住宅ローンの繰り上げ返済は悪くはないけれども、おすすめはしない
住宅ローンの繰り上げ返済はよく話題になりますね。2010年前後までは利率が高く、借り換えや繰り上げ返済も悪い選択ではありませんでした。
しかし、今は金利が安く、なおかつより良い金融商品がたくさんあります。繰り上げ返済をするならば、他の金融商品の購入に充てたほうが良いケースが多々あります。
もっとも、これも考え方次第ですね。私は繰り上げ返済は考えていませんが、自分のお金の使途は自分で決定していく、これも大事なことです。
さて、今回は住宅ローンの繰り上げ返済ということでご質問を頂戴しています。
住宅ローンの繰り上げ返済を考えているが、どうすべきか
5~6年前から、ブログを拝読させて頂いております。いくつか記事自体をブックマークさせて頂いており、時々、読み返しております。
投資だけでなく、人生観の勉強にもなっており、本当に感謝しております。
私は、1都3県在住の30代後半の会社員で、同年代の妻(主婦)と、3~8歳の3人のこどもがおります。幸い、収入には恵まれており、現在の手取り年収は約4,200万(月約350万)です。今後も減収の可能性は低いと考えられます。
資産運用歴は7年ほどになり、最初のころは、ありがちなFXでの失敗や、途中も仮想通貨に少し夢中になった時期もありましたが、ブログで勉強し、現在はETF・投資信託の積み立て(まだ歴が浅い頃に入ってしまった個人年金や積立利率変動型終身保険も合わせて、月185万ほど)という安定運用に落ち着き、月に1回の資産の見直しの時にしか、運用は振り返らない様になりました。
その方が、家族との時間を大切に出来るようになり、睡眠時間も長くなり、肉体的・精神衛生的にも良く、金額の変動はあるものの、5年ほど前から今の資産運用スタイルになっております。
また、その他で言えば、たぱぞう様はあまりお勧めされておられないかもしれませんが、減価償却などによる節税目的に中古を中心とした区分マンションを23区メインに6物件所有しております。今までは法人化の手続きの面倒臭さが勝っておりましたが、今後は法人化して、家賃の一部を管理してもらう予定もあります。
資産運用に関して具体的な目標があるわけではなく、万が一の時に両親・兄妹を含めた家族が苦労しなければ良いと思って行動してきました。
消費に関しては、例えば車自体はワンボックスカーを所有しておりますが、数千万もする高級車や時計を含めたブランド品には興味はなく、事足りれば十分と言うスタイルです。妻も同様です。
資産についてまとめますと、
- 現金 7,240万
- 米国株 6,770万(VOO 2,500万, VYM 920万, AAPL 1,170万, QQQ, KO, MA, PG, V)
- 投資信託 2,800万(楽天VTI, eMAXIS SLIM S&P500)
- 日本株 30万
- 仮想通貨 860万
など、含み益約3,800万を含めて、約20,800万です。不動産については、自分の中で売却ありきなので、計算に入れておりません。今回ご相談させて頂きたい内容ですが、現金も十分な額になってきたので、自宅マンションの住宅ローンを繰り上げ返済すべきか、もしくは、投資に回すほうが良いかと言う内容です。
住宅ローンは、金額 3,200万, 変動金利0.575%, 35年で、現在7年ほど返済を終えております。残金約2,600万を全額を繰り上げ返済致しますと、金利分、約220万が浮くという計算になります。
住宅ローンを払い終えれば、今の時代にそぐわない言い方かもしれませんが、一人の男として人生の中で大きな達成感が得られるのではないかと考える一方、その額を信頼している米国株ETFなどに一括投資すれば、今後の米国の株価上昇率が鈍化しようと、今が円安の状況であろうと、10~20年後には住宅ローンの金利分を大きく上回る利益が生まれることは理解しております。
理屈というより考え方の問題になるのかもしれませんが、私の様な状況であれば、生き方も参考にさせて頂いているたぱぞう様はどの様な選択を取られるか、ご教授頂ければと考え、ご連絡差し上げました。
大変恐縮で御座いますが、太陽光発電などのハードアセットは除外して頂き、繰り上げ返済とペーパーアセットでの比較でアドバイス頂ければ幸いです。
長文になり、大変失礼致しました。
たぱぞう様の、今後益々のご活躍ならびにご多幸を願っております。ご一読頂き、本当にありがとうございました。
住宅ローンの繰り上げ返済は自ら期限の利益の放棄をすることになる
基本的に繰り上げはされないほうが良いです。
例えばアパマン融資や事業融資で、それほどの好条件でしてくれることは殆どありません。お金の価値は年々下がりますから、今最大に低金利で借りていることは、適切な投資さえしていれば非常にラッキーです。
期限の利益が最大化するからです。
金利分が浮くのは事実ですが、2600万をそのまま適切に運用するほうが利益は大きいです。それはご自身で理解されている内容通りとなります。
私は事業融資を数億受けています。また、住宅ローンも借りたままです。これらは金利が0.7~0.8%です。間違いなくそのまま投資に回しておいたほうが良く、きっちりと返済を続けていく、またそれそのものが実績になると考えています。
要は借り入れ金利よりも大きく運用できれば、その分のギャップが利益となるのです。よって、借入金利が2%、3%、いずれにしても高い場合は返済を検討するに値しますね。
投資家さんによっては、クルマさえもローンを組みます。期限の利益だけでなく、銀行開拓という目線で取り組んでいるケースもあるのですね。
ちなみに、償却目的や相続目的での中古マンション投資は目線としては間違っていません。目先の所得や資産評価を圧縮できるからです。新築は財閥系は良心的な値付けであることが多いです。
しかし、多くの物件は当然ながら業者の利益がたっぷり乗っています。よって、エリアを間違えると大きく資産を毀損します。中古はこれに対してマーケットで十分練られていますから、売主と買主の目線が合うならば良い、ということになります。
仰る通り、投資は人生を豊かにする1つの手段にすぎません。シンプル投資で時間を捻出できたのは僥倖と言ってよいでしょう。趣味でないならば、とにかくシンプルにポートフォリオを作り、仕事や家庭に時間を割くというのは全く正しいです。
投資に夢中になり、人生の時間のほとんどを割くのは、時間対効果で考えると微妙です。それほど多くのリターンを得られれば評価は変わるかもしれません。しかし、今は優れたインデックスがありますから、株好き、投資好きの人と普通の人の差は以前ほど大きくありません。
ご自身が歩んできた道程に間違いはありません。よりよく生きるために、共に頑張りましょう。
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