ドーバー(DOV)はM&Aを巧みに生かした産業機器大手メーカー
ドーバー(DOV)はP&Gなどと同じく連続増配60年超えの企業です。
事業内容は多岐にわたり、大別してエネルギー、通信技術、業務用冷蔵、印刷・識別などの事業を持ちます。
※ドーバーのホームページから
従業員は2015年末時点で26000人です。産業機器コングロマリットとでも言いましょうか。派生技術やM&Aで多くの事業分野に参入しています。また、シナジー効果の薄いと思われる分野の切り離し、売却も積極的に行っています。
事業は多岐わたりますが、主だったものを簡単に紹介します。
エネルギー部門では石油やガスの採掘から輸送に関わる専門機器および器械を作っています。ポンプやリフトなど、比較的大がかりなものも含みます。
業務用冷蔵部門はウォークインタイプの大きな食品冷蔵庫などを扱っています。スーパーやコンビニなどで私たち一般消費者も目にすることができるものですね。
印刷・識別部門は製品のシリアル番号管理システム、バーコードシステム、商品管理システムなどを扱います。
このように、高度な技術に基づいた大がかりな産業機器装置をつくる、モノづくりを基本とする会社です。ただ、60年超の増配を続けてきただけあって、祖業にこだわるのではなく時代と自社の強みに合わせて事業ポートフォリオを組み換えてきています。
例えばエネルギー部門のオイルポンプ事業は買収した分野ですし、バーコードや無線ICタグによる商品管理システムもデータマックスという業界大手の会社を買収したものです。
本業であるモノづくりに固執することなく、時代に即し強みを生かした事業ポートフォリオ構築ができる社風と柔軟性がドーバーの強みです。
創業は1947年と古く伝統ある企業でありながら、世界的に競争激しい工業分野で生き抜いているのはそういうことでしょう。
ドーバー(DOV)のチャートと配当
2006年8月 株価47ドル 配当0.185ドル
2016年8月 株価68ドル 配当0.44ドル
株価はこの10年で1.5倍です。しかし、2013年の96ドルをピークにこの3年は芳しくありません。これは、ドーバーの事業がエネルギー部門を抱えているためです。エネルギー部門の売り上げは年平均して35%ほどです。
そういう意味では原油価格の反発があれば、ドーバーも恩恵に浴することになるでしょう。
配当は2.5倍近くになっています。現在の配当利回りはおよそ2.5%です。
DOV: Dividend Date & History for Dover Corp.
連続増配銘柄の配当履歴とはこういうグラフになるのですよね。日本企業ではなかなか見られない株主還元ぶりです。今後、日本企業も株主に対しての考えが変わっていくと買いやすくなりますね。
ドーバー(DOV)の基礎データ
ティッカー:DOV
本社:アメリカ・イリノイ州
来期予想PER:21倍
PBR:2.6倍
ROE:16%
ROA:6.7%
EPS:3.1ドル
配当:1.76ドル
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)
配当余力は十分あります。ROEは効率経営のアメリカ企業の中でこそ平凡ですが、産業機械という事業分野を考慮すれば、やはり優秀な数字ですね。