海外投資の方法は1つではない
本書はちょっと毛色の変わった投資本としておもしろいです。
まず、著者は海外証券会社を通した投資について述べています。海外証券会社を通した投資は税金、確定申告が大変手間ですので私は利用していません。しかし、メリットデメリットを知識として知っておくことはよいことだと思います。
このように、しょっぱなからマイノリティな投資方法を教えてくれます。
2009年、リーマンショック後の銀行債券投資
著者はリーマンショック後の2009年に、利回り14.95%の「みずほ銀行」優先出資証券に7000万の借入をして投資をしています。
その胆力は誰もが真似できるものではありません。なぜなら、投資というのは底値でなかなか買えないからです。底値で買えるのは、
- 何も知らない初心者
- 知識と胆力ある上級者
この2者です。
広い意味では著者は逆張り投資家と言えます。みずほ銀行はメガバンクの中でも比較的景気の影響を受けやすいです。財務が他の2行に比べやや弱く、グループ企業の結束も歴史的な流れからして三井住友、三菱とは違うからです。
そこに旨味があるとも言えます。落ちる時が激しく、上がるときも激しい、ボラティリティが高いからです。私も投資をし始めのころの2003年の金融危機時にみずほ株に全力投資をして今の投資資金原資をささやかながら作りました。私の場合は「何も知らない初心者」でした。
著者の玉川陽介氏はリーマンショック時に高利回り債券に投資をします。そこが非凡なところです。普通ならば、リーマンショックの数年後、反転が確認されてからせいぜい株式投資をするぐらいではないでしょうか。
勝てる確信があったのでしょう。
その知識の深さは出色と言って良く、大学時代から不動産や証券に興味を持ち研究してきた造詣の深さが示されているのではないでしょうか。
債券がまだまだ捨てたものではないことを教えてくれる
玉川陽介氏は高利回り債券投資、定期的な利払い商品と不動産を比較対象とします。例えば10%の高利回り債券と10%の不動産のリスクを計算して投資をします。高利回り債券は飛ばなければ安定収入になります。不動産は空室リスクがあります。これを比較してどちらが安全かということです。
今は低金利であり、不動産も騰がって利回りが下がっています。
しかし、経済危機はいつか必ずきます。その時に株か、債券か、不動産か。そして借入をする価値があるのか。経済危機が来た時に考えるのではなく、事前に答えを用意しておいて、その時機を失うことなく的確に投資をするのが勝てる投資家ということになります。
株ブログや株本とはちょっと違った視点での投資が紹介されていますから、一読に値します。