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バンクオブアメリカ【BAC】の銘柄分析。金融危機を乗り越えた米4大銀の1つ

バンクオブアメリカ【BAC】の銘柄分析。商業銀の雄として知られる。

 バンクオブアメリカは米国を代表する4大銀行の1つです。大きな2行の合併で今の地位を確立しています。

 

 1行はネーションズバンクです。1874年に設立されたコマーシャル・ナショナルバンクが後にネーションズバンクになります。

 

 もう1行はバンクアメリカです。1904年に設立されます。元はイタリア移民への貸し出しを中心にしていたので、バンクイタリアと言いました。

 

 1998年に両行は合併しました。その時の業界順位はネーションズ・バンクが3位、バンクオブアメリカが4位でした。ネーションズバンクが吸収合併した形ですが、行名はバンクオブアメリカを残しています。

 

 これに限らず、両行とも合併を繰り返して大きくなりました。その後、リーマンショック前にメリルリンチを500億で吸収合併します。

 

 メリルリンチの財務の痛み方は尋常ではなく、60兆円以上の負債を抱えたリーマンブラザーズほどではないにしろ、単独では存続の難しいレベルでした。

 

 メリルリンチは2007年に80億ドルの赤字を計上し、2008年には220億ドルの赤字を計上します。しかし、そのころにはすでに売却は決定しており、この状況を作ったメリルリンチの前CEOであるスタンレー・オニール氏は1億6000万ドルもの退職金を得ており、当時批判を浴びましたね。

 

 合併後もメリルによるサブプライムローン証券の不正販売による罰金で166億ドルの罰金を被るなど、比較的健全だったバンクオブアメリカの財務の負担になりました。メリルリンチはバンクオブアメリカに日本円にして10兆円近くの負担を負わせたことになります。

 

 ウェルズファーゴは同じ時期に商業銀行であるバンク・オブ・ワコビアを151億ドルで吸収しています。ワコビアも傷んでいましたが、メリルやリーマンほどではありませんから、固い買い物でしたね。

バンク・オブ・アメリカ【BAC】の配当とチャート

バンクオブアメリカ【BAC】の株価チャートと配当

バンクオブアメリカ【BAC】の株価チャートと配当
  • 2006年 株価53ドル 配当0.56ドル
  • 2016年 株価15ドル 配当0.25ドル
  • 2018年 株価30ドル 配当0.39ドル
  • 2020年 株価20ドル 配当0.72ドル

 

 2009年から2014年にかけて0.01ドル配当が続きました。リーマンショック前の2007年には0.64ドルの配当をしていましたから、大減配ということになります。

 

 シティバンクなどと同じく、配当どころか会社の存続にかかわる大ピンチだったわけです。50ドル近辺だった株価は3ドル近辺まで落ちています。その後、するすると上がり、30ドル近くまで回復、コロナショックで再び20ドルを割れています。

 

 株式は金融危機時にかなり発行されました。トータルで3倍近くになっています。既存株主はたまったものではありませんが、株式というのはこういうリスクもあるということを伝えてくれますね。

 

 それでも、金融危機時にナンピンした人は報われたことでしょうね。敢えて火中の栗を拾いに行った人だけが得られるキャピタルです。金融株、シティやバンカメは経営危機もささやかれるほどでしたから、示唆に富む数字の変化をしています。

バンク・オブ・アメリカ【BAC】の基礎データ

 さて、バンクオブアメリカの基礎データを見ていきましょう。

バンク・オブ・アメリカ【BAC】の売上と利益

バンクオブアメリカ【BAC】の売り上げと利益

バンクオブアメリカ【BAC】の売り上げと利益

 売上は横ばいです。というよりも、2010年代前半は不良債権処理でそれどころではなく、どのように経営を立て直すかに腐心していました。その後、ようやく反転の兆しが見えたのが2016年です。純利益率も落ち着いてきましたね。

 

 2000年代の日本のメガバンクがそうだったように、リスクを取りに行った人はそれなりの果実を売ることができたことでしょう。株価は10倍になっています。ちなみに日本のみずほ銀行はピークでおよそ20倍になっています。銀行とリセッションとはそういうことです。

バンク・オブ・アメリカ【BAC】の配当と配当性向

バンクオブアメリカ【BAC】の配当と配当性向

バンクオブアメリカ【BAC】の配当と配当性向

 最近でこそ復配基調ですが、暴落時の金融株というのはボラティリティ狙いの典型で、配当を狙って買うような株ではないですね。それでも増配率でみると急激な上昇といって良いでしょう。

バンク・オブ・アメリカ【BAC】のBPSとEPS

バンクオブアメリカ【BAC】のBPSとEPS

バンクオブアメリカ【BAC】のBPSとEPS

 一株資本(BPS)はギリシアショックぐらいまで下がり続けましたが、回復基調にあります。一株利益(EPS)もそうですね。2009年、2010年とマイナスでしたが、それ以後は立ち直り、2ドル後半のEPSになっていました。 

 

 2020年1~3月決算はJPMやWFCとおなじく貸倒引当金を36億ドル計上、増加させたことによる大幅減益でした。純利益は前年同期比45%減の40億1000万ドル、1株利益は0.40ドルとなっています。また、低金利の長期化や長短金利差の縮小に伴いリテールの純益は5割近い減少になっています。

 

 予断を許さない状態ですが、JPM,WFC,Cなどと同じく銀行はシクリカル銘柄の代表例ですから値動きと決算を見ておくと参考になりますね。

 

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