米国株投資の出口戦略
米国株投資をしていると、配当がドルで入ってきます。
一般口座であれば、その都度ごとに為替を記録し、日本円で換算して日本円で確定申告をします。これは慣れないと大変な手間です。証券会社からの報告書に基づいて自己管理をしていく必要があるからです。
特定口座・源泉徴収ありの口座であれば、年間の取引報告書が出ますので、損益の把握は非常に楽になります。取引のしている証券会社が上場株式等の譲渡損益を計算し、所得税・住民税を源泉徴収してくれるからです。
これは年間通してですから、配当を受け取るたび、売買をするたびに損益も通算することになります。
これらをドルでの再投資、あるいは貯金ということになれば為替を意識するのはこの程度です。ただし、何らかの理由で、円転をするならば為替差損益を考えることになります。
今回は配当の円転に関わる税金のご質問をいただきました。
米国株配当に関わる為替差損益の税金
いつも楽しく勉強させていただいております。
アメリカ株を取引するにあたり、配当に関わる税金についてよくわからないので質問させてください。配当に際し、特定口座で取引する場合は配当に自動的に課税されているかと思いますので、引かれすぎた税金※(現地の税金分)を取り戻す以外は確定申告は不要だと思います。
※外国税額控除のこと
しかし、配当をすぐに円に替えない場合、為替差益が発生するかと思います。この為替差益というのは申告する必要があるのでしょうか。それとも一度税金が引かれているため、特に申告は必要ないのでしょうか。不勉強で申し訳ありませんが、伺えると幸いです。
為替差損益は、雑所得になる
外国株式等に係る配当収入や売却収入についてはその都度の納税になります。しかし、米国株や米国ETFの場合はドル建の取引ですので、そのドルを日本円に両替する際に為替差損益が生じます。
ここで生じる為替差損益は、厳密に言うと税法上は所得税では雑所得として課税されます。そのため、為替差益が生じた場合には、雑所得(総合課税)として課税されます。
これに対し、為替差損が生じた場合には、もし他の雑所得があればその雑所得の金額と損益通算されることとなります。なお、為替差損が生じたけれど、他と通算する雑所得が無ければそのまま損ということになります。
つまりドルと円を頻繁に行き来する場合はかなりの煩雑な手間が生じるということです。ただし、多くの米国株投資家はドルにしたらめったに円転しません。私もそうです。ですから、この手間を実感したことはありません。
これは「タレレバ」の話になりますが、証券口座からそのまま銀行口座でドルで振り込みます。これは現状SBIグループでできます。そして、そのドルの口座から直接クレジットカードのドル決済ができるようになれば話は早いと思っています。
SBIカードなら住信sbi銀行のドル口座から直接ドル建決済が出来る。ただ、残念な事に来年1月でサービス終了予定。
— 海外生活目指してる人 (@kabu_yutai2) 2017年7月12日
あとは最近1%ぐらいの手数料が発生するようになったが、SBIデビットカードでも直接ドル決済が可能。 https://t.co/Ofj7LfEr9d
つまり、日本にいながらドルでモノを買うということです。ただ、そういうサービスがあるとは聞いていませんので、現状では無理なのでしょう。今のペースで米国株投資家が増えてくれば、実現可能なサービスになるのではないかと淡い夢を抱いています。
そうすれば、日本でも海外でもそのカード一枚で決済ができる、日本人の米国株投資家にとっては非常に便利なシステムになると思っています。
現状の米国株に関わる複雑な税制は、日本人個人投資家の海外株取引の歴史の浅さ、つまり環境が満たされていなかったことも関係します。証券各社はほんの数年前まで海外株の特定口座対応さえもしていませんでした。
それが今は、米国はもちろん、アセアン諸国やロシア、中国株なども取引きできる環境が整っています。今後は税法もますます法整備が進み、証券会社もそれに応じて対応してくるのではないでしょうか。
最後は希望的観測になりましたが、いまより複雑になることはないだろうと個人的には楽観視しています。
配当に関わる為替差損益は雑所得、というのがとりあえず今のところのお答えということになります。
ご質問いつもありがとうございます。
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似た質問ですが、こちらはNISAに焦点を当てています。やはり、為替のことは気になる話題だということですね。
今から米国株を始める人は、特定口座の源泉徴収アリを選ぶ人が殆どでしょう。一般口座のメリットはほとんどありません。私は取引が古く、一般口座時代の株式が殆どです。ただ、慣れてしまえば管理はさほど手間ではありません。
つみたてNISAと特定口座の特徴を踏まえた提案です。気が付けばつみたてNISAスタートまであともう少しですね。20年間のつみたて効果、非常に面白い試みだと思います。従来型NISAがよいのか、つみたてNISAが良いのか、賛否ありますね。