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XYLD、カバードコールETFのS&P500版、分配金利回り10%近く!?

カバードコールETFのS&P500版 XYLDとは?

 【XYLD】とは、Global X社が運用するGlobal X S&P 500 Covered Call ETFという米国ETFです。2013年6月21日に設定されました。マーケットはNYSEです。


 近年、高配当ETFとして人気があるNASDAQ100を対象とした同様のETFである【QYLD】よりは半年ぐらい早く設定されています。

 

 【XYLD】はCBOE S&P 500 BuyWrite Indexに連動することを目指したETFです。
 このインデックスはS&P500を対象とした「カバード・コール戦略」で設計されています。S&P500についてはすでに申し上げる必要はないでしょう。

 

 「カバード・コール戦略」については【QYLD】GlobalX Nasdaq 100 Covered Call ETFを紹介した際に触れています。


 【XYLD】の場合はS&P500の現物を1単位買い、S&P500のコール・オプションを1単位売るという戦略です。

 

 「カバード・コール戦略」で運用したい人は、現物を買い、同じ単位の「コール」を売って、オプションプレミアムを受け取ります。オプションは毎月1度決済する日があります。決済日の価格がオプション取引の決められた価格に対して高いのか低いのかによって、利益と損失が決まります。

 

 現物は上がれば上がるほど利益が出ます。一方「コールの売り」は、決められた価格+プレミアムより決済日の価格が低ければ、プレミアムの分だけ利益が出て、価格が高ければ高いほど損失が出ます。

 

 【QYLD】でも用いましたが、仮に現物が10ドル、プレミアムが1ドルの場合、現物とコールの売りの損益はそれぞれ以下の図の通りになります。

カバードコール戦略のイメージ図

カバードコール戦略のイメージ図

 つまり、コールの売りは現物の下落をカバーすることができます。「カバード・コール戦略」という言葉のとおりです。一方、コールの売りは現物の上昇に対しては逆の効果を持ちます。よって現物の上昇には追随できません。

 

 つまり「カバード・コール戦略」は、現物の上昇で得られるリターンを捨てて、プレミアムで得られるキャッシュフローと現物から得られる配当金でリターンを追及しているしくみです。

【XYLD】の分配金、経費率、取引値推移を見てみる

「カバード・コール戦略」をざっくり理解したところでその戦略を使っている【XYLD】を見ていきます。まずは経費率を確認します。


【QYLD】と同じで0.6%です。低くはないですね。

XYLDの分配金利回りは8%強にもなっている

 【XYLD】最大の特徴は毎月分配です。先ほど述べたようにオプションは毎月精算されます。S&P500が上昇していれば、毎月オプションプレミアムというキャッシュを得られます。さらに月によっては現物の配当金が入金します。これらが毎月分配の原資になると考えられます。

 

 この分配利回りが年換算で概ね8%強と非常に高いということで、人気を集めているようです。

XYLDの分配金

XYLDの分配金

出典: GlobalX website

 とはいえ、高分配利回りになったのは近年のことです。

XYLDの分配金グラフ

XYLDの分配金グラフ

今年の分配実績は以下のとおりです。

XYLDの分配実績

XYLDの分配実績

XYLDとS&P500,QYLDの比較チャート

 XYLDとS&P500と比較したチャートです。試しに【QYLD】も入れてみました

  • 赤:S&P500
  • 青:XYLD
  • 緑:QYLD

 【XYLD】は現物の上昇を捨てている戦略ですので、S&P500と比較するとパフォーマンスには明らかな差があります。一方、【QYLD】よりは概ね高い水準で推移しています。いずれにせよ、キャピタルゲインを追求する性格ではありません。

XYLD,S&P500,QYLDの比較チャート

XYLD,S&P500,QYLDの比較チャート

 昨年12月からの月次出来高の推移です。徐々に人気を集めている様子がうかがえます。着々と増えています。

XYLDの出来高推移

XYLDの出来高推移

出所:US版 Yahoo! Finance


【XYLD】の構成銘柄

 S&P500採用のおなじみの銘柄が並んでいます。

XYLDの構成銘柄

XYLDの構成銘柄

【XYLD】の投資戦略、活用方法

 【QYLD】と同様に現時点でキャピタルゲインは要らないが、毎月コツコツ分配金を受け取りたいという方には向いているでしょう。

 

 想定される欠点は、【XYLD】を買う人が増えれば増えるほど、コールの売りを増やさなければいけませんが、S&P500が下落し続けるようなマーケット環境ではコールを買う人が減るので、コールを売れない状況がくることです。

 

 つまり作りたいポジションを作れないことでしょう。これは「カバードコール戦略」共通の特徴です。

 

 しかしながら、下落し続けるような環境を想定しづらいのなら、S&P500そのものを買った方がリターンの追求としては理に適っています。資産形成の初期段階ならば【XYLD】ではなく、例えばS&P500に連動するETFである【VOO】の方が合理的です。

 

 一方ある程度資産形成ができてから、定期的にキャッシュフローを得たいと望む投資家には、資産の1割程度を【XYLD】に割いてもいいかもしれません。

 

 なお、分配金として支払われてしまうと、課税が必須です。一方現物の含み益には課税されないことも念頭に置いておきたいですね。

 

 【XYLD】はSBI証券楽天証券マネックス証券のオンライン証券大手3社すべてが取り扱っています。で取り扱いが始まりました。そのため、日本からの取引には敷居が低くなっています。

 

関連記事です。

カバードコールETFのNasdaq100版、QYLDについてです。

www.americakabu.com

カバードコールを組み合わせたJEPIです。

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こちらは後払い決済、今はやりのフィンテック系ですね。

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