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バビロンの大富豪こそ金融教育にふさわしい

バビロンの大富豪は勤労の価値を説く異色の投資本

  以前、米国株ブロガーによるおすすめの投資本を紹介したときに、「バビロンの大富豪」がブクマやコメントで推薦されていました。

 

 ランダムポテトさんやmizore_chanさんのご推薦です。

私は、「バビロンの大富豪 」を推したいですね。
様々な投資本の上位概念に位置づけられる内容だと思います。

投資だけでなく、働く喜びについても気付かされます。社会に出る前から読んでおきたい本だと思います。 

  この頂いたコメントが非常に気になっており、さっそく買って読みました。

 

 著者は出版社の社長であった作家のジョージ・S・クレイソン氏です。1926年から古代都市バビロンを舞台にした寓話をパンフレットの形で発行していました。大変な反響があり、それをまとめたのが本書です。実に今から約90年前に書かれた内容です。

 

 今まで取り上げてきた書籍の中でもずば抜けて古いです。しかし、その主張はシンプルで色あせることはありません。まさに時代を超えて読み継がれてきた名著と言って良いでしょう。

バビロンの大富豪の主張は単純明快

 バビロンの大富豪の優れているところは、主張が単純明快で分かりやすいことです。

  1. 稼いだものは全て1/10をとっておく。
  2. 自分の欲求と必要経費とを混同すべからず
  3. 貯めた資金は寝かさずに増やすべし
  4. 元本を確保すべし
  5. 自分の住まいを持つこと
  6. 将来に備えて相応の所得を用意しておくこと
  7. 強く、明確な望みを持つべし

 この主張を、バビロン古代都市を舞台に描きます。これが読み応えがあり、情景が浮かぶようです。大学生はもちろん、高校生、あるいは中学生ぐらいでも読みこなせるのではないでしょうか。

 

 物語形式の投資本は異色と言ってよく、投資というと専門用語が飛び交うイメージですが、本書では一切専門用語は出てきません。気軽に物語として読めます。

バビロンの大富豪、章見出しと簡単なまとめ

プロローグ「こんなに働いているのに、どうしてお金が貯まらないのだろう」戦車職人バンシアの素朴な疑問

 朝から晩まで戦車づくりをする職人のバンシア。働けど働けどお金が貯まらないので、友人に相談します。そこで、バビロンを代表する富豪のアルカドの存在を知ります。バンシアは、お金を貯め、増やす方法を大富豪アルカドに聞きに行く決意をします。

第一話「財産を築くには不滅の原則があった」富豪の金貸しアルガミシュの忘れ得ぬ言葉

 大富豪アルカドに富の真実を授けたのがアルガミシュでした。そのアルガミシュの主張、「稼いだものは、すべてその一部を自分のものとして取っておく」はアルガミシュからアルカド、アルカドからバビロンの人々へと伝えられ、伝承されていきます。

第二話「富をもたらす黄金の『七つの知恵とは』大富豪アルカドの価値ある講義

 「稼いだものは、すべてその一部を自分のものとして取っておく」こと、つまり稼ぎの1割を必ず取っておくということです。そして、その1割を適切な投資に回すことを説いています。適切でない投資はリターンが無いばかりか、元本を棄損することもあります。

第三話「幸運の女神」が微笑む人間とは」大富豪アルカドと受講者たちの白熱の議論

 誰にでも長い人生で何回かの幸運の女神が訪れます。そのときに優柔不断にチャンスを逃すと幸運の女神は去ってしまいます。チャンスが訪れたときにリスクを取り、挑戦することで幸運の女神が微笑むという主張です。

第四話「金貨の袋か、『知恵の言葉』が刻まれた粘土板か」大富豪アルカドの息子ノマシアの過酷な試練

 目先の利益、実利は大切です。しかし、それを適切に運用する知恵が無ければ、それはたちまち消え去ってしまいます。富の知恵を正しく身に付け、富の真実を知ることで、お金を増やすことができると説きます。富の知恵とは何よりも大切な無形資産ということです。

第五話「自ら稼いだ資金の運用は、こうして決める」富豪の金貸しメイソンの忌憚なき忠言

 槍職人ロダンが国王から得た金貨50枚。その使用法を金貸しメイソンに聞きに行きます。担保の考え方、運用の考え方を、金貸しメイソンは具体物を用いて槍職人ロダンに説明します。慎重であることが大きな後悔から身を救う、けだし名言と言って良いでしょう。

第六話「『強固な城壁』は、人々を恐怖や不安から守ってくれる」老戦士バンザルの確固たる自信

 古代都市バビロンは何度も近隣諸国に包囲されましたが、そのたびに分厚く高い堅牢な城壁が市民を守ってくれました。「保険」「貯蓄」「信頼できる投資」は私たちの生活を城壁のごとく守ってくれるものであると説きます。

第七話「奴隷に成り下がっても、『人間としての誇り』を忘れなかった男」元奴隷、富豪の駱駝商人ダバシアの数奇な体験

 借金によりダバシアはバビロンを追われ、シリアで奴隷になります。そこで「自分の魂は奴隷のものか、自由人のものか。」と魂のあり方を問われます。不屈の決意で奴隷生活から脱出し、バビロンに戻って借金返済を始めます。「決意あるところ、道は開ける」ということを説きます。

第八話「『バビロンの知恵』は現代にも通用するか」出土した粘土板が伝える貴重な記録

 バビロンでの富の知恵を書いた粘土板が発掘され、現代において経済的に困窮するあるイギリスの考古学者の生活に生かされます。バビロンで説かれた富の知恵はいつの時代でも生かされる内容であり、場所や時代を問わない不変の真理であると説きます。

第九話「幸福ーそれは『労働の喜び』を知ること」元奴隷、富豪の大聖人シャルゥ・ナダの愛ある教え

 元奴隷であり、バビロン一の大聖人であるシャルゥ・ナダはかつての商売上のパートナーの孫を預かります。浪費が激しく、簡単にお金を得ようとする友人の孫に、祖父の話を聞かせます。奴隷から逃れることができたのは、勤労とその良い作用そのものであったと説きます。

「自尊心ある人間が守るべきこと」とは何か。

 「自尊心ある人間が守るべきこと」として以下の内容が記されています。

  • 借金は能力の及ぶ限り、なるべく早く返すこと。
  • 支払い能力を超える買い物はしないこと。
  • 家族の面倒を見て、家族から慕われ、尊敬されるよう努めること。
  • 遺言書をきちんと作っておくこと。神に召されたとき、その遺産配分は、適切で、名誉を重んじる形でなされるようにしておくこと。
  • 親しい人には思いやりのある態度で接すること。運命の巡りが悪く、傷ついたり打ちのめされたりした人へ同情を寄せ、無理のない範囲で援助すること。

  

 金融教育の基礎とはこういうことであり、バビロンの大富豪の言うところの

「『財布の中身がいつも空』という病は、我慢するより治すほうがやさしい。」

 という言葉の意味が実感されます。

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