はこういった事情のみならず、資源価格の影響も受けます。人口減少国であり、国内市場の活況は見通しにくいです。また、国の経済が原油を始めとする資源に大きく依存しています。そのため、資源価格の上下動に大きく振り回されます。

 

 また、恒常的な高インフレ、金利高は新興国に共通しています。かつての日本がそうだったように、銀行金利で7%、8%、場合によっては10%以上つくのは新興国では珍しいことではありません。高金利は高インフレに対する担保に過ぎず、実質的な利回りというのはリスクに見合ったものでしかないというのは知っておいたほうがいいでしょう。

 

 そういう意味では、よほどの確信が無いと、たちまち不安を覚える状況に置かれがちです。米国債などとは全く違う性質だということです。バランスファンドなどでも新興国債を含みますが、必ずと言って良いぐらいに分散をしているのはそういうことです。

 

 

 現在、明らかに新興国債券、あるいは新興国株式は低パフォーマンスのフェーズです。逆に、だからあえて仕込むという発想も無くはありません。ただし、これはあくまで場がある程度読めて、経験ある人向けのうねり取り要素の強い投資になります。ストレスはつきものです。

 

 自分が投資に何を求めるのか。安定とそれから得られる安心を求めるのならば手出し無用となります。ご質問ありがとうございました。

 

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  話題のロシア債券に関しての記事です。こちらの方は、かなり大きく張っています。在住の方であり、ご経験もおありということでリスクも承知の上ですね。

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  こちらは外貨建ての社債に関しての記事です。やはり利回りとリスクはある程度の相関関係にあります。利上げ局面にあっては債券は利回り上昇、価格は下落という傾向にあります。それは社債も同じですね。

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  債券ETFは株式ETFに比べて値動きが乏しい、ボラティリティが低いという特徴があります。リターンも低めですね。その分、特に短期債はディフェンシブな強みがあります。ただし、投資に100%はありませんね。

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