米国高配当投資に異変アリ
人気のある米国高配当株投資ですが、2018年以降やや苦戦をしています。相変わらず多くの銘柄は増配をしていますし、減配も一部の銘柄を除いてしていません。いわば、見込み通りのインカムを出してくれています。
しかし、今までと違いキャピタルゲインが殆どないのです。
青=VYM
緑=SPYD
赤=HDV
それぞれ、米国高配当株ETFとして知られる有名なETFです。上のチャートは2018年1月以降のチャートですが、プラスはHDVがかろうじて、VYMとSPYDはややマイナスという推移になっています。
2019年後半の相場次第では、この2年間は殆ど取引値成長をしなかった、ということになりかねません。もちろん、3%から4%超の分配金が出ていますから、預金などに比べるとはるかによいリターンなのは変わりません。
しかし、米国市場が最高値を更新した中にあってのこの成績というのは少し気になるところです。
好調なS&P500やNYダウ
これに対して、やや調整入りしているとはいえ、NYダウやS&P500はそれなりです。ETFでいうと似た傾向のVTIもそれなりに伸びていますね。
緑=Nasdaq総合指数
青=S&P500
赤=NYダウ
NYダウはプラス圏ではあるもののやや弱く、Nasdaq総合指数は大きなボラティリティを示しながらも比較的高いリターンを示しています。。
S&P500は長らくレジスタンスとして意識された3000ポイントを一時的にしろ突破をしました。このことは、大型株のすべてがまんべんなく買われているわけではなく、一部のセクターや好業績銘柄に資金が集中していることを示しています。
ハイテク株指数であるVGTやNasdaq100の連動ETFであるQQQの値動きを見ても明らかです。
投資ファンドの動きを見ても、非常に偏った銘柄に資金が集中していることが分かります。例えば、MicrosoftやVISA、Masterといった鉄板の好業績銘柄は代表的と言って良いでしょう。
相対的に割安になってきた米国高配当株
結果として、相対的に割安感が出てきているのが米国高配当株です。PEレシオはVYMはまだおおよそ20倍近辺ですが、SPYDは現状で14倍程度、予測だと13倍まで下がってきました。SPYDに関しては、利回りも4.5%ほどあります。
もともと、キャピタルを含めた成長性よりも、安定したインカムにフォーカスしたETFです。そのためPEレシオは低めに出ますが、ちょっと面白い水準ではあります。
とはいえ、もろもろ考えると、やはりVTIやS&P500のベンチマークとしてのバランスはさすがというべきですね。どのような相場でも中庸さが発揮されているように思います。
直近の値動きに惑わされない、ブレない投資方法を確認したい
高配当株に関しては、直近のパフォーマンスがやや冴えませんが、ブレる必要は無いですね。高配当投資というのは、やはりトレンドからやや外れたものになりがちです。
しかし、ひとたびリセッションになれば再びそのディフェンシブなインカムが評価されるでしょう。意外かもしれませんが、例えば2014年前後で高く評価されていたセクターの1つが生活必需品セクターでした。リターンがそこそこで、リーマンショック時のパフォーマンスに優れたからです。
何が良くて、何が良くないというのは、相場環境によるところが大きいです。
高配当投資は当初の投資の目的が「安定したインカムを得続ける」というところです。ETFの質自体は何ら変わるところは無いので、目的が達成されているならば、ブレずに続けていくことも大事でしょう。インカムでのリターンは出続けているのです。
長期投資の場合は、安心して続けられる投資対象に投資をしていくのが基本になります。そういう意味では、高配当投資も淡々と仕込んでいけば良いということですね。
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SPYDについての記事です。このETFの面白いところは、均等配分で単純に1.25%ずつの投資比率にしているところですね。時価総額加重平均に基づく配分が多いなか、やや異彩を放つ存在となっています。株系のETFにしてはインカムの利回りも高いです。
海外ETFの仕組みや強みを解説した記事です。海外ETFは非常に幅広い投資の選択ができるところですね。運用総額の大きなETFに関しては、投資信託で買えるようになりました。しかし、もうちょっと深掘りしたいときには欠かせない存在です。
コアサテライト投資に基づいた投資の考え方です。長期積立投資を基本としつつ、サテライトでうねりを狙ってみたり、はたまた売りから入ったりということで相場を楽しむ姿勢も尊重されてよいと思います。