iFreeS&P500とemaxis slimS&P500を簡単に比較してみます。
かつては低い信託報酬でS&P500に投資をすることは限られていました。投資信託では特にそうでしたね。ETFではSPYの東証版があり、1557は一定の人気がありますね。
その後、金融庁のつみたてNISA説明会があり、その席上でS&P500などの米国株指数が話題になったこともあり、続々と対応投資信託が出てきました。【】は信託報酬です。
- iFree S&P500【0.225%】実質【0.372%】
- eMaxis Slim 米国株式【0.17172%】実質【0.25あたりか?】
- 楽天VTI【0.16960%】実質【0.2843%】
※実質コストは赤字は直近、黒字は見込みです。
これらの登場は、つみたてNISAとの関連性は極めて高いといってよいでしょう。そういう意味では、行政の役割というのは日本の投資信託界においては決して小さなものではありません。
先行したのはiFree S&P500でしたが、その後eMaxis Slimシリーズが業界最安値で商品をリリースし続け、影響を受ける形になっています。
さて、こうした現状を踏まえてご質問を紹介します。
iFreeS&P500とeMAXIS slim米国株式の現状と行く末
はじめまして、いつもブログを拝見しております。つみたてNisaでiFreeS&P500に投資しておりますが手数料の安いemaxis slimS&P500が出てから純資産額(現在66億円程)の伸びが鈍化していると感じております。
そこでいきなりの質問で大変恐縮ですが、
- このまま純資産が伸びないなら運用効率も悪くなり償還のリスクだけが残るのでしょうか。
- つみたてNISA口座をポイント投資等のサービスを利用できる楽天証券で新たに開設し、より分散性のある楽天VTか実績のあるニッセイ外国株インデックスに乗り換えようかと思っていますがいかがでしょうか。
- つみたてNISAの場合、iFreeS&P500や楽天VTなどの投資信託の「配当金ゼロ」というのは、配当金が無税で自動再投資されておりその複利効果は無配にした場合と同じと考えて良いのでしょうか。
米国ETFでは既にSBI証券でVTIとVOOを少しづつですが直接買い付けています。eMaxis系の手数料は安いとは思いますが、値引き合戦を繰り広げているだけで消耗戦の行く末が心配です。中途半端な知識で的を得ない質問だったらご容赦頂きたく、ご回答いただけると大変ありがたいです。
勝負あった!感じのするS&P500連動投資信託・・・
改めてiFreeS&P500とeMAXIS slim米国株式をサラッと見てみましょう。
iFreeS&P500の現状
iFreeS&P500の現状です。リリース当初はかなりの勢いで運用総額を伸ばしてきました。
2018年末から2019年春にかけて基準価額は回復していますね。しかし、運用総額はおっしゃるように60億を超えてから鈍化しています。明らかに楽天VTIやeMAXIS Slim米国株式の影響を受けていますね。
繰り上げ償還の条件が明記されています。30億口、つまり運用総額で30億円を下回るようなことになれば繰り上げ償還してしまうということですね。今のところ、倍額以上はあるので、喫緊でその危険性があるということではなさそうです。
気が付くとS&P500連動ETFであるIVVの買い付け額が一位になっていますね。ETFでの買付が面倒が無くて良いという結論でしょうかね。しかし、その分ETFの経費率がかりますから、このあたりの運用コストのバランスは気になるところです。
ちなみに、楽天VTIはETFで運用しており、eMAXIS Slim米国株式は現物株で運用していますね。
eMAXIS Slim米国株式の現状
続いて、eMAXIS Slim米国株式を見てみましょう。
こちらは順調な運用総額の右肩上がりですね。100億円を超えて、さらに伸びそうな勢いを感じます。2018年末の調整時にも解約はさほど発生していないですね。長期投資に適した投資信託と認識されているのでしょう。
基準価額は上下動があるものの、安定した運用額の増加はファンドの運用そのものを安定化させますね。
eMAXIS Slim米国株式の場合はETFを入れていないですね。全て現物株で構成されています。こうしてみてみると、経費率の差がそのまま運用総額の伸びに反映されているように見えます。
消費者としては、比較対象があるほうが嬉しいのですが、低価格路線という意味では勝負あった感がありますね。
その他のご質問に関して
楽天VT、ニッセイ外国株式、S&P500であれば、私はS&P500をおススメしています。理由は、新興国のGDPの伸びが素直に反映される株式指数が殆どないこと、EUや日本などの先進国の成長余地が小さいと感じられるからです。
分配金ゼロはイコールで配当金ゼロというわけではありません。米国における配当金は出ており、そこでの源泉徴収課税は発生しています。日本の場合は、その配当金を再投資して、無配の投資信託としているということですね。
つまり、米国源泉徴収課税の10%は配当課税され、日本国内の20%は繰り延べて再投資されていくということですね。
ご質問ありがとうございました。
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レバレッジをかけて、より大きく取りに行くタイプのETFですね。基本はS&P500に準拠しており、3倍の値動きをします。
投資入門としてもっとも優れた指数のうちの1つだと思います。
長期のS&P500指数の年率パフォーマンスに関する記事です。