インフォシス(INFY)はソフトウェア開発だけでなくコンサルなども行う多国籍IT企業
インフォシス(INFY)の歴史は比較的新しいです。1981年にナラヤナ・ムルティ氏など7人のソフトウェア技術者により設立されました。
設立に要した資金は250ドルで、それはナラヤナ・ムルティ氏の妻が出資したものでした。
設立当初から世界に通用するIT企業になることを標榜していたために、取引はインド国内よりも海外との取引を重視したものでした。インドの商慣習として、ファミリー企業内での仕事の回し合いというものがあります。例えばタタ財閥グループなどもそうです。
インフォシスは完全な独立系での創業でしたから、最初の10年間は業績も思うように上がらず苦しいものでした。
しかし、創業者7人の確かな技術力だけでなく、インドの経済政策における1991年の改革、そしてインターネットを契機とする世界的なIT革命、そしてマンパワーの必要だった2000年問題などが追い風となります。
1991年の改革は、インド企業のソフトウェア輸出を実質非課税にするもので、インドの低廉で質の高い技術者が書くプログラムは特に米国や欧州で高く評価されました。
米国企業は時差の関係で、夕方や夜にインフォシスに発注して翌日の明け方に納品されるということも可能でしたから、費用だけでなく時間的な活用も含めて強みがあったと言えます。
そして、1999年には米国市場NASDAQに上場を果たします。
インフォシスの本社はインドのバンガロールにあります。バンガロールにはインド系の企業のみならず、今では米国や欧州のIT関連企業が進出しています。安くて優秀な労働力を求めて、支社や現地法人を構えているのです。
相乗的にビジネスが生まれる状況になっており、インフォシスは21世紀に入っても大きく成長をしてきました。
※インフォシスのページから
これからもインドの躍進を担う企業の1つとして大きく期待されています。
インフォシス(INFY)の配当とチャート
2006年 株価12ドル 配当0.248ドル
2016年 株価16ドル 配当0.211ドル
この10年で分割を3回しています。私が持っていたとき、は50ドル~60ドルあたりでした。分割をしてより買いやすい株価になっています。
私が手放した理由は、会社の成長ほど株価の成長が見られないことと、配当が低すぎること、この2つの理由からです。米国企業のような活発な自社株買いはインド企業にはまだ見られません。
そのため一株当たりの価値を上げるには業績を上げるしかないのですが、かつてはどのインド株も期待値が高かったため割安感はありませんでした。
ちなみにインド株は個人投資家が直接インド市場(SENSEX:ムンバイ証券取引所)から買い付けることができないため、今のところ米国市場経由のADRという手段しかありません。
この10年インフォシスの株価は横ばいと言って良いでしょう。売上は伸び続けていますが、インドに対する期待値も含めて買われすぎていた時期があり、株価の伸びにつながっていません。成長性のワナ、という言葉が当てはまります。
また、常々配当が低めです。そういう意味ではインドIT株という響きほどのリターンを得られなかった10年ということになります。もちろん、会社自体は非常に成長し、押しも押されぬIT業界の世界的大手と言えます。
ちなみに2016年に入って大きく株価を下げています。
成長国であること、法整備がされていること、が株式投資の必須条件ですが株式上昇に関わる法整備の面で米国に見劣りしてしまうのがインド株です。
もちろん国も企業も世界で最も成長力を期待される存在であることは間違いありません。
インフォシス(INFY)の基礎データ
ティッカー:INFY
本社:インド・バンガロール
来期予想PER:16.6倍
PBR:3.9倍
ROE:23%
ROA:19%
EPS:0.9ドル
配当:0.364ドル
上場:NASDAQ
インフォシスのADRのデータです。PERは低めです。かつてに比べるとずいぶん買いやすいところまで落ちてきました。過去3年で売り上げは20%近く、営業利益は15%程度成長してきました。規模を考えると驚異的と言って良いでしょう。
インドなどの新興国市場は世界経済への感受性が高いため、ボラティリティも高めです。その波を利用しつつ、成長性に期待するという買い方になるでしょうか。