たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

リースバックとリバースモーゲージの基礎基本

リースバックの仕組み

 リースバックという仕組みがあります。英語で言うところの「sale and leaseback」ということです。簡単に言うと、家を売って、お金をもらいつつ、その家を借り続けることができるというスキームです。

 

 不動産用語でいうところの、賃貸借契約付き売却となります。


 正確には、不動産以外でも成り立つので、必ずしも自宅の売却に伴うリースバックだけを指すわけではありません。しかし、日本においてはリースバックというと自宅の賃貸借契約付き売却を指すことが多いですね。不動産用語化しています。


 この制度のメリットは、老後の生活などで手元資金が足りなくなってきたときに、自宅を売却することでキャッシュが手に入る、そして自宅に住み続けることができるというところです。


 賃貸借契約付き売却なので、売却した後も賃貸借契約で済み続けることができるというわけですね。日本では、ハウスドゥやセゾンファンデックスといったところが熱心に取り組んでおり、2010年以後のビジネスモデルながら、利用者は増え続けています。


 これらの企業は転売することなく、自らが大家となって賃貸借契約を結ぶことが1つの特徴になっています。つまり、転売はしないというわけです。このことにより、新たな所有者から退去を迫られるようなことが起きない仕組みになっています。


 企業として不動産を購入して、大家となるわけですね。そして、元の所有者にリースをして賃料収入を得るという仕組みです。


 場合によっては、元の所有者が買い戻すということも可能で、自宅に住み続けたい人たちにとっては一定の人気を博しています。

リースバックのメリットとデメリットはこのようになっている。

 リースバックにはメリットとデメリットがあります。それぞれ触れてみましょう。

リースバックのメリット

  • 自宅を売却することで、お金が手に入る
  • 手続きが比較的簡単
  • 固定資産税の負担が無くなる
  • 自宅を売却しても、住み続けることができる。
  • ご近所には売却したことが分からない。
  • 経済状況次第で買い戻すことが可能なことがある
  • 高齢者見守りサービスが付帯する(セゾンファンデックスの場合)

リースバックのデメリット

  • 賃貸される側になるので、家賃を払う必要がある
  • 家賃を払えなくなったら、退去しなくてはいけない
  • 必ず自宅を買い戻せるわけではない
  • 売却価格が周辺相場よりも安くなりがち
  • 買戻し価格は売却価格よりも高くなるケースが多い
  • 売却なので、住宅の名義が変わる
  • 契約の形は基本的に定期借家契約になる

 このようなメリットデメリットがあります。大きなメリットとしては、ある程度まとまった資金を手に入れて、なおかつ自宅に住めることでしょう。デメリットとしては、売却価格が一般的な市場価格よりも安く査定されがちだということです。

 

 これらの金融機関は銀行よりもさらに掛け目が厳しい、担保価値が厳しくみられるので、そういうことになるのでしょう。

 

 ですから、自宅へ住み続けたいという思いを持つ人には良いですが、住む場所にこだわらないという人には向かないサービスかもしれません。いくつか気を付けたいことがありますので、これも取り上げておきます。

リースバックで気を付けたいこと

 リースバックで気を付けたいことをまとめてみましょう。

 

 1つめに、対象となる地域が決まっているということです。資産価値のある住宅でないと売却できませんので、対象となる地域は決まっているのです。人がまばらな、ぽつんと一軒家のようなところは、需要と供給から考えて難しいケースがあります。

 

 2つめに、抵当権です。住宅ローンの残債が残っている場合には、金融機関の抵当権が打たれています。これが外せるように、売却額が残債を上回っている必要があります。抵当権が残ったままだと、当然売却はできないということになります。


 3つめに、契約の形が基本的に定期借家契約になるのも知っておいたほうがいいでしょう。定期借家契約というのは、決まった期間だけ住むことができるという契約です。通常2年程度で契約することが多いのですが、2年ごとに契約を見直し、貸主側と借主側の双方合意により再契約を行うことが可能です。


 当然ながら、契約期間中に家賃の滞納や住民とのトラブルを起こすなどの問題がある場合には、再契約は難しくなります。借地借家法ベースだと借主のほうが強いので、定期借家法で契約書を巻くということですね。

 

 セゾンファンデックスのケースでは、これまでに再契約を拒否した例はないとのことです。しかし、家賃の滞納など借主側の正当な事由により再契約を拒否されてしまうケースがあることは知っておいて良いでしょう。

リバースモーゲージとリースバックの比較

 似たような手法として、リバースモーゲージという方法があります。

 リバースモーゲージは自宅の売却をしないスキームになります。自宅を担保に入れて、資金を借りるという形になります。

  • 所有権は移転しない
  • 借りたお金を返し続ける

 このような流れになります。リバースモーゲージがリースバックと大きく違うのは所有権が移転しないところです。リースバックは完全に売却という方法を取ります。両方とも、住み慣れた自宅に住み続けるというのは同じですが、不動産登記上全く違うスキームになります。

リースバックとリバースモーゲージの基礎基本

  • 売却で資金を得るのがリースバックです。
  • 担保に入れて、資金を借りるのがリバースモーゲージです。


 いずれにしても、自宅に住み続けながら当面の資金を得られるということで近年人気が出てきています。私たち老後を考えるうえで、知っておいて良い用語であることは間違いないですね。

自宅という資産が老後の生活を守ってくれる、かもしれない。

自宅という資産が老後の生活を守ってくれる、かもしれない。

 リースバックに関しては、ハウスドゥやセゾンファンデックスといったところに実績と定評があり、リバースモーゲージに関しては東京スター銀行が早くから取り組んでいまます。

 

 どちらも、土地の価値のある首都圏や大都市圏でのサービスになります。都市部の住宅費は高いですが、資産としての価値がある分このようなサービスがあるということですね。


 高齢化社会を迎えるにあたって、このような自宅を現金化するサービスが今後もニーズを高めていくのでしょう。老後資金および年金が限られるからですね。勤め人のころに資産形成ができているか、いないかというのも大きいですね。

 

 今回は、知っておきたい言葉と業界ということで取り上げてみました。

 

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