誰でもカンタンに始められて、お金がしっかり増えていく3000円投資生活とは
この本は非常に売れています。アマゾンの「一般・投資読み物 の 売れ筋ランキング」で1位を何週にもわたって獲得しています。まさに「誰でもできる投資」分野でのベストセラーと言って良いでしょう。
「ランキング1位」とか「みんなが買っている」とか、そういうものに私はだいたい飛びつきます。節操がない、というのは当たっているかもしれません。
読書やブログ、テレビといった情報収集手段はついつい自分の価値観に沿った内容ばかり目にしがちです。
読書は自分の興味ある本を、ブログは自分の気に入ったものを読み、テレビはアマゾンプライムで好きそうなジャンルを見て、となると自然に視野狭窄に陥る気がするんですよね。たしかに、好きな分野への知識は深まります。しかし、そうでない分野はまったくひっかかってきません。
それを自覚していますので、いろいろな見方を持つためにも、売れ筋やら高視聴率やらというのは見る価値がある、と思うわけです。
で、本題です。本書は非常にシンプルな主張で好感が持てました。横山光昭氏の主張はズバリ、
「証券口座を開き、月々3000円で投資をスタートし、バランス型の投資信託を買う」
ということです。これは私たちのようにすでに投資が日常になっている人からすると全く当然なことなのですが、そうでない人たちにとっては新鮮なのですよね。まず、ネット証券で口座を持っている人がまだまだ少ないです。
月々3000円投資は分かるでしょうが、「バランス型の投資信託」というのが難しいかもしれませんね。でも、本書を読めばわかります。1商品買うだけで、国内株、海外株、国内債券、海外債券に分散投資が可能な商品です。
横山光昭氏のおすすめバランス型投資信託はなにか
私は山崎元氏もそうですが、このように最適解を示す著者には好感が持てます。示した最適解が正解か不正解かは時代と読者が判断すればよいのですが、少なくとも入門書ならば批判を覚悟で最適解を示すべきだと私は思います。
初心者の読み手には最適解をはっきり書いてもらわないと分からないからです。上級者向けの本はその限りではないでしょう。で、おすすめされているバランス型投資信託はズバリ2つです。
この横山光昭氏は2つをおすすめされています。
世界経済インデックスファンドとはどのような商品か
1の世界経済インデックスファンドはSBI証券やカブドットコム証券などで扱っています。運用会社は三井住友信託系です。
世界経済インデックスファンド|三井住友トラスト・アセットマネジメント
このようなバランスになっています。国内債券と株式が合わせて10%しかありません。この運用方針の良いところは、先進国株式に重点を置いているところです。なにも知らなくても、これに積み立て投資すれば自然とリバランスもしてくれるという優れものです。
申し込み手数料は3.24%です。
信託報酬は0.54%です。
すでに直接ドル転して海外ETFや個別株を購入している人には手数料が引っ掛かるのではないでしょうか。海外ETF、バンガードやブラックロックの商品における信託手数料は0.05%の商品もあります。ざっと10倍違うからです。
しかし、これから始める人が3000円から始める、しかも分散投資をしてくれる、という意味では最高の商品の1つだと思います。
eMAXISバランス(8資産均等型)とはどのような商品か
eMAXISバランス(8資産均等型)は人気商品で日経WOMANのファンド大賞に選ばれていました。2016年3月号に掲載されていました。
「働き女子でも負担を感じずに分散投資できる優れたファンド」という理由でした。たしかにこの商品一本積み立てると分散投資が可能になります。手間は最少です。積み立て投資は銘柄だけでなく時間も分散できるのが魅力です。
個別株・ETFとバランスファンドの違いは言ってみれば、マニュアル車と自動運転車の違いでしょうか。マニュアル車は個別株ですね。燃費もスピードも優れますが、下手したら事故ります。これに対し、自動運転車はハンドルに手を添えるだけ。自分が原因の事故はおきません。
投資割合は以下の通りです。
美しいですね。国内関連が37.5%です。こちらはリートも含んでいます。
申し込み手数料は現在ありません。ノーロードです。
信託報酬は0.54%です。
個人的には投資内容は「世界経済インデックスファンド」のほうが好みです。国内投資の比率が低いからです。手数料の面では「eMAXISバランス(8資産均等型)」がノーロードですから良いです。
今現在では手数料のぶん、後者が有利ですかね。3%は大きすぎますよね。
「はじめての人のための3000円投資生活」のまとめ
3000円という小額投資から入って、投資の間口を広げていくという考えは大賛成です。自分で積み立てれば投資に対するアレルギーも薄れ、そして勉強も自然とし、知識も積みあがってきます。
横山光昭氏の指摘するように、退職金をもらっていきなり運用を始めるのは無理です。それで挫折する人が多いのはお金があっても知識と経験が無いからです。多額投資で経験と知識を得るにはリスクがありすぎます。しかも退職しているのでやり直しがききません。
若く、現役で働いているうちから投資の知識と経験を得て、給与やボーナス、そして退職金を運用するというのが安全です。そしてそれこそが自分年金になるのです。将来的に不十分になることが必至な公的年金を補うことになるでしょう。
そういう意味では、無難なバランスファンドを入り口として多くの人が投資に目を向けるきっかけになりうる本だと思います。
分かりやすさは今までの書籍のなかでも1番です。誰もが読める投資本です。本書を入り口として、投資の間口を広げていくと良いでしょう。
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2016年に読んだ投資本で良かったものです。「はじめての人のための3000円投資生活もランクインしています。