たぱぞうの米国株投資

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確定拠出年金【iDeCo】のメリット・デメリットを考える

確定拠出年金【iDeCo】のメリット・デメリットを考える

  近年の法改正により、企業型の確定拠出年金に加入している人もiDeCoに加入できるようになりました。金融庁の「NISA」もそうですが、急速に投資条件は整いつつあるということです。

 

 これの意味するところは、ずばり老後不安ですね。団塊世代は第二次ベビーブーマーの氷河期世代が支えますが、氷河期世代を支えるベビーブームがありませんでした。そのため、この世代が老後の年金を受け取る時には対策が必要です。

 

 iDeCoは非常に有効な制度ではありますが、諸外国に比べると枠が非常に小さく、制約も多い制度です。そのため、概ね評判の良い確定拠出年金【iDeCo】ですが、万人に使える制度かというとそういうわけではありません。

 

 もっとも、相談にくる退職金の見込めない若い人や自営業の人たちには勧めています。投資に興味を持つきっかけになります。そして、運用年数が長いと税制面でのメリットがより大きくなります。

 

 今回は改めて、メリットとデメリットを備忘録的に書いておきます。多くの人にとってはメリットのほうが大きいのですが、同時にデメリットも知っておいたほうが良いですね。

 

 なお、前提として、日本株式ではなく、外国株式への投資という観点で書いています。

確定拠出年金【iDeCo】のメリット

 それでは、確定拠出年金【iDeCo】のメリットから書いてみましょう。

  1. 所得控除が受けられる
  2. 退職控除が受けられる
  3. ほったらかしで積み立て投資が可能
  4. 差し押さえ禁止財産扱いになる
  5. 実質、運用期間中は非課税になる

 このようなことになります。

所得控除が受けられる

 大きなメリットとして所得控除が受けられることがあります。これは、所得からiDeCo積み立て分を引いて所得課税されるということです。公務員で1.2万円、専業主婦やサラリーマンで2.3万円、自営業者で6.8万円の所得控除があります。

 

 年間ベースで見ると、自営業者の場合は81.6万円の経費算入が可能ということですから、税制上のメリットは大きいと言えるでしょう。

  • 公務員1.2万円
  • 専業主婦、サラリーマン2.3万円
  • 自営業者6.8万円

 まとめるとこういうことになります。

退職控除が受けられる

 確定拠出年金【iDeCo】を払い出す時に一時金で払い出すと退職控除を受けることができます。これは2000万円を上限としています。つまり、2000万円までは非課税扱いということです。

 

 ただし、これは勤め先の退職金との合算での枠です。そのため、退職金の受け取り額が大きい人は、受け取り時期をずらすなど対応が必要です。現状では、60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取るという形にすると、両方退職控除を受けられるということになります。

ほったらかしで積み立て投資が可能

 書類上の手続きさえ終えれば、ほったらかしで積み立て投資が可能になります。最初に設定した金額が、払い出し年齢である60歳まで積み立て続けることができるわけです。投資にあまり興味がない人でも継続投資できる良さがあります。

 

 途中で積み立て額を減額したり、ストップすることも可能です。ただし、払い出し年齢まで引き出すことはできません。

差し押さえ禁止財産扱いになる

 確定拠出年金【iDeCo】は差し押さえ禁止財産の扱いになります。例えば破産してしまった場合など、貯金や不動産などの財産は差し押さえ対象の財産になります。確定拠出年金【iDeCo】の積み立て額に関しては、年金扱いということで資産保全がされます。法的に差し押さえられません。

 

 老後の生活が最低限防衛されるということで、一種の生活防衛資金として考えることもできますね。特に仕事が安定しない場合は大きな意味を持つでしょう。

運用期間中は非課税になる

 運用期間中は、非課税です。これはデメリットでもふれる特別法人税が実質的に凍結されて徴税されていないからです。凍結期間は1999年からで、2年おきに更新されています。運用期間中の課税が無いことで、複利の効果を最大限に大きくすることができています。

 

 もし、資産税のような形で保有額に対する特別法人税の凍結が解除されると、大混乱に陥るでしょう。

確定拠出年金【iDeCo】デメリットを考える

 続いて、デメリットを考えてみましょう。

  1. 資金拘束期間が長いため、自由度が低い
  2. 退職金が多い人は退職控除を使い切ることができない可能性がある
  3. 定年延長に伴う、払い出しの後ずれリスクがある
  4. 特別法人税の凍結が解除の恐れがある

