たぱぞうの米国株投資

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バンガードの主張するベストな投資方法

バンガードの主張するベストな投資とは?

 先日、著名インデックスブロガーである水瀬ケンイチさんを通して、バンガード日本法人さんのセミナーにお招きいただきました。

 

 そのセミナーの内容を、概論的ですがここにご報告いたします。

バンガードのアカデミックな雰囲気を醸す社屋

 バンガードの本社は、ペンシルベニア州バレーフォージにあり、広大な土地に建ちます。社員は社屋を「キャンパス」と呼んでおり、自然に囲まれた知的な空間ということでした。

バンガード、バレーフォージの社屋

バンガード、バレーフォージの社屋

 都会の空間をふんだんに生かしたビル群と、田舎の自然に囲まれた低層の建築物。どちらが良いのかは人に因るのでしょうが、アカデミックな雰囲気を醸成するには良い雰囲気なのでしょうね。いつかは訪れてみたいものです。

 

 日本でも、いくつかの企業が地方に進出し、本社機能を移転しました。かつての大井第一生命館ビルの発想などは近いのでしょうか。米国企業は、州ごとに有力企業が点在しているイメージですね。

バンガードの圧倒的な資産額

 バンガードは、運用資産600兆円を有します。これは、日本の資産運用業界全体の預かり総額全体に匹敵するということです。ブラックロックについで、2位につけます。さらに、バンガードの600兆円のうち、個人投資家の預かり資産は8割にもなるということですね。機関投資家分が少ないということで、1つの特徴になっています。

 

 これは、当初からリテールを志向していたこと、オプションなどを扱っていないことが理由になるのでしょう。資産運用会社は機関投資家のためという側面が強いですが、バンガードはそうではないということですね。

 

 箇条書きにすると、以下のような特徴になります。

  • 1975年設立
  • 全世界19拠点。
  • 日本オフィスは2000年に設立された。世界で3番目のオフィス。
  • 従業員は1.76万人
  • 顧客は3000万人。

バンガードの会社組織の独特さ

 バンガードの会社構造は特徴的で、外部の株主がいません。米国籍ファンドによって保有されており、バンガードの商品に投資することで、バンガードに出資することになります。

 

 このため、余った利益を投資家に還元することができます。その還元は、具体的には運用手数料の値下げという形で反映されています。現在、信託報酬の平均は0.07%まで下がっているということです。

 

 ちなみに、日本の投資信託の平均は1.06%ですから、けた違いですね。

 

 ただし、これも度重なる信託報酬の値下げによって実現されたことです。1981年時点では0.6%近くの信託報酬だったわけですから、やはり企業努力は大事ですね。

 

 バンガードの場合は、会社の形態からして低経費率が宿命づけられています。日本も相互会社など株式会社の形態ではない企業体がありますが、このような方向の企業がほとんど出てこないのは、いささか残念ではあります。

バンガードの主張するベストな投資方法はこのようになっている

 ここで、バンガードの運用の哲学をご紹介します。いわば、ベストな投資方法ですね。

バンガードの運用の骨子

 バンガードの運用の哲学は以下の4つということです。

  • 目標

 明確で適切な投資目標の設定

  • バランス

 幅広く分散しているファンドに投資し、適切な資産配分をする

  • コスト

 コストの最小化

  • 規律

 規律ある長期的視点を持つ。

 

 要は、無理のない目標を持ち、分散投資をし、規律を守るということです。規律というのは、マーケットの変動に惑わされず、上記のことを守り続け、積み立て続けるということですね。うねり取りの発想とは真逆の発想と言って良いでしょう。

 

 低コストや分散などが注目されますが、個人的には「規律を守る」というのが、ある意味ではバンガードの真骨頂のように思います。 ブレない、ひたすら愚直に積み立て投資ということですね。

 

 これは今でこそ、インデックス投資の常識として認識されます。しかし、創立当時の1975年、あるいは20世紀においては相当に珍しい運用哲学だったということです。

 

 もっとも、今も取り上げられる著名投資家は長期投資に寄せた方よりも、短中期うねり取り投資家さんのほうが多いかもしれません。

 バンガードの投資運用哲学を示す、名言の数々

 バンガードの哲学は、説明会で登場した以下の言葉にも良く表れています。ちょっと箇条書きにしてみましょう。

 

  • 干し草の山の中から1本の針をみつけだそうとするな、干し草の山自体を買え。
  • 長期に渡って株式市場を幅広く保有することは勝者のゲーム。
  • 市場全体が入っているポートフォリオを永遠に持てば良い。インデックスファンドの役目はまさにそれだ。
  • とにかく株式市場を全部買え、一旦買ったら、株式市場というカジノからは離れてそのまま放っておくことだ。
  • 時間は友だ。衝動は敵だ。(1976年からの累積リターンが90倍になっていることを受けて。)
  • ポートフォリオをいじるのは、人生におけるイベント時で、相場が上下した時ではない。
  • 「航路を守れ」【ジャック・ボーグル】

 

 深い言葉ですね。インデックスの積立設定をするだけで、この勝者のゲームに参加できるわけですから、ETF及びインデックス投資信託というのは、まさに金融テクノロジー最大の恩恵と言って良いかもしれませんね。

アクティブファンドはインデックス投資に勝てない、とは

  よく言われますが、アクティブファンドはインデックス投資に勝てない、ということが改めて確認されました。アクティブファンドは、長い年限ほどインデックスファンドにアンダーパフォームする傾向にあり、15年という年限では8割9割負けるというデータが示されました。

 

 なかなか、考えさせられるデータでしたね。

 

 というのも、私自身は個別株の売買で資産を多少築き、セミリタイアしたからですね。ややもすれば、大きく資産を減らす可能性もあった中で、我ながらよく生き延びてきたと思います。

 

 そうかと思えば、高配当投資に全振りして、セミリタイアをする人もいます。となると、個別株、アクティブの価値も全否定、とはなかなかできないですね。

 

 ただ、私の親族や家族、あるいは質問をされる読者さんには私がしてきたような、偏った投資というのは勧めにくいのも事実ですね。これに対して、インデックス投資は誰にでもお勧めすることができます。失敗が少ない、もっと言うと哲学さえ守れば失敗が無いからです。

 

 ある意味では、最適解ですね。ブログでおススメするのも、安心できるからです。

 

 自分がどのような将来を描き、どのような投資をするのか、これが自分自身の哲学になるのでしょう。ボーグル氏の言われるところの「航路を守れ」というのは、シンプルなようで、なかなか奥深い言葉だと思いました。

 

 私たち個人投資家は、それぞれに「航路を守って」投資活動をしていくことが肝要ですね。

 

 ただし、航路を守ることと、「意固地になって見方を修正できない」のは違いますね。個別株の場合は、変な頑固さは逆に退場の原因になりえます。お気に入りの銘柄に、都合の良いストーリーを付加して入れ込むのは、ありがちですが危険なことです。

 

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