タタモーターズ(TTM)はアメリカ市場で買えるインド有望株
世界経済の成長エンジン、中国の次はインドであることは間違いありません。理由は3つあります。
- 人口が増え続けること
- 一人当たりGDPの伸びしろがあること
- 格差はあるものの教育水準が高いこと
中国が多くの人口を抱えるものの、人口ボーナス期が終盤に差し掛かっていることを考えるとインドの可能性というのは非常に魅力に映ります。
そこで、インドの有望株としてアメリカ市場ADRで買えるタタモータース(TTM)を紹介します。
※タタモータースのページから
やや古いデータになりますが、タタモーターズの販売台数は以下のようになっています。数字の右側は増加率です。
2015年 自動車メーカー世界販売台数ランキング グループ別&ブランド別 上位50 : TRNオート(自家用)
販売台数は64万台、富士重工の2/3、いすゞより売り上げています。タタモーターズは乗用車よりも商用車(バス、トラック)に強いです。商用車だけならば売上は世界5位です。インド国内ではシェア1位を占めます。
ちなみに乗用車のインド国内1位はマルチスズキ、日本のスズキの子会社です。
タタモーターズはジャガー、ランドローバーといった高級車ブランド、1999年に経営破たんした韓国・大宇自動車の商用車部門(タタ大宇)を買収して傘下に収めています。
インドの有力財閥は3大財閥としてタタ財閥、ビルラ財閥、リライアンス財閥とあります。その中で相続で分裂をしてない唯一の財閥がタタ財閥ということになります。そして、タタモータースはタタ財閥の中核企業です。
タタグループとしては他にタタスチール、タタコンサルタンシー・サービシズなどが有名です。特にタタコンサルタンシーは急成長を遂げており、従業員は30万人を数え、ITコンサルとして最も注目される企業の1つです。
タタモーターズ(TTM)の配当とチャート
2006年 6月 株価17ドル 配当0.28ドル
2016年 7月 株価37ドル 配当0.15ドル
2018年 2月 株価29ドル 配当0.05ドル
配当はおよそです。
自動車販売台数が伸び続けているので、順調な株価成長をしているかと言えばそうではありません。どちらかというとタイミング投資に適した株式です。経済危機に弱く、リーマンショック時に3.5ドル近辺まで落ちています。
これは、経済危機になるとより安全な資産に資金が向かうため、新興国株はどうしても株価が低迷するからです。これからも世界経済の影響を受けつつ、ボラティリティの高い展開は続くでしょう。
個人的にはリーマン後に15ドルで買い、30ドルで売った思い出深い株です。リーマンショックの痛手を取り戻してくれた株のうちの1つです。しかし、このような値動きの激しい株には今は投資していません。
また、配当は2%近くをかつては出していましたが、現在は0.3%ほどです。配当狙いの投資にはならない株です。
タタモーターズ(TTM)の基礎データ
タタモーターズ【TTM】の配当と配当性向
タタモーターズの配当と配当性向です。
リーマンショック以後、ギリシアなどの南欧の経済危機があり、その流れで財務の弱い新興国も不安を抱えるという時期がありました。2010年の配当の落ち込みはその影響です。
2012年には回復していますが、2016年以後は急に配当を出し渋るようになっています。殆ど無配状態になっています。安定感は全くないですね。
タタモーターズ【TTM】の売り上げと利益
タタモーターズ【TTM】の売り上げと利益です。2015年まではすさまじい勢いで売り上げが伸びています。
私が買った当時もインドの国策も相まって、必ず伸びると思われていました。しかし、2015年以後はやや停滞気味です。インドの成長力、インド財界での地位を考えるとこのままの地位に甘んじるとは思えないところです。
ただ、インド国内の自動車産業は日本のマルチスズキなどを始めとする、外資も含めた競争は激化の一途を辿っています。タタモーターズに関しても、以前ほどの楽観ムードは見られません。
タタモーターズ【TTM】のキャッシュフロー
設備投資を始めとする投資CFは年々巨額になっています。そのため、営業CFはそこそこ順調なのですが、フリーCFの増加につながりません。このあたりはやや企業経営上の課題と言えます。
タタモーターズ【TTM】の諸データ
ティッカー:TTM
本社:インド・ムンバイ
来期予想PER:19倍(インドSENSEXの参考数値)
PBR:2.5倍
ROE:24%
ROA:3.9%
EPS:3.9ドル
配当:0.05ドル
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)にADRとして上場
ADRとして上場しています。PERはSENSEXの数値です。ADRではありません。配当利率は極めて低く0.3%です。インド最大の自動車メーカーで国をあげての支援体制が魅力です。
インド農村部ではモータリゼーションがまだ十分に起きていないことから、販売台数は今後も伸び続けることでしょう。自動車は利用者の生命に直結することから、安ければ売れるという構図は家電などに比べると働きにくいです。なにより安心、安全が重視されるからです。
しかし、タタのように財閥のブランド力があり、しかも極端に安いとその限りではありません。タタモーターズ単体だけではなく、タタ財閥全体の魅力もある、そんな株と言えます。
注意点としては、自動車産業自体が経済的な濠を持ちにくい産業であり、常に競争が激しい業界であるということです。また、デザインや技術面でさらなる成熟が期待されるところであり、特に富裕層にはあまり食い込めていません。
そういう意味では、ランドローバーやジャガーというのはこの弱点を補完する買収戦略で、高級車は利益率も高いことから上手くいっている部分です。
新興市場の上下動に合わせて動くところがありますから、金融危機など新興国から資金が逃げやすい時には過剰に株価が下がるときがあり、注目してみても良いでしょう。
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新興国ETFの王道と言えばVWOですね。ただ、インドの比率はまだまだ高くありません。フロンティアというさらに1人当たりGDPの低い国を対象にしたETFもあります。
ドルを持つということは、こういう世界中への企業への投資を可能にするということでもあります。
米国株以外に投資をするならばどこが良いのか、ということです。