たぱぞうの米国株投資

米国株投資で人生の選択肢を増やすという提案です。某投資顧問のアドバイザーをしています。

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長

スポンサーリンク

吉川洋氏は日本を代表する経済学者の一人

 

 吉川洋氏は、東京大学卒業後、アメリカのイェール大学へ留学し、そこでドクターを取得されています。その後はニューヨーク州立大学で助教授、阪大社会経済研究所で助教授、東京大学経済学部で教授をされた方です。現在は立正大学教授です。

 

 その活動の場は幅広く、内閣府景気動向指数研究会委員を皮切りに、各種委員や諮問機関や調査委員会で委員や座長を務め、各種の学術賞を受賞しています。2010年代には財務省財政制度審議会会長や日本経済学会会長を務めました。

 

 2010年には紫綬褒章も受賞されており、まさに日本を代表する経済学者の1人と言って良いでしょう。

 

 そんな素晴らしい経歴の方の著作を手軽に安価で読めるのが新書版の良いところです。新聞などで割と大きく出ている広告されている新書でしたので、前々から興味を持っていましたが、ようやく読めました。

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

 

 

人口減少ペシミズム(悲観主義)とは

 

 人口が減少することによって経済縮小が起こる、という論に対して否定的です。著者によると人口が増えるから経済が発展するのではなく、イノベーションが起きるから経済が発展するということです。

 

 人口が減る、社会保障費が増大する、日本経済が縮小する、という見方に関して著者である吉川洋氏は「人口減少ペシミズム(悲観主義)」としています。

 

 つまり、「人口減少ペシミズム(悲観主義)」とは

  1. 人口が減ることによって社会保障費が増える
  2. 現役世代の負担が増える
  3. 人口が減るうえに所得も減るので消費が細る
  4. 経済が停滞する

 

 という考えです。吉川洋氏も人口減少は大きな問題としています。しかし一方で、だからと言って過度に悲観的になることはない、

 

 「労働生産性向上というイノベーションが起きれば、人口が減っても大丈夫だよ」

 

 と主張されています。

 

 その主要な論拠の1つとして、明治期からの100年間の人口の推移と実質GDPの推移に関連性が無いことが挙げられています。明治期以降に経済発展を遂げたのは、その「イノベーションによる労働生産性の向上」であると結論付けています。

 

 確かに明治期の日本と比べると飢え死は殆ど無くなりましたし、身売りも無くなりました。富も比較的平等に分配されるようになり、私たち普通の人たちの暮らしは向上してきました。

 

 これは人口が増えただけではなく、社会システムそのものが敗戦によってイノベーションされ、住みよくなったからだと考えることもできます。ただし、敗戦が無ければ私たち日本国民だけで、自立的にここまで社会システムをイノベーションできたかというと心もとありません。

 

 多大な犠牲の上に今の暮らしが成り立っていることは間違いないところです。 詳しくは過去記事から。

www.americakabu.com

 

 今は、そこそこ豊かで、そこそこ暮らせている、そんな時代です。例えは悪いかもしれませんが、ゆでガエル前のお風呂のような状態です。そういうぬるま湯期に従前のシステムを破壊して創造するような劇的なイノベーションは期待できません。

 

 それは日本の議会制民主主義の1つの特徴でもあるでしょう。地域に根差した、衆愚的な政治をせざるを得ないのは事実であり、人のいないところへの橋や道路、雇用創出のための来館者の少ない箱ものはその象徴です。

 

 民間の活力に期待せざるを得ませんが、日本の産業構造がこの数十年全く変わらず、イノベーションが起きていないのは、下記の著作でも触れられています。

www.americakabu.com

 

結局、投資も生き方も自分がどのストーリーを信じるかということ

 吉川洋氏の主張は非常に参考になる部分がありつつも、投資行動に反映させるのは難しいと思いました。人口減少に関わる見方が私は悲観的だからです。

www.americakabu.com

 

 だから、給与や退職金とは別の収入、そして円とは別の通貨での収入を確保しておくことが必要だと考えています。そのために米国株投資をしています。もちろん、イノベーションが起き、経済的な繁栄を享受できればそれが一番であることは間違いありません。

 

 そうなれば、十分な年金ももらえますし、老後の暮らしは安泰と言って良いでしょう。個人で無理して投資しなくても良いのです。理想的な老後です。これは、今の100歳、90歳ぐらいの人たちまでが享受できた暮らしです。

 

 しかし、今後は難しいのではないでしょうか。投資も人生も常にリスク管理をすべきであり、理想と違った場合のヘッジをかけておきたいというのが私の考えです。

 

 イノベーションが起きるのか、そして将来にわたって経済成長が果たされるのか、ということに関しては不確実です。しかし、人口が減るということは確実であると断言できます。

 

 人口減社会、縮小社会を生き抜くために自分がどのようなストーリーを想定し、人生を歩むのか。

 

 自分と違う考えに触れることによって、より考えさせられるよい読書になりました。