たぱぞうの米国株投資

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あまりに楽観論渦巻く米国株投資

あまりに楽観論渦巻く米国株投資

 米国株投資が日本株投資に比べれば簡単なのは理由があります。米国株式市場と米国のGDP成長の相関性が高く、株式市場が右肩上がりの成長を遂げてきたからです。諸説ありますが、一説によるとこの2者の相関係数は0.94にもなるといいます。

 

 そのため、私は「米国株市場は長期右肩上がりでシンプル、米国株は日本株の難易度を10とすると2ぐらいではないか」ということをブログで書いてきました。ただ、だからといってキャッシュポジションは要らないとか、株式100%投資が正解とかそういうことではないですね。

 

 国際分散投資と米国集中投資という議論もありますが、米国集中投資は米国株100%投資を意味しません。どういうことかと言いますと、現金を含めた様々なアセットへの分散は必要です。

 

 逆に、国際分散投資よりも米国一国集中投資をするならば、よりセンシティブにキャッシュポジションや他のアセットへの分散投資に気を配るべきでしょう。最近になって米国株投資を始めた人で、以下のような人は気を付けたほうが良いですね。

  1. 今年に入ってポジション100%で米国株を持っている
  2. キャッシュポジションあるいは債券など他のポジションはゼロである
  3. 株式投資歴が10年以下である

 以下、お話を加えていきたいと思います。

今年に入ってポジション100%で米国株を持っている

 2018年の初頭に久々に調整らしい調整がありました。これは、ある意味では終わりの始まりと捉えることもできます。米国長期金利は3%前後をキープしていますが、利上げ基調は継続されています。

 

 今回の利上げはリーマンショック後では初の継続的な利上げ上昇局面と言ってよいでしょう。そのため、時間をかけて非常に丁寧に、市場と対話しながら利上げを行っています。よくコントロールされた金利上昇です。

 

 しかしながら、何事も万能ということはありません。過去に多くの暴落が金利上昇局面で起きてきていることを想起すれば、今回も「いつかどこかで」と構えておくほうが自然と言えるでしょう。長短金利の均衡も顕著です。

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 SPYの年頭のチャートですが、あっという間に元に戻りました。

 

 いずれせよ、投資と言うのは「上手くいかなかったとき」を常に想定しながら実行していくのが基本になります。

 

 今年に入ってポジションを取ったならば、買値も高いです。個別も、そして広く支持されるインデックスもそうでしょう。そういう人がいきなり100%のポジションにも関わらず「安心して買い持ち」というのはちょっとヒヤヒヤしますね。

キャッシュポジションあるいは他のポジションはゼロである

 キャッシュポジション、あるいは他のアセット、例えば債券などのポジションはゼロである、という人も一度自分のポートフォリオを見直したほうが良いでしょう。人によってはいくらか利益確定をさせるべきなのかもしれません。

 

 自分の投資資金のすべてを株式に全振りするような市場は、世界の市場どこを見回してもすでに終わっています。この10年で株式全振りでも良かったのは、2008年から2009年前後、2011年から2012年前後、2015年夏から2016年初頭ぐらいでしょうか。

 

 この時期はそれぞれ、リーマンショック、ギリシアショック、チャイナショックがそれぞれあり、200日移動平均線を大きく割り込むような局面でした。しかし、投資歴の長い人ならば分かると思いますが、悲観論渦巻く中で100%のポジションはなかなか持てないものです。

 

 逆に今のような株高局面では、ついつい強気になって株式投資にのめりこみがちです。オフ会なども多く開催されますが、それは「みんな勝っている」からで、こういう風潮は2000年代には見られないことでした。損益画面を見ていて吐きそうになるぐらいの悪相場、本来こういうときこそ投資すべきなのです。

 

 もし、自分が株式100%に投資資金を割り振っているならば、経験と照らし合わせてそれは大丈夫なのか、改めて自問してみるとよいでしょう。今はまともな投資をしていれば殆ど全員が勝っていますから、自分が上手いのか、市場に恵まれているのかを見極める必要があります。

 

 ちなみに、私の場合はすでに昨年末から株式投資の資金を4割以上抜いています。配当金の報告などをたまにしていますが、あれは私の資産のうちの5割ちょっとです。暴落が来ても揺るがないキャッシュフローを作るために資産分散をしたということです。これはブログで書いてきたとおりです。

 

 米国市場は基本は右肩上がりですが、「吐きそうになるほどの悪相場」はいつか再び、間違いなくきます。その想定ができているかどうかということですね。

株式投資歴が10年以下である

 実は株式投資歴が10年以下である、という人は大きな暴落相場を経験していない人ということになります。そういう人が「米国株なら絶対に儲かる。米国株なら絶対に負けない」と思って投資するのは危険です。

 

 例えば50年投資できるならばそうかもしれません。しかし、大きなポジションを最近になって持ったような場合は目先の資産減少に心がやられる可能性があります。これが先ほどの「吐きそうになるほどの悪相場」ということです。

 

 本当に景気が悪くなると、リストラも増えますし、ボーナスもカット、残業も減少、という形で労働による収入もセットで減る可能性があります。リーマンショック時はそうでした。

 

 株式投資で目先の資金が減り、仕事も無くなる。こういうことに思いを巡らせてみると良いでしょう。株式100%投資というのは、下げ相場で耐性がありません。

 

 また、あまり語られませんがブロガーやアフィリエイトによる収入は間違いなく劇的に減ります。景気が悪くなると真っ先に広告費が削られます。そのあおりを受けるのは必定で、今の副業の収入が未来永劫続くと思うのは間違いです。

 

 今の収入で将来の収入をシミュレートし、例えば中途半端な力量で独立するのは危険な局面です。同じように、今の収入があることを前提に住宅ローンを組んだり、過度に投資に資金を突っ込むのはやはり大変危険ということです。

悲観論ばかりでもできない米国株投資

 とはいえ、悲観論ばかりでも投資はできません。私は基本的にペシミストですので、こういう悪材料は次から次へと思い浮かびます。思うに、ある程度経験を積んだ個人投資家というのは2000年代のどうしようもない市場の記憶が鮮明です。

 

 そのため、投資先がディフェンシブに過ぎたり、分散をさせすぎたり、そうして株高局面の利益を享受しきれない面もあるかもしれません。人の行動は経験に左右されることが多いからです。

 

 しかしながら、株式投資は退場しないことが一番です。儲けの多い少ないはあるでしょうが、今は「誰もが儲かっている」状態です。総ハッピー状態ですね。でも、こういう状態が永遠に続くわけではないですね。

 

暴落は、来てから備えることはできません。

 

 暴落が来る前に備えておくのです。暴落が来ると、多くのアセットが値下がりします。安値で売り払わないといけないようなポジションを持ってはいけないということですね。

 

 資金の余裕は心の余裕に繋がります。今行っている投資は、無理のないものになっているかどうか。見直す時期ですね。

 

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