投資で一番大切な20の教えは勝ち続ける運用戦略と思考法を教えてくれる
ハワード・マークス氏の書籍、「投資で一番大切な20の教え」を紹介します。多くの米国株投資家に支持され、何度も読まれている名著です。
そしてバフェット氏を始め、多くの著名投資家からも絶賛されている本です。バフェット氏はバークシャーハサウェイの株主総会で本書を配布したそうですね。
この本は最初は文字ばかりでデータも今まで紹介した書籍に比べると乏しいです。そのため最初は「ん?」と思うのですが、ジワジワと効いてくる本です。
この本を頭から読んで、「ふんふん、なるほど、その通り!」と納得できる人は投資歴の長い人です。データが無くても自分の経験と実感に当てはめて読んでいくことができるからです。
投資歴の短い初心者が読むには読み方があります。
20の教えが章立てされているので、自分の興味のあるところから目を通していけばよいのです。順番に前から読むと、中には実感しにくいところもあるかもしれません。そして難しくなって読むのに飽きてしまうかもしれません。
しかし、興味ある所から読んでいけば、あと回しにしたところも自然と分かるようになっています。全章読めるようになるころには個人投資家として一段レベルアップしたことを実感できることでしょう。
リスク管理、勝つ投資より負けない投資をするために
本書ではリスク管理について何度も触れています。勝つための研究を重ねるのも大事だけど、負けないための研究をより深くしたほうがよいよ、ということです。勝つときはコツコツ、負けるときはドカン!だと一発で退場しなくてはいけないからです。
引用します。
投資をひとことで言い表すとすれば、「未来に対処すること」である。未来のことが確実に分かるものなどいないから、リスクは避けられない。つまり、リスクに対処することが、投資における一つの(そして私が思うに絶対の)必須要素である。
価格が上がりそうな投資先を見つけることはそれほど難しくない。ふさわしい候補が見つかれば、投資家は買いに動いてしまうものだろう。だが、積極的にリスクへの対処を行っていなければ、長く成功し続ける見込みは薄い。
5章「リスクを理解する」P65から
チャールズ・エリス氏の「敗者のゲーム」も同じ主張でしたね。本書のほうがやや観念的に書かれています。
逆張り投資のススメ
リスク管理をし、本質的価値を踏まえたうえで「逆張り投資」を勧めています。究極的に最も儲かる投資行動は逆張りであるとまで言い切っています。
たしかにリーマンショックで買い向かった投資家は現在大きな利益を手にしていることでしょう。
しかし、その企業の本質的価値に気づくのが簡単なことではありません。
逆張りというならば近年の原油安に伴うXOMなどへの石油会社投資でしょうか。あるいは鉄鉱石安の中でのBHPやRIOなどへの投資でしょうか。なかなか難しいものです。私は逆張りは投資額を決めて行っています。1銘柄1万ドルまで、しかも分散して行うというやり方です。RDS.BやBHPはそれに基づいて投資をしています。
市場参加者を出し抜いて、自分だけが勝ち続ける技量があればよいですが、普通の人の普通の投資とはリスクを限定するか、リスクを取らないかが大事だと思います。
まとめ
本書は、小説のように頭から最後まで読んで終わり、という性質の本ではありません。
具体的な銘柄購入の前に該当する章を読み返したり、自分の保有する株に当てはめて読んでみるなど、繰り返し読んで実感として投資行動に落とし込んでいくと良いでしょう。
私もときどき取り出して目を通しています。多読乱読も大事ですが、投資に関しては良書を何度も読み込んだほうが良い気がします。それほど良書が限られます。
多くの銘柄を並べてみたり、チャート解説ばかりだったり、モメンタムやテーマに偏ったりしすぎる本はだいたいダメですから、逆指標として見るとよいと思います。

投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識
- 作者: ハワード・マークス,貫井佳子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/10/23
- メディア: 単行本
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