裕福な国ランキングトップ20【2023】
“Global Finance Magazine”は1987年に創刊されたグローバルビジネスと金融に携わる人々をターゲットとした雑誌です。2002年からはweb版がリリースされています。
このメディアが定義した” Richest Countries in the World 2023”「裕福な国2023」をご紹介します。
各国の経済力の規模を平準化するために、購買力平価(Purchasing Power Parity)を考慮した一人当たりGDPでランキングしています。
まずは、上位20位までをご紹介します。
裕福な国ランキングの上位に来る国はどのような国が多いのか
相対的に小国が、目立ちます。サンマリノ、ルクセンブルク、スイス、シンガポールなど、一部の小さくて非常に豊かな国は、外国投資、専門的な人材、大規模な銀行預金を引き付ける洗練された金融セクターと税制の恩恵を受けています。
カタールやアラブ首長国連邦のような他の国々は、化石燃料などの儲かる天然資源を大量に埋蔵しています。
カジノや多数の観光客も一人当たりGDPに貢献しています。典型例のマカオは、ほぼ3年間の断続的な封鎖とパンデミック関連の旅行制限にもかかわらず、世界で最も裕福な行政区の1つです。
ちなみに日本は38位でした。
裕福な国ランキング、トップ5か国
上位5位について簡単に触れます。
1位はアイルランドです。世界最大の法人タックスヘイブンの1つであり、多国籍企業に利益をもたらしています。2010年代半ば、アップル【AAPL】、アルファベット【GOOGL】、マイクロソフト【MSFT】、メタ【META】、ファイザー【PFE】など、多くの米国の大企業が、先進国で最も魅力的な12.5%の低い法人税率の恩恵を受けるために、財政上の所在地をアイルランドに移しました。
なお、2024年に最低法人税率を世界標準の15%に合わせる予定です。
2位はルクセンブルクです。人口65万人の小国ですが、観光資源が多く、ユーロ圏屈指の生活水準を誇ります。
3位はシンガポールです。小国で天然資源がないため、政策と勤勉さで世界のビジネスハブに成長しました。識字率が非常に高いです。
4位はカタールです。原油と天然ガスが豊富なことで知られています。2022年にはサッカーW杯が開催されました。
5位はマカオです。30平方キロに40以上のカジノがある、「アジアのラスベガス」です。
2020年代に起きた、富める国の変化
COVID-19は各国にロックダウンを余儀なくさせました。その経済的影響は、高賃金の職業を持つ労働者よりも低賃金の労働者に大きな打撃を与えたとレポートは指摘しています。
自宅で快適に働くことができる人々と、職場に出向くことによって健康と安全を危険にさらさなければならない人々との間の新しい種類の不平等も産んだとしています。
そして、産業が完全に閉鎖されたために職を失った人々は、セーフティネットがぜい弱であることにも気づいたとしています。
パンデミックが収まった後は、世界的なインフレの勃興、ロシアのウクライナ侵攻などにより、食料と石油の価格クライシスが起きています。この現象は低所得世帯へのネガティブな影響が大きくなっています。
価格変動が大きく最も上昇する傾向がある基本的な必需品(住宅、食料、エネルギー、輸送)に収入の大部分を費やすことを余儀なくされたためです。
タックスヘイブンと裕福さの相関関係
上位にランキングされた国の多くは、いわゆる「タックスヘイブン(租税回避地)」です。
1位のアイルランドで示した例がわかりやすいでしょう。レポートでは「タックスヘイブンはGDPを人為的に大きくする」とコメントされています。
大企業が最低15%の税率を負担すると決めた世界的な協定は、2021年に130以上の政府によって署名されました。しかしながら多くの立法者や政治家の反対により、まだ実施されていない協定です。
IMFはさらに、2020年代の終わりまでに、世界の外国直接投資フローの約40%が経営戦略的な脱税戦術に起因する可能性があると推定しています。
課税についての国策が、「裕福さ」を左右するファクターになっていることがよくわかります。
衝撃的な法人税制でマレーシアのラブアンなどが以前話題になりました。しかし、それが知れ渡ると、たちまち閉ざされました。まさかの遡及で閉ざされたのは一部で大問題になりましたね。
考えることは同じですが、課税と減税、節税のせめぎ合いは所得の再分配の根幹部分でもあり、担当者にとっては悩ましいところですね。
関連記事です。