たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)とは

Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)

 2022年10月28日に日興アセットマネジメントが「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」を設定、運用を開始しました。比較的安定したリターンで従前より人気を博してきたインデックスです。この投資信託は信託報酬も安く、注目されています

 

 今回改めてご紹介します。

そもそもS&P500配当貴族インデックスとは

 「S&P500配当貴族インデックス」は” S&P 500 Dividend Aristocrats”の日本語名です。

 

 S&P500採用銘柄から以下の条件を満たしたもの銘柄だけで構成されるインデックスです。

  • 少なくとも 25年間連続で毎年 1株当たり配当総額を増やしていること
  • リバランス参照日時点で最低浮動株調整後時価総額(FMC)が30億ドル以上であること
  • リバランス参照日までの 3ヶ月間の1 日当たり平均売買代金(ADVT)が 5百万ドル以上であること

 25年連続で増配ということです。米国株式市場に少なくない、成長投資のために無配という銘柄はS&P500配当貴族インデックスには採用されません。成熟株、上場してからの歴史が長い企業が入りやすいとも言えます。

 

 それぞれのデータは毎年1月にレビューされます。最低40銘柄で構成するルールで運用されており、40銘柄を下回る場合には決められた措置に基づいて40銘柄になるよう調整されます。2022年7月現在64銘柄が該当しており、特別な措置は現時点ではなされていません。

 

 このインデックスのもう一つの大きな特徴は、均等ウエイト運用です。S&P500は浮動株ベースの時価総額加重平均です。S&P500配当貴族インデックスの均等ウエイト運用は大きな違いといえるでしょう。ウエイトは4半期に1度リバランスされ、均等ウエイトを保つ工夫がされています。

 

 独特の特徴を持つインデックスですので「S&P500配当貴族インデックス」の構成上位銘柄はS&P500やNASDAQ総合指数と比較すると、顔ぶれが異なることがよくわかります。

 

S&P500配当貴族インデックスのポートフォリオ

S&P500配当貴族インデックスのポートフォリオ

S&P500配当貴族インデックスのパフォーマンス

 連続増配銘柄の選択と均等ウエイト運用の特徴が発揮されるのは、マーケットの下落局面でしょう。


 下のグラフは米ドルベースの2021年末以降の推移です。S&P500配当貴族インデックスとて、年初来ではマイナスですが、相対的な強さはあります。

S&P500配当貴族インデックスのパフォーマンス

S&P500配当貴族インデックスのパフォーマンス

Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)とは?

 S&P500配当貴族インデックスを大まかに理解したところで、そのS&P500配当貴族インデックスに連動する投資成果を目指す「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の概要を確認します。
 
 日興アセットマネジメントのTracersシリーズは、柔軟で魅力的な投資アイデアを低コストで提供する新しいタイプのシリーズです。

 

 具体的には「ネット専用」「ノーロード(販売時手数料無料)」「低コスト」のファンドシリーズということです。

 

 第1号は「Tracers S&P500 ゴールドプラス」で、S&P500に連動する米国株式インデックス運用と金を等しく組み合わせたファンドでした。しかも、純資産総額の2倍相当にレバレッジ(テコの原理)が効いた運用をするものでした。

 

 つみたてNISAが資産運用の入り口だとすれば、Tracersシリーズはその先の選択肢を用意することを目的としているということですね。

 

 信託報酬は年率税込で0.1155%です。


 この信託報酬率が「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の最大の特徴でしょう。


 実はS&P500配当貴族インデックスに連動した運用成果を目指す円建て投信は既に存在しています。


 三井住友トラスト・アセットマネジメントが2016年8月に設定した「SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン」や、野村アセットマネジメントが2018年11月に設定した「米国株式配当貴族(年4回決算型)」などが該当します。


 野村アセットの商品は2022年9月末の純資産が565億円ありますので、それなりに売れているとみなしていいでしょう。

 

 野村アセットの商品の信託報酬率は年率税込0.55%、三井住友トラスト・アセットの商品は年率税込0.605%です。

 

 コストでは日興アセットの商品に軍配が上がります。また日興アセットの商品はノーロード、つまり購入時手数料も発生しません。S&P500配当貴族インデックスに連動した商品を望む方には「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」は魅力的に見えることでしょう。

 

 なお、「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の分配は年1回です。
またつみたてNISAの対象ではないことは念頭に置いておきたいところですね。

取引できるのは現時点ではオンライン証券3社のみ

 「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」を取り扱うのはSBI証券楽天証券マネックス証券です。

 

 Tracersシリーズはオンラインでの販売を前提としているため、対面証券での販売はないということですね。SMBC日興証券ですら取り扱いがないのは面白いところです。

 

関連記事です。

高分配金で知られるPFFDの日本版です。

www.americakabu.com

セクターに関連する産業別の資産ランキングです。

www.americakabu.com

相続時精算課税についてですね。

www.americakabu.com