 このようなデメリットがあります。まとめてみましょう。

 資金拘束期間が長いため、自由度が低い

 確定拠出年金【iDeCo】は積み立て始めたら60歳まで資金拘束されます。つまり、途中でお金が必要になったから引き出す、ということが出来ないのです。

 

 ちなみに私は年金財形を殆ど満額近くまで持っています。これは60歳まで解約できないのを基本としながらも、いざとなれば時間と手間はかかりますが解約できます。

 

 また、年金財形は何かあったら積立額の5倍で償還できるという保険の役割もあります。そのため、市場の大暴落が来て、株式にしたい場合以外は解約しないつもりです。それでも、いざとなったら解約できるというのは精神的な自由度が全然違います。

 

 同じような国の制度に基づく積み立て制度ですが、それぞれ特色を押さえて投資をしたいところです。確定拠出年金【iDeCo】の場合はこの、60歳までの資金拘束というのが大きなデメリットになります。

退職金が多い人は退職控除を使い切ることができない可能性がある

 退職金が多い人は退職控除を使い切ることができない恐れがあります。確定拠出年金【iDeCo】は自分の積み立てたお金ではありますが、払い出しの時には元金も含めた収入として計算されます。そのため、課税が元金にもされます。

 

 退職控除枠は2000万円が最大です。退職金を勤務先から受け取る場合、確定拠出年金【iDeCo】との合算で退職控除枠を超えてしまう可能性があるということです。

  

 これを避けるためには、60歳で払い出しを受け、65歳で退職金の受け取りといった方法があります。払い出しから5年経れば、課税が避けられるという流れです。詳しくは関連記事の「退職金が多く、老後の収入が多い人のiDeCoのベストの受け取り方」をご覧いただければと思います。

 

 いずれにしても、つみたてNISAのような自由度は無く、あくまで年金としての扱いになってくる点は注意が必要です。

定年延長に伴う払い出しの後ずれリスクがある

 関連して、払い出しの期間の延長も気になるところです。仮に定年が延長されて70歳になったら、確定拠出年金も70歳まで払い出し不可能となるのでしょうか。これはまさに未来予想でどうなるかわかりません。

 

 しかし、すでに65歳からの払い出しが真剣に議論されています。自分の積立金ですが、払い出しの自由が利かないのです。「ほかにやりたいことができたから50歳でリタイヤするかな」となっても現時点で最低60歳まで資金拘束は続きます。

 

 確定拠出年金に入ったことで、退職時期の束縛が生まれる可能性があります。資金拘束は明らかなデメリットですね。

特別法人税の凍結が解除される恐れがある

 特別法人税問題はiDeCoの最大の懸念です。運用時に一律年率1.173%(国税1%+地方税0.173%)を課税するというものです。通常、諸外国のiDeCo相当の制度は払い出し時のみの課税です。

 

 日本においても払い出し時に課税はされるのですが、さらに運用時に特別法人税をかけるとなると、二重に課税されることになります。しかも、運用成績に関わらず、資産額にかかるので、運用効率が著しく落ちることになります。

 

確定拠出年金【iDeCo】のまとめ 

 税金面での控除や売買益に関するメリットが魅力ではあります。特に運用年数が長くなる20代や、退職金の無いあるいは少ない層には大きな意味合いがあります。

iDeCoのメリットデメリットを把握し、老後に備える

iDeCoのメリットデメリットを把握し、老後に備える

 自分の置かれた環境を考え、投資するかしないかを決めていくことが大事ですね。数年前は低コストのiDeCo対応海外対象投資信託というと、MSCIコクサイ一辺倒でした。しかし、今ではVTIやS&P500連動の投資信託もあります。

 

 投資環境そのものはかなり改善されつつあるというのが現状ですね。自分の年金受取額と退職金見込み額を考え、iDeCoで補っていくというのは有効な手段です。

 

 今回、企業型との併用が全面的に解禁となる可能性があるということで、改めて記事にしました。

 

関連記事です。

 自分年金となりうる、高配当投資についてです。

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 不労所得の作り方についてですね。

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久しぶりに債券に妙味がありますね。

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