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出生数90万人割れから見える、私たちの未来予想図

出生数100万人割れから、あっという間に90万人割れになった

 毎年のように婚姻率と出生率が下がっています。2016年に出生数が100万人を割れ、98.1万人になったのが話題になりました。100万人を割れたのは、1885年以来でした。

 

 そして2016年から3年後の2019年には90万人割れ、86.5万人となりました。

 

減り続ける出生数

減り続ける出生数

 ところで前回100万人を割れた1885年と言えば、明治18年です。戸籍法ができたのが明治4年ですから、その14年後には出生数は100万人を超えていたということです。ちなみに、このころは日本の人口がおよそ3800万人でした。

 

  実に、130年ぶりの出生数100万人割れ、そこからあっという間の90万人割れということです。そして、この出生数は今後盛り返す見込みが殆ど無いという点において、明治期と事情が全く違います。日本の発展を支えてきた人口ボーナスがいよいよ終焉を迎えたことが分かります。

出生数は今後死亡数を上回ることは無い

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※データの出所はすべて厚生労働省

 

 人口動態はこのようになっています。死亡数が出生数を大きく上回っています。海外転出入があるので、この数字がそのまま人口に反映されるわけではありません。しかし、基本的には移民受け入れをしない限り、このまま人口が減り続けると考えるのがグラフの自然な見かたでしょう。

なぜ出生数がここまで減ってしまったのか。

 どうしてここまで急速に出生数が減ったのでしょうか。

 

 1つ目のターニングポイントは戦後すぐの1940年代後半です。15年戦争とも言われる日中戦争から太平洋戦争までの間、安心して子育てをする環境にありませんでした。しかし、平和が訪れたことにより、一気に安心感が広がりました。

 

 結果として、婚姻数は激増し、やや遅れて出生数も激増しています。第一次ベビーブームと呼ばれるのがそれです。この世代は第一次ベビーブーマー、あるいは団塊の世代とも言われます。250万人を超える出生数でした。

 

 2つ目のターニングポイントは1970年代中ごろです。第一次ベビーブーマー世代が、結婚適齢期を迎え、婚姻数が激増します。ちなみに直前の不自然な落ち込みは1966年の丙午(ひのえうま)によるものです。

 

 丙午生まれの女性は気が荒くて家庭的でなく、夫の命を縮めるという迷信がありました。そのため、当時の親は子どもが1966年生まれになるのを避けました。結果、出生数が減りました。ちなみに、次の丙午は2026年ですから、どの程度迷信が薄れているか見ものではあります。

 

 この1970年代中ごろに生まれた世代を第二次ベビーブーマー世代、あるいは団塊ジュニアと言います。団塊世代のジュニアだからです。そのままですね。

 

 3つ目のターニングポイントは団塊ジュニア世代が結婚適齢期を迎えた2000年前後です。今までの流れならば、婚姻数が増え、出生数も増えるはずでした。しかし、そうはなりませんでした。ここに今につながる出生数の低迷があります。

なぜ団塊ジュニアはベビーブームを作ることができなかったのか

 なぜ団塊ジュニアはベビーブームを作れなかったのでしょうか。原因を整理しておきます。以下の4つです。

  1. 就職氷河期にあたった
  2. 自由恋愛が主流化した
  3. 晩婚化が進んだ
  4. 家より個が尊重されるようになった

 まず、1つめに就職氷河期の影響が大きいです。1991年のバブル崩壊後ぐずっていた日本経済ですが、アジア通貨危機に関連した1998年の金融危機や2000年のITバブル崩壊など立て続けに経済危機に見舞われます。

 

 名門と言われた北海道拓殖銀行や山一証券の消滅に象徴される経済危機は、企業の新規採用抑制となって表れます。その結果、団塊ジュニアは就職先を失い、かつてないレベルで非正規雇用者が増える端緒となりました。いわゆる氷河期世代ですね。

 

 結婚して誰かを養うどころか、自分の就職、生活さえままならないのです。勉強をして良い大学へいけば、良い企業への就職と良い生活が実現する。そういう分かりやすい成功モデルが崩壊したのがこのころです。

 

 それ以前の、塾通いして身を削る受験勉強はある意味では将来の豊かな生活を保障したものでした。団塊ジュニア世代は戦後初めて「努力の対価無き世代」になったとも言えます。

 

 2つめは自由恋愛が主流化したことによります。団塊世代の恋愛までは比較的ですが地域コミュニティや親族のつながりがまだ生きていました。そのため、適齢期の若者が婚期を逃しそうになると、誰かしら世話を焼き、結婚まで結びつけました。お見合いですね。

 

 しかし、団塊ジュニア世代は自由恋愛が主です。それは今につながる個の尊重という価値観に即したものです。しかし、結果として結婚は自力でなんとかしなくてはならない時代になりました。個人のコミュ力やビジュアル、そして性格。そういったものがより厳しく要求されるようになったとも言えますね。

 

 3つ目は晩婚化です。結婚が難しくなったのは2で述べたとおりですが、それに加え仕事や遊びに忙しく、まだまだやりたいことがある場合に結婚を伸ばすというケースが非常に増えました。これは日本だけでなく、他の先進諸国でもそうです。

 

 家庭に入る道を選ぶよりも仕事や趣味などで自己実現を目指す人が増えました。また、子育てを人生の目標に置く人も激減したと言って良いでしょう。価値観の多様化とはそういうことです。人生の選択は1つではないのです。そしてそれを決めるのは自分自身なのです。

 

 4つ目は個の尊重です。自由恋愛や晩婚化とも関連しますが、家や世間体といった圧力はあるものの、昔と比べたらはるかに軽くなりました。人生の選択が増え、結婚というのが以前より重要視されなくなったことは間違いありません。

氷河期世代、団塊ジュニアの真の困難はまだまだこれから

 ある意味ではバブル崩壊の最大の被害者である団塊ジュニアですが、困難はこれだけにとどまりません。就職難、結婚難だけではないということです。人口減少、特に生産年齢減少に伴う結果として社会保障難、つまり年金難、医療費難などが予想されるということです。f:id:tapazou:20170106205656p:plain

 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来人口推計」です。この2050年の人口ピラミッドから、団塊ジュニアの老後が見えてきます。それは、膨大な数の団塊ジュニアを先細りの現役世代、つまり労働人口が支えなくてはいけないということです。

  

 国連では60歳以上を老人とし、世界保健機構(WHO)では65歳以上としています。日本では今後、70歳定年、75歳年金支給開始、あるいはそれ以上の年齢という時代が来るかもしれません。

 

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  定年を自分で決めるという発想もあります。それがセミリタイアです。

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  子育てにお金がかかりすぎますね。今後はより社会全体で見ていく、負担をしていくという流れになるのでしょう。

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