年齢別、世帯当たり平均貯蓄額ー平均借入金額
厚生労働省が世帯主の年齢別に見た1世帯当たり平均貯蓄額ー平均借入金額の調査結果を公表しています。現在の日本の一般的な家庭における家計が透けて見えますので、ここに紹介します。
以前にご紹介した総務省の「家計調査報告」よりも貯蓄額が減っています。これは、総務省のデータが二人以上世帯に限定していたのに対し、厚生労働省のデータは網羅的に対象を取り上げているからです。
若くて独身の1人世帯や年金受給の1人高齢者世帯は所得が一般的に低めになっています。これに対して、夫婦で共働きの世帯は高めに出ます。これは、ダブルインカムで収入がアップしているからです。
しかし、暮らし向きは全く楽ではありません。それは、30代から50代にかけての平均借入金額の多さが物語っています。この世代は住宅ローンや教育費を始めとする大きな出費がかさむのが原因です。また、日常の生活費の負担も人数が多い分、大きいです。
この種のデータは常にリタイヤした高齢者世帯が最も貯蓄額が多くなっています。これは長年の勤労収入を貯蓄に回したり、退職金の貯蓄があるからです。
近年は上昇相場にも関わらず高齢者の15%の人が株式評価額の減少という憂き目にあっているのは、ボラティリティの高い投資を志向したか、はたまた変な商品をつかまされたかのどちらかでしょう。
ただし、やはり相場が良いのは事実です。資産が増えた理由として株式評価額の増加、という回答項目があれば15%を超える数字が得られたのではないでしょうか。
今の現役世代が、今の高齢者世帯並みに貯蓄が形成できるかどうかというのは難しいところです。今の現役世代が高齢者になった時、社会保障も含めて今の体制が維持されているとはなかなか思えず、これが大きな不安要素になっています。
「貯蓄から投資へ」という言葉が現実味を持って語られるのはそういうことです。つまり、投資を通した資産形成といういわば自助努力が必要とされている、そんな時代になりつつあります。
各種世帯の貯蓄額別の割合
次に、貯蓄額ごとの構成割合です。平均年収がそうであるように、この数字も一部の高貯蓄層が全体を押し上げていることが分かります。
高齢者世帯の最も多い層は3000万以上の貯蓄があります。この層が最も多く、実に10.8%にもなります。
全世帯での平均貯蓄額は1000万円を超えますが、児童のいる世帯に限ると680万円になります。さらに、母子世帯に限るとその額は327万円にまで減少します。子育て世代の経済的な厳しさは、どの時代も変わりません。今の高齢者層もそうでした。
しかし、晩婚化を迎え、年収が増えないという時代を迎えています。今までであれば、50代になって子育てや住宅ローンを終えて、老後に備えて十年間貯蓄をするという流れが出来上がっていました。
晩婚化は子どもの成人が遅くなることを意味します。つまり、定年間際まで貯蓄ができない可能性があるということです。また、年収が増えないということは、退職金も増えないということにつながりますから、これも楽観はできません。
今の30代、40代が老後を迎えるときには年金を支える労働人口世代も激減しています。今は1人を3人で支えていますが、将来的にはほぼ1人が1人を支える人口比になります。
つまり、今の現役世代は効率的に資産を伸ばしていかないと、定年退職は夢のまた夢、それこそ一生働き続けざるを得ない可能性があるということです。
借入金額別の割合
表は左から、全世帯・高齢者世帯・児童のいる世帯・母子世帯です。
図抜けて借入金が多いのは児童のいる世帯です。2000万から3000万の借入金を抱える層が最も多く、じつに14.2%にも上ります。マイホーム信仰は薄れ、空き家問題が騒がれている昨今ですが、それでも住宅ローンを組んで家を買う人が多いことを窺わせます。
自分の生きたい人生を実現するためには経済的な裏付けが必須と言ってよいでしょう。そのためには計画性と着実な投資術が必要であるのは言うまでもありません。
人生を豊かにしてくれた投資にこれからも向き合い、ブログを通して考えていきたいと思っています。
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こちらは総務省の一般家庭の平均貯蓄・負債額です。こちらの数字が大きいのは二人以上の世帯に限っているからです。今回ご紹介した資料では、1人世帯も含んでいます。つまり、未婚の若い人や高齢者世帯も含んだ数字ということですね。
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