ドミニオン・エナジー【D】は安定感ある公益事業会社
日本にいるとほとんど知られることのないアメリカ国内事業会社ですが、ドミニオン・エナジーもそのうちの一社と言えるでしょう。公益事業会社ですので、典型的な内需会社と言えます。
ドミニオン・エナジーは事業を始めたヴァージニア、それからノースカロライナ、オハイオ、ウエストバージニアを中心として14州で事業展開しています。その事業内容は、電力、天然ガスなどエネルギーの生産と輸送です。顧客は500万を超え、安定の公益株ということになります。
※ドミニオン・エナジーのホームページから
創業は前身の会社も含めると1787年にさかのぼります。アメリカ建国が1776年ですからほとんど国の歴史と変わらないぐらいの伝統企業といえます。
1811年ごろから運河や川の水利事業を行うようになります。また、20世紀に入って電力を使った鉄道会社と電力会社が一緒になり、共同で一般家庭にも配電したり、ガスを供給するサービスを始めます。それが今のドミニオン・エナジーにつながっています。
その後他社と合併したこともありますが、第二次世界大戦後再び分社し、今に至ります。 2016年の2月に天然ガス供給会社のクエスターを買収することを発表しました。その額は44億ドルです。
ドミニオン・エナジーに限らず、アメリカの公益事業会社は少なからず合併や買収が展開されています。
ドミニオン・エナジー(D)のチャートと配当
2006年8月 株価39ドル 配当0.345ドル
2016年6月 株価74ドル 配当0.7ドル
2017年12月株価76ドル 配当0.77ドル
10年で株価も配当もほぼ倍になっています。公益は地味な値動きが基本なのですが、ドミニオン・エナジーはとてもよい、きれいな上昇チャートを描いています。
83ドルまで上がる局面がありましたが、FRBの利上げ決定後値を下げています。
ドミニオン・エナジー【D】の配当性向
配当余力が十分あります。配当はおよそ4%です。今に限ったことではなく、過去をみると4%台が普通です。
ドミニオン・エナジーは1文字ティッカーDです。昔はアメリカを代表するような重厚長大の伝統ある企業が使っていたので、1文字ティッカーには重みのようなものがありました。でも今はそうでもないです。
例えばかつてクライスラーだったCは今はシティバンクになっています。1文字ティッカーは全米でおよそ20社あります。
ティッカーは基本は3文字以内ならばNYSE、4文字ならNASDAQと使い分けられていました。でも、これも最近必ずしもそうではなくなっていています。
ドミニオン・エナジー【D】のBPSとEPS
一株資本=BPSがこの5年で1.3倍になっています。EPSはこの10年で横ばい、殆ど伸びていません。ただ、安定的ではなく、2012年には0.6ドルまで下がっています。
ドミニオン・エナジー【D】の売り上げと利益
売り上げは漸減です。しかし、その間営業利益率は電力という事業にしては高く、30%もあります。そのため、営業利益はさほど下がっていません。むしろ、この5年で見ると高い水準にあると言ってよいでしょう。
ドミニオン・エナジー【D】のキャッシュフロー
電力は設備投資に資金がかかるものです。投資CFが他業種に比べて格段に大きくなっています。そのため、フリーCFが、他業種と比べるとマイナスであることが多く、キャッシュフロー上はあまり魅力を感じないバランスになっています。
ただ、これはドミニオンエナジーに限ったことではなく、他のドュークエナジー【DUK】やサザン【SO】といった大手電力もそうです。
基本的には典型的なインカムゲイン銘柄で、キャピタルゲインはおまけのような企業ですね。
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かつてパワーパシフィックライトといった、PPLコーポレーションです。同様に高配当銘柄として有名です。
全米最大級の電力会社であるエクセロンです。ここも比較的高配当ですが、原子力発電の比率が高めなのをどうとらえるかですね。
サザンも高配当です。私も持っています。東芝に原子力発電システムを発注しており、その工事があまりうまく行っていません。業績は安定的、配当も安定的です。
デュークエナジーの創業者はデューク大学の設立者でもあります。。ここも安定的で、最も歴史ある電力会社の1つと言ってよいでしょう。