たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

21世紀最良の投資だった米国株投資は今後どうなるのか

21世紀最良の投資だった米国株投資

 米国株投資がこの数年で非常に盛んになりました。私はすでに10年少々米国株投資をしています。しかし、ここまでの盛り上がりを見せるとは、始めた当時は思いませんでした。これほどまでに米国株投資が盛り上がったのは、いくつか理由があります。

  • 特定口座対応になった
  • リターンが圧倒的に優れていた

 この2つが大きいですね。

特定口座対応になった

 ほんの数年前までSBI証券、マネックス証券、楽天証券といった大手ネット証券では米国株は特定口座対応ではありませんでした。一般口座での売買になり、利用者は売買時や配当受け取り時の為替、利益、こういった数字をいちいち記録していたのです。

 

 エクセルなどの表計算ソフトで計算することを含めて、大きなハードルでした。そのため、米国株投資というと一部の株好きのマニアが取り組むような、そんなイメージだったように思います。

 

 これが特定口座対応になり、一気に利用者が増えました。

リターンが圧倒的に優れていた

 米国株は1990年代、2000年代においては実はリターンはさほど優れたものではありません。中でも2000年に起きたITバブルの傷跡は大きく、高値で買った投資家は大きな痛手を受けたことでしょう。

 

 投資家に人気のNasdaq総合指数でさえも、ITバブルの高値を超えるのに15年を要しています。大変な時期だったわけです。しかし、そのような時期を含んでも、他の先進国、新興国のリターンより優れていたのは知っておきたいところです。

 

 topdowncharts.comの資料が大変優れているので、ご紹介します。

 

米国株、先進国、新興国の過去のリターンの比較

米国株、先進国、新興国の過去のリターンの比較
  • EM=新興国
  • DM EX-US=米国を除いた先進国
  • World=全世界

  見て分かるように、過去25年、過去10年にわたり、いずれも米国株のリターンが突出しています。先進国も新興国も全世界に劣後しています。これは語弊を恐れずに言うと、「全世界投資という観点で見ると、先進国も新興国もリターンの上では米国株のお荷物になっていたに過ぎない」ことを示します。

 

 実際に、1990年以降においては、「どの時期を始点にしても」終点が現在である限り、全世界投資のACWIがS&P500にリターンで勝ったことはないのです。したがって、このような結果になっているのは当然と言えるでしょう。

 

 「過去に未来を見る」のは無理からぬところです。

米国株の最大の強みはそのイノベーションにある

 では、どうして米国株、米国企業はこのようなリターンを得ることができたのでしょうか。それは、米国内におけるイノベーションが絶えることが無いからです。特に大きかったのはインターネットの成功です。

 

 インターネットの成功により、米国では多くのIT企業が生まれました。GAFAMは代表的ですね。

  • Google
  • Amazon
  • Facebook
  • Apple
  • Microsoft

 こういった、30年前にはまだ生まれていなかった、あるいは生まれていても非常に小さかった企業群がインターネットの隆盛とともに大きく育ちました。Saasやクラウド、SNS、サブスクリプション化などでマイナーチェンジをしながら、サービスは派生的に生まれています。

 

 これらのプラットフォームはインターネットであり、そして言葉で言うと英語です。20世紀の終わりごろの停滞感は払しょくされ、ふたたび隆盛を取り戻したと言って良いでしょう。

 

 産業構造の変化は国の隆盛に欠かせません。先に上げたグラフで、他の先進国が配当の割合が大きいのに対して、米国株は圧倒的にキャピタルゲインが大きいです。これは、配当のみならず企業成長が圧倒的だったことを示しています。

 

 米国企業の場合は、このイノベーションが極めてうまくいっている国と言えるでしょう。

米国株投資を支持する二人の巨頭

 さて、そのような高いリターンを示してきた米国株ですが、今後はどうなるのでしょうか。「高いリターンをしめしてきた」というように、すべて過去形で記述してきたのは、過去と未来を分けるためです。

 

 世界において突出したリターンを示した米国株ですが、このまま投資をしていて良いのでしょうか。すでに、世界の企業における時価総額で米国は他を圧しており、GDPとの乖離は著しいと言って良いでしょう。GDPと株価の相関は高くはないとはいえ、気になる水準です。

 

 投資界において有名な、2名の意見を引用してみましょう。

 

 まず、著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏はこのような言葉を述べています。バフェット氏は、米国企業への集中投資で財を成した人物です。

ウォーレン・バフェット氏のS&P500への信頼

 「私から管財人へのアドバイスはこれ以上ないほどシンプルです。『10%の現金で米国短期債を買い、残る90%の現金でS&P500に連動する非常に低コストのインデックスファンドを買う』のが良いと思います。(私はバンガードのインデックスファンドを勧めます)。

 

 この方針で運用された信託財産の長期間のパフォーマンスは多くの投資家と比べて優れたものになるでしょう-例えば高いコストでファンドマネージャーを雇っている年金基金や運用機関などよりも、です。」

 

※マネックス証券より引用。原典は2013年のバークシャー、「株主への手紙」

 

 次に、バンガードの創始者であるジャック・ボーグル氏の言葉をご紹介します。ボーグル氏は自分自身も、米国株および米国債へのインデックス投資をしていたことで知られます。

ジャック・ボーグル氏の米国株投資に対する信頼

 「歴史がそれを証明してもいるが、株式投資で成功する戦略とは、アメリカの上場株式すべてを、極めて低いコストで保有すること、である。これらの企業が配当や利益成長というかたちでもたらすリターンのほぼすべてを獲得することができるのだ。」

 

※「インデックス投資は勝者のゲーム」(パンローリング)

誰が何を言ったかではなく、自分自身がどのようなストーリーを描くのか

 有名な話ですので、ご存知の方も多いかもしれません。しかし、あえて出しておきながら言います。「誰かが言ったからそれが答えである」というのは投資においては危険です。

 

 著名な投資家が言っていた、あるいはアナリストが言っていた、もしくはカリスマツイッタラーが言っていた。。。どれも「参考に」なります。でも、答えではありません。

 

 最終的には、「自分がどう考えるか」です。誰かの意見というのは結局材料でしかなく、調理するのは自分なのです。

 

 米国のイノベーションが続く限りにおいて、米国株はこれからも長期で伸長すると個人的には確信しています。しかし、もし停滞を見せることがあればその成長はたちまち鈍化するのでしょう。それも事実です。

 

 いずれにしても、何か1つの考えにこだわることなく、新しい知識を私たち自身が受け入れ、柔軟に対応していくことで乗り切ることはできます。個人投資家というのは、成果を要求されません。時間や投資対象に縛られない自由さが最大の強みなのです。

 

 そして、だれもが運用益という形で平等に評価をしてもらえる世界なのです。ある意味では、個と向き合う孤独な活動ですが、そこでは極めて平等です。

 

 私たちは、自ら考え、自ら信じる投資をすればよいのですね。結果は数字で帰ってくるのです。

 

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