VISA【V】は世界2大カード会社の1つであり、高収益で知られる
VISA【V】は世界一のシェアをもつカード会社です。よくマスター【MA】と比較されますが、両社とも極めて成長性が高く、利益率も高いです。売り上げは世界中で伸び続けており、今後も鈍る可能性は低そうです。
米国株の強みはVISA【V】やマスター【MA】といった規模の大企業でも、業態の特殊性や成長性からさらに伸び続ける企業が多くあるということです。新興国などの世界需要を取り込みつつ、持続可能な成長力を維持するのです。
それはAmazonやGoogleに関しても言えるでしょうし、比較的歴史ある企業でもそうです。ということで、前段が長くなりましたが今日はVISA【V】に関してのご質問を頂いています。
VISA【V】ホルダーだが、売るべきかどうか迷う。
たぱぞう様、はじめまして。いつも楽しく読ませて頂いております、駆け出しの自称投資家です。
実は昨年、VISAを$77ほどで100株ほど買い付けましたが、その後ドンドン株価が上昇して今や$122ほどになっています。
当初は20年くらい保持していよう!と思っていたのですが、VISAの配当は少ないし、この先、何が起こるか分からない世界ですから、さっさと売却して売却益をそのまま、たぱぞう様がご推奨されるVTI, VYMの購入資金に充てようかと思い至りました。
私は本物の貧乏人なので、毎月バンバンとドル転して米国株を買い付けていくことができません。どうかたぱぞう様のご意見をお聞かせください。
VISA【V】の基礎データ
VISA【V】は米国株投資家に最も人気ある銘柄の1つですね。それは、非常に優れたファンダメンタルズがあるからにほかなりません。それでは早速、VISA【V】の基礎データを見てみましょう。
VISA【V】の株価推移
リーマンショック後も金融危機はしばらく燻っていました。そのころの株価は20ドル前後でした。その後、株価上昇に伴い分割しましたが、絶好調と言ってよい株価推移ですね。
ただ、金融危機にはかなり敏感な株価変動を示すということは知っておいて良いでしょう。2018年末のFRB利上げの際には、130ドル近くまで落ち込みました。
このような成長株はどの株価が買いごろというのはなかなか言えません。毎年諸指標が変わりすぎるからです。この10年に関する限り「押し目待ちに押し目なし」という言葉通りの推移です。
VISA【V】の配当と配当性向
配当は2008年当時の0.1ドルから0.8ドルにまで成長しています。8倍です。もともと低配当で、配当収入を期待する株ではありません。それでもこの増配率は出色と言ってよいでしょう。配当性向も30%に満たず、低い水準を保っています。
VISA【V】のBPSとEPS
目を引くのはEPSの高い伸びです。2009年との比較でおよそ10倍になっています。リーマンショック後の2010年との比較でも4倍です。2016年にはやや鈍化しましたが、2018年に大きく回復し、成長性を裏付ける結果となりました。
VISA【V】の売り上げと利益
凄まじいの一言です。粗利益率は80%、営業利益率は近年60%が標準になっています。また、売り上げはこの10年で3倍以上になっています。それに伴い、営業利益も右肩上がりです。これだけの企業は米国においても多くありません。
懸念材料としては、Amazonやアリババなどのネット小売りにおいて強みを持つ企業が決済システムに進出し、VISAなどの牙城を侵食するのではないかということです。これほどに儲かるシステムを指をくわえてみているとも思えず、今後の参入企業が増えれば営業利益率は落ちるのが自然でしょう。
ただし、世界各国における先行者利益は十分すぎるほどに築き上げており、そう簡単に後発に譲らない強みを持っているのは事実です。全世界におけるカード決済のおよそ半分がVISAと言われますから、その圧倒的シェアはそう簡単には崩れないでしょう。
VISA【V】のキャッシュフロー
投資CFが小さく、営業CFとフリーCFが殆ど近似するという理想のキャッシュフローを示しています。これほどの高収益企業は多くありません。店舗、ユーザーの便宜を図りつつマージンを得るという、投資CFのかからないビジネスモデルの強みが発揮されています。
VISA【V】の銘柄分析とまとめ
地味に自社株買いも熱心で、この10年で1割の株式を消却しています。盤石に見えるVISAですが、懸念は2つあります。
- Amazonなどによる有力小売りによるシェアの侵食
- 国家による独占的地位の規制
大まかにこの2点です。これは米国の高収益、寡占企業における宿命とも言っていいでしょう。つまり、VISA単体における死角は殆どありません。そのため、株価は常に割高な水準です。
それでも右肩上がりの収益と株価でホルダーにキャピタルゲインで十分に還元し続けてきた米国株の1つです。
私ならば、上述のような環境の大きな変動がない限りお宝株として持ち続けます。ただ、個別株が不安というならばETFへの乗り換えが良いでしょう。個別株取引も前提としては分散されているというのが大事になります。
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マコーミックも良い株ですが、安定性と成長性という言葉の意味を考えさせられますね。
グロース株に関しての考え方です。VISAも規模は大きいですが、まだまだ成長株としての魅力もあります。
こちらも米国を代表する高収益企業、マイクロソフト【MSFT】です。VISA【V】と並んで人気のある大型株の1つになっていますね。