ナイキ【NKE】オレゴン州発のスポーツウェアメーカー
ナイキ(NKE)はスポーツアパレル企業として世界最大の売り上げを誇ります。
NIKEブランドだけでなく、スニーカーで有名な「Converse」(コンバース)やサーフブランドの「Hurley」(ハーレー・インターナショナル)、サッカー用品で有名なumbro(アンブロ)などが有名です。
買収して傘下に収めたものも含めて、複数の強力なブランドを生かした展開を行なっています。
売上高はおよそ300億ドルで、他の追随を許さない強力なブランドです。GAPやVF(ノースフェイス、ティンバーランド、ヘリーハンセン、トミーヒルフィガー)など一般アパレルと比べてもダントツです。
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スポーツアパレルに限るならば、アディダス(ドイツ)、プーマ(ドイツ)、アシックス(日本)、アンダーアーマー(アメリカ:ティッカーUA)が5大ブランドです。ちなみにざっくりと売り上げを記すと、アディダスが18億ドル、プーマ、アシックス、アンダーアーマーがそれぞれ4億ドルぐらいです。
ちなみにアディダスとプーマはドイツ・バイエルン州で靴メーカーを創業したダスラー兄弟が喧嘩別れした結果生まれた会社で、もとは一緒です。
アンダーアーマーはこの中では歴史が一番浅く、アメフト選手のケビン・プランク氏によって1996年に創業されました。
当初はコンプレッション、ユニフォームなどの下に着て筋肉に圧迫を加えて高パフォーマンスを狙ったアパレルを販売していましたが、いつしかトップスやボトムズ、さらには靴まで作る総合スポーツ用品メーカーになりました。
ナイキ(NKE)はもともとは現アシックス、オニツカタイガーのランニングシューズを輸入販売したり、スニーカーのデザイン提案をする会社でした。創業者はスタンフォード大のフィル・ナイト氏とオレゴン州立大の陸上コーチだったビル・バウワーマン氏です。しかし、次第にオニツカタイガーから独立、競合するようになります。
今も本社がオレゴン州の州都であるポートランドという必ずしも大きくない街にあるのはその発祥の歴史によります。オレゴン州立大は私も訪れたことがありますが、広くて緑が多くて、素晴らしい環境の大学ですね。
その後、正方形の形を並べた逆ワッフル、ワッフルソールやエアシステムという窒素を充填し、クッションを可視化したファッション性高いスニーカーが幅広い支持を集めます。エアマックスやエアジョーダンといった、ヒット商品を次々に世に送り出します。
エアマックスは1987年に発売され、日本でも大流行しました。
また、エアジョーダンはNBAのカリスマであるマイケル・ジョーダン氏との専属契約シューズで、バスケ少年だけでなく、バスケをしない多くの人まで巻き込み流行しました。ジョーダン氏が引退した今も初代ジョーダンはスニーカー好きの人たちにとって垂涎の的であり続けています。
今も多くの有名チームや有名選手と契約を結んでいます。
サッカーだけでもバルセロナ、レアルマドリードのCR7ことクリスティアーノ・ロナウド氏、バレンシア、アトレティコ、ユーべ、インテル、アーセナル、マンチェスターユナイテッド、シティ、パリサンジェルマン、ブラジル代表、オランダ代表、ポルトガル代表など枚挙にいとまがないほどの多くのチームと契約し、グッズ販売をしています。
海外を歩けば、オーセンティックモデルではないにしろ、町で絶対に見かけるカリスマチームのユニフォームです。
ナイキ【NKE】株価基礎データ
ナイキ【NKE】株価基礎データを見てみます。
ナイキ【NKE】の配当とチャート
2006年9月 株価10.37ドル 配当0.039ドル
2016年6月 株価55ドル 配当0.16ドル
2017年12月株価63ドル 配当0.2ドル
株価は10年で6倍になっています。2015年後半までは絵にかいたような右肩上がりの株でしたが、2016年に入って調整しました。ウォルトディズニー(DIS)もそうでしたが、成長株が停滞しディフェンシブな高配当株が買われるという珍しい展開が2016年上半期には見られました。
配当は2倍強です。それでももともと配当利率の低い株ですので、1%近辺をうろついています。インカムゲインよりはキャピタルゲイン狙いの株ということになります。
ナイキ【NKE】の配当性向
配当性向に余力は十分ですが、配当利率はおよそ1%と高くはありません。高配当銘柄ではありません。過去3年の売り上げ成長率は8%、利益成長率は10%と業界トップでありながら依然高い成長率を示しています。
ナイキ【NKE】のBPSとEPS
自社株買いの結果、10年前に比べて85%まで株式数が減っています。また、EPS=一株利益は3倍近くまで増えています。売り上げの増加と自社株買いの効果が出ており、株式の価値は着実に高まっています。
ナイキ【NKE】の売り上げと利益
これだけ規模の大きな多国籍企業でありながらこの高い成長率は魅力です。売上はやや鈍化したものの、アパレルの中では比較的高い営業利益率も魅力です。営業利益の伸びはこの10年で2倍になっています。
ただ、要の北米で売り上げが弱含んでいます。その分、アジアを中心とした新興国での売り上げが15%近く伸びています。特に中国で強く、海外売り上げの2割以上を中国で占めます。全売り上げに対する海外比重はおおよそ50%です。
米国企業はそのブランド力を生かして世界展開をしている例が多いですが、ナイキはその典型と言えます。
ナイキ【NKE】のキャッシュフロー
他の数字に比べると、いささか物足りないのがキャッシュフローです。投資CFが増大していますが、営業CFはわりと不安定です。2015年までの株価推移は非常にきれいな右肩上がりをしていましたが、この2年は株価は停滞気味です。それを裏付けるのがこのキャッシュフローです。
ただ、直近では株価が急速に切り返しを見せており、業績が継続的に明るい方向であれば株価も元の成長基調を取り戻すかもしれません。今の63ドルというのはPERは高めながらも上昇株の多い米国株の中にあってはファンダメンタルは相対的に割安と言ってよく、先日紹介したマコーミックのように注視して良い株価位置です。
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渋い銘柄、スパイスのマコーミックです。
適正価格という意味ではナイキを加えても良いですね。
とはいえ、アパレルというのは栄枯盛衰の激しい業界ですので、トップメーカーのナイキは安泰には見えますが、売り上げの変動と業界の趨勢には注目をしていたいですね。