たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

【損益通算】損出しの意味とやり方・考え方

損だしの意味とやり方、考え方

 気づけば今年もわずかですね。そろそろ年末を意識した投資行動をしてもよいでしょう。

 

 行政の区切りは年度です。つまり、3月〆の4月始まりです。これに対し、確定申告などの税の区切りは12月〆の1月始まりです。

 

 配当金や株式取引で利益が出ている場合、手持ちの損をしている株式を損失確定することで、利益と相殺できます。これを損益通算、損出しといいます。

 

 100万円の配当が出ているとします。このうち、税金を配当が出るたびに20%支払います。年間の配当課税は20万円です。

 

 他方、所持している株で50万円損をしているとします。配当課税を軽くするべく、この株を売り、損失を確定させます。そうすると、こちらの売買に伴う年間の損は50万円になります。

 

  • 配当益100万円-売買損50万円=年間の利益50万円

 

 年間の利益である50万円にかかる税金の20%は10万円です。20万円分支払っているので、過払いということになります。ですから、10万円を返してもらうことが可能になります。配当に限らず、売却益でも可能です。

 

 損だしというのは、このようにわざと損失を確定させることで、税金の過払いを防ぐ、そういう取引のことを言います。

 

 今回はこの損だしについてご質問をいただいています。

【損益通算】損だしの手順と時期について

たぱぞうさんはじめまして。

 

 今年の三月から米国株投資を始めて、毎日たぱぞうさんのブログで勉強させていただいています。これまでに投資経験はありません。


 米国高配当株、ETFのバイ&ホールド、いつかは配当金によるセミリタイアを目指しています。証券会社はSBIを利用しています。


 今回おたずねしたいことは、損出しについてです。具体的な手順としては、年末のある日に含み損状態にある株を売り、次の日になるべく同じ値段で買い戻す、でよいのでしょうか?


 そして、損出しのセオリーとして年末に行うことになっているようですが、たとえば暴落時に損出しをしておいたり、また、年始に特定口座の銘柄を売って同じ銘柄をNISAで買い直したりして損出しすることに問題はないでしょうか?

 

 年間の税引前配当金の合計が30万円、うち10万円が税金で引かれるとして、損出しで出した売却損が30万円なら10万円、10万円なら3.3万円が返還される、という理解でよろしいでしょうか?


 なにぶんバイ&ホールドなので、買った経験はあっても売った経験が一度もありません(笑)。よろしければブログの方で取り上げてくださってお答え頂けると助かります。

損益通算を見込んだ損だし時期について

 まず、損だしの時期ですが私は本来6月末でいったん整理、9月ぐらいから準備しておいたほうが良いと思います。年末は個人投資家の損だしが意識されますし、機関投資家の利益確定も少なくありません。

 

 つまり、年末は比較的荒れやすい相場環境であると言えます。そういう意味では期間ギリギリに損だしをするよりは、9月ぐらいから準備をしておき、自分の利益を見ながら損だししていくというのが理想だと私は思っています。

 

 ただし、米国株の場合はファンドの区切りが10月に設定されていることが多いです。そのため、8月9月は同様に損益通算の売りが出やすく、市場が弱含むというアノマリーがあります。そのため、9月ごろから損益通算を意識して、売り場を探りつつも焦らず相場に臨むということになります。

 

 配当・分配金などインカムを狙った投資をしていると、年末までの利益がかなり正確に予測できます。例外を除いて、連続増配銘柄などは配当金の急な増減があまり無いからです。そういう意味では予測可能なので、事前に損だしもしてしまうという手があります。

 

 ただ、早めが良いからと言って、優良株を決算悪やニュースで売ってしまうのはあまりオススメできません。底値での売りになってしまうからです。

 

 また、買戻しの時期は当日でなければ問題ないという意見もありますが、翌日でも節税目的の売買はダメ、という意見もあり注意が必要です。当然ながら売る銘柄は、不要と思われる銘柄が一番ですね。

 

 また、NISAで買いなおすことは問題ありませんが、NISA口座内で損益通算はできない、ということも付け加えておきますね。

損だしを目的化しないほうがいい

 損だしは無理にする必要はありません。むしろ、損だししない環境のほうが望ましいのです。持っている株が上がる、持っている株が配当を出す、この2つによって資産形成を目指していくのが買いから入る株式投資です。

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 特に右肩上がりの長期のバイアンドホールドでは、だんだんと損を出せる銘柄自体が減ってきます。そのこと自体に価値があると私は思います。

 

ご質問ありがとうございました。

 

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