NISAの成長投資枠をどのように考え、買っていくか
NISAの成長投資枠は年間240万円もありますね。この枠をどのように活用するか、頭を悩ませる人は少なくありませんね。多くの人はシンプルに、つみたて投資枠と同じように海外投資信託を買うのが楽で、結果も良好でしょう。
しかし一方でうねりを取ってみたり、個別株を買ってみたり、変化を付けたいと思われる方もいらっしゃいますね。今回はNISAの成長投資枠に関してのご質問を紹介します。
NISAの成長投資枠をどのように活用するか迷います。
たぱぞう様
はじめまして。
3年程前から興味のあるテーマを中心に拝見しながら投資の参考にさせて頂いておりましたが、新NISAが開始した中、「成長投資枠」において米国ETFと投資信託のどちらで投資するべきかご相談させて頂きたく、ご連絡差し上げました。
質問事項には直接関係しないため詳しい資産内容は割愛しますが、妻、私ともに新NISAでは年360万円×5年で枠を利用しようと考えており、つみたて枠はVTIベースの投資信託で決まっているのですが、成長投資枠はVTIなどの米国ETFをドル建てで購入するか、つみたて枠と同様に投資信託で購入するか、どちらにするか迷っています。
迷っている理由は主に下記の3点です。
【米国ETFで購入するメリット】
①為替リスクと対象資産の価格変動リスクを切り分けて管理できる(対象となるETFの価格下落時の損切りに対する躊躇いが薄らぐ等)
②長期的に円の通貨としての信任は低下すると考えており、(極端ですが)ハイパーインフレや財政破綻による円の無価値化の可能性を考慮すると、ドル建て資産を保有しておくことは意義があると思っている
【投資信託で購入するメリット】
③NISAの非課税メリットを享受できる(米国ETFの米国内課税10%との比較)、かつ分配金が自動的に再投資されるため、投資枠を消費せずに再投資できる(ETFだと分配金の再投資に新たな投資枠を消費してしまう
妻、私ともに給与所得者でありフローの収入が基本的に円なので、基本的には投資資産は100%外貨建てにしても良い、くらいに考えているのですが、③の影響は結構大きいのではないかと思い、米国ETFでの購入に踏み切るべきか悩んでいます。
なお、現時点で私は約13,000ドル、妻は3,000ドルの米ドル現金またはMMFを持っていますが、成長投資枠の限度額240万には不足するので、途中から円で決済する必要が出てくる見込みです(別途旧NISAや特定口座で保有する米ドル建て資産が私と妻でそれぞれ約75,000ドルあるので、ドル決済するためにこれらを売却して成長投資枠の購入資金にすることもできますが、あまり本質的な解決にはならないように思うので、ここでは考慮しないこととします)。
以前の記事でも米国ETFと投資信託との比較について考察されたものがありましたが、NISAを利用するという前提での内容ではなかったと思われますので、NISA、特に「成長投資枠」という限定的なケースに絞って改めてお考えをお聞きしたいと思う次第です。
上記について、たぱぞう様ならどうするか、また私の誤謬や把握出来ていないデメリットなどがありましたら、それらも併せてご教示頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
つみたて投資枠だからといって、投資の大きな考え方は変わらない
基本的には特定口座、NISA口座に関わらず投資信託とETF、円資産とドル資産の考え方は変わらないですね。
うねりを取りたい、もしくは分配金や貸株金利が欲しいならばETFです。配当再投資の自動化と課税機会を無くしたいならば投資信託です。
個人的にはETFを選好していますが、みなさんには投資信託をお勧めしています。初期設定を済ませればマーケットを無視して購入でき、税金がかからないからです。マーケットに合わせてアセットを変えたり、売買を繰り返したい人がドル、あるいはETFを選好するということですね。
円資産とドル建て資産をどのように使い分けるかですが、これも円資産が基本になります。商品が充実し、指数連動ならば殆ど円で買えるようになったからです。ドルで購入する必要があるのは、個別株やセクターETFぐらいですね。
ただし細かく見ていくとトラッキングの精度はマイナーな指数に関してはまだまだドル建てに及ばないですね。そのため、別建てでドルは持っているという人もいるにはいます。私もそのタイプです。
ちなみに基本はつみたて投資枠も成長投資枠も関係なく、良い指数を買うのが最もシンプルです。上記のように若干エッジを利かせた投資をしたいならば、ドル資産にしてみたり、うねりをとってみたり、そういった選択をすることになります。
しかし、エッジを利かせたからと言ってトータルのリターンが大きくなるわけでもありません。この数年でも、日本株、米株個別株、小型株、いろいろ触って結局インデックスに戻ってきた、そういう投資家さんをチラホラ見聞きします。
しかし、自分の適性はやってみないと分からないのも事実です。成長投資枠でのアクティブな投資を通して投資の方向性を明確にしてみるというのもアリでしょうね。すでに米国の運用の世界でもパッシブがアクティブの運用額を上回っているという時代です。
コアを投資信託のインデックスに据えつつ、いろいろ挑戦されてみるとよいですよ。
関連記事です。