トランプ大統領誕生
トランプ大統領は歯に衣着せぬ言動で人気と注目を得て、とうとう大統領にまで上り詰めました。
ヒラリー氏は優秀であるがゆえの「トゲ」のようなものがあり、最後まで「親近感」を有権者に感じさせることができませんでした。また、政策面でも後手に回った印象を拭えませんでした。
多くの有権者が印象で決めるのは無理からぬところです。それも民主主義の1つの側面と言って良いでしょう。
オバマ大統領が選ばれた時のような、高揚感は薄いです。しかし、時代の変革者として期待されているのがトランプ大統領です。「グローバリズムではなくアメリカニズムが私たちの新たな信条となる」という言葉が端的にその方向性を示しています。
トランプ大統領と経済政策
ドル高は当分なさそう、か
トランプ大統領下ではドル高は当分なさそうです。中国、メキシコ、そして日本が貿易赤字の原因としてよくトランプ氏の演説に出てきました。「通貨安」によりこれらの国々は不当に利益を得ているという主張です。
この思いを政策で表現するとドル安誘導ということになります。
「私のネクタイの多くは中国製だ。その理由は、中国は自国通貨の操作を米国企業が競争力を持つことを不可能にする水準まで行っているからだ」
ミシガン州での遊説から
「(中国や日本には)為替操作の名人がいる。だから米国企業は太刀打ちできず、我々は雇用を失っている」
「キャタピラー(CAT)は円安でコマツと競争するのが難しくなっている」
「米国から雇用が失われることを阻止する必要がある」
「中国の通貨切り下げを非難する」
「クリントン氏はTPPを承認するだろう」
「米国の雇用が盗まれる状態に歯止めを」
27日の要人発言=トランプ氏「中国の通貨切り下げを非難する」(トレーダーズ・ウェブ) - ニュース・コラム - Yahoo!ファイナンス
このような主張から保護貿易的な主張が読み取れます。ドル安誘導があるのではないかと言われています。
https://www.donaldjtrump.com/gallery/
トランプ氏のサイトから
連邦法人税と所得税の引き下げ
まず、連邦法人税を現在の35%から15%に下げるとしています。米国企業は安い法人税を求めて他国へ本社を移す例があります。
例えばフィリップモリスのスイスがそうですし、アクセンチュアのアイルランドもそうです。
1983年以降で76社に上っており、インバージョンと言われるこの節税対策は米国でも問題になり始めています。もし本当に法人税の引き下げを実行するならば企業利益は上がり、さらに企業の海外流出にも歯止めがかかることになります。
また、所得税の減税も掲げています。
これら一連の減税策は10年で6兆ドルにも及ぶと言われています。1年あたり60兆円、国債発行分を除いた日本の国家歳入を上回ります。実現するかどうかは別にしろ、減税による経済刺激策に力点を置こうとしていることは伝わってきます。
TPP離脱を明言している
TPPに関してはトランプ氏は以前から反対の立場でした。TPP12か国のGDPは米国が60%、日本が17%です。実現すれば世界のGDPの4割を占めることになり、大きな影響力を持つことが予想されました。ここまで大きいと、TPPが世界の標準を決める力を持つ可能性もあります。
しかし、米国が抜けるとその規模と経済的な影響力はガタ落ちと言えます。
もしTPPが実現すれば、関税引き下げによる貿易の活発化、グローバル化の進展によるGDPの伸長、域内起業の増加などが見込まれていました。
「TPPは米国の製造業にとって死の一撃になる」として、関税引き下げがTPP参加国からの輸入増を招き、米国の製造業を衰退させると主張。米国の雇用を回復させるための最初のステップとしてTPP脱退を挙げた。
米国でも多国籍企業を始めとする大企業の殆どは利益増加が見込めるため賛成の立場です。
TPPにより、外国人労働者の流入が先進国で見込まれます。例えばアメリカや日本、オーストラリア、カナダなどです。これらの国の労働者は雇用を奪われたり、賃金の低下につながることが予想されます。とくに単純労働であるほど代替される可能性があります。
これは選挙では多くの有権者の票を失うことを意味しますから、トランプ氏としては反対の立場を明確にして、票を取り込みたいところでした。
ちなみにTPPはオーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,ペルー,シンガポール,米国、ベトナムの合計12か国からなります。環太平洋パートナーシップ協定という名称の通りです。
GDP成長目標3.5%を掲げている。
トランプ大統領は年率3.5%のGDP成長を達成目標にしています。かなり高い成長率を目指しているわけですが、もし達成させるか近似する数字が出せればアメリカ株は株高になるでしょう。米国株投資家はドル建てベースでは恩恵を得るかもしれません。
ただし、ドル高にはなりにくくなるので為替面では厳しいと思われます。強い円で安く米国企業の株を買うチャンスが来るかもしれません。
ブレグジットに引き続いての「まさか」
立派な人たちが決めた既存のルールに「いやだよ」と普通の人たちが言った選挙、それがアメリカ大統領選だったのかもしれません。
衆愚的という批判もありますが、選挙とは有権者とはそういうものであり、立派な人たちの作った枠組みに辟易しているのが今の普通の人たちです。
経済的な影響はもう少し時間がたたないと見えてきませんが、下がったところは淡々と買っていきたいと思っています。まさか、は投資にはつきものです。