NISA口座での相続はどのようになるのか
NISAは期限なしの恒久化がされています。そのため、今後はNISA口座が相続の対象となるケースが頻発します。多くの人にとって、NISAありきの証券取引、資産運用だからです。
相続時に、NISA口座はどのように扱われるのでしょうか。一般的な流れとしては、以下のようになります。
1. NISA口座の解約
NISA口座は非課税制度の一環、個人の口座です。したがって、口座名義人が亡くなった場合、そのNISA口座は自動的に解約されます。NISA口座に残っている資産は通常の課税口座に移されることになります。
NISAのまま引き継ぐことはできません。
2. 相続手続き
NISA口座の資産も相続財産として扱われるため、相続資産は相続税の対象となります。相続人は、金融機関で相続手続きを行う必要があります。具体的には、以下のような書類が必要です。
- 戸籍謄本
- 死亡診断書
- 相続関係図
- 相続人の同意書
- その他、金融機関が求める書類
当然ながら間違いの無いよう、証券会社や税理士さんに相談しながら進めるのが基本です。
3. 課税口座とNISA口座の違い
課税口座への移行時にはNISA口座内の利益に対しては非課税になります。
その後NISA口座の資産は、非課税扱いが解除され、課税口座に移行されます。その際、時価での評価が行われ、移行された資産はその時点で新たな購入時価として取り扱われます。ここが通常口座と異なるところです。
つまりNISA口座の場合、購入時価は死亡日になります。
通常の口座は購入時価は購入した日です。利益確定及び分離課税が行われ、さらに相続税がかかることになります。NISA口座の場合は、利益確定時は非課税です。相続税のみかかることになります。
4. 相続税評価額の決まり方
NISAで取り扱う株は上場株になります。上場株式の場合、相続税評価額は次の3つのうち最も低い価格を基準とします。値付けは以下の通りです。
- 死亡日の終値
- 死亡月の毎日の終値の平均値
- 死亡月の前月および前々月の毎日の終値の平均値
具体的には、以下の手順で計算します。
- 死亡日の終値:相続が発生した日における株式の終値。
- 死亡月の平均値:死亡月における株式の毎日の終値の平均値。
- 死亡月の前月および前々月の平均値
- 死亡月の前月の毎日の終値の平均値
- 死亡月の前々月の毎日の終値の平均値
このため、死亡日の終値よりも安値で相続税評価額が決まることになります。
5. 相続税の支払い
NISA口座の資産も他の財産と同様に相続税の対象となります。相続税の計算と支払いは、他の相続財産と合わせて行われます。
概論は上記のようになります。こちらを踏まえ、ご質問を紹介します。
NISA口座での相続は二重で課税される可能性があるのか
たぱぞう様、お疲れさまです。もし、お時間あればNISA、特にNISAの手じまい時および相続につきご教示頂きたく、ご質問となりますが送らせていただきます。
まず、私の属性ですが旧世代に属する既に高齢者ゾーンに入った(半)現役、そして投資なるものの端っこを知ったのが2020年の3月~4月でした。当時、某国で仕事をしていた私は、コロナ発生のため、緊急帰国となり、帰国後の1週間は連続のWeb会議・対策協議に時差も加わり大変でしたが、一連の手配を行うと時間ができました(何せ、現場は止まっておりますので)。
ここで、加入以来、始めて確定拠出年金を確認しますと、元金割れは絶対ないだろうと思っていた商品につき、額は少ないのですが、毎年、毎年、若干づつですが、目減りしています。わずかとはいえ、何が起きているのかと思い、少々、時間をかけて調べますと、1年自動繰り越し定期と思っていたけど、それも信託商品、極小の金利よりも毎年の信託手数料の方が高かっただけ、これにより元本毀損、ということだったのですね(いま、考えたらあまりの無知、恥ずかしいです)。
そのような私でしたが、う~んとうなり、、、、まずは、この投資の世界、あるいは金融の世界をちょっと知らねばと思い、ネット情報をざーとあたって、株式投資の未来を読み、これに興味を覚えて、ランダムウォーカーとか、その他もろもろ、加えてYoutubeやブログをさがし、そしてこれは信頼できると感じた、たぱぞうさんのブログに到着いたしました。
平行しつつ、ネット証券を開設、拙宅の財務大臣にそれなりの原資をもらい、100を原資とすれば、70を米国の主要3つのインデックスに、30を米国の大手約10社少々の企業(分野はテク、金融、バリュー、医療&薬剤、エネルギー等に分散)として、これは長期と決めました。
そして、新NISAの開始とともに、上限額までの積み立て(積立はS&P500系、成長枠はナスダック100系)を行うとともに、拙宅の首相(前出の財務大臣が兼務)、既に独立した子供達にも進め、家族全員で積み立て実行中です(なお、私の方は年明け直ぐに、大きな病気が見つかり、それなりに医療費がかかりますので、上限額いっぱいの投資はもう無理ですが、財務大臣はせっせと上限額で継続中です。貯金から回しています)。
NISAはここまま可能な限り継続、経済的な事情が許せば証券のまま配偶者、子供達、さらには孫達の世代に相続していけば、途中からは売買時無税では無くなるものの、一回の庶民が資産だけは上級国民なみに成れるのではないかと、、、、はい、もう、頭の中はお花つみ畑、そのものでございます。
老後2千万円問題が騒がれたりしましたが、実態としてみれば多くの方がそれなりの資産を残されて、すなわち使い切れず亡くなる方が多いと聞いたように思います。であれば、NISA口座内の証券も相続でつなげる可能性は、老後に必要となるお金次第ではあるが、十分に可能性あるのではと愚考しております。
そして、ここで相続を行う場合、あるいは本人が死んだ場合はそのままNISA口座ではなく、特定口座や一般口座扱いとなり、そして相続を受け取る側も、同様の口座でしか証券受け入れができないのではと思い至りました。
ということは、相続時の課税、いわゆる相続税は普通に何ら例外なく適用されるということになるかと思いつきました。確かに、NISA口座での運用は本人の存命時の売買に関しては無税扱いとなるが、相続においては、通常の相続税の対象にて、ここで政府は始めて税をとれる、それも、ひょっとしたら悪夢とも思われるのですが、本人存命時にNISA口座で運用した運用益(含み益)の分も含めて、相続税は逃さない、というようなことにはなりませんでしょうか?
実態として、使い切れず多くを残されている方々が多いわけですから、ちゃんと政府は、最後には税はとれる、というような仕組みもまた内包されているのがNISAなのかな、と勝手な自己流理解をしつつあります。
恐らく、他の方は既にご理解されている常識的なことなのもしれませんが、ご教示いただけますれば誠に幸甚です。なお、世間常識から見れば、あまりに箸にも棒にも、、ということであれば、当然、捨て置きください。たぱぞう様の貴重なお時間を浪費させてしまい、誠に恐縮するものです。
よろしくお願いいたします。応援しております。
利益確定分は課税対象とならない
NISA口座での譲渡益、つまり利益確定分は課税対象となりません。相続税評価額を決め、相続税としての課税はあります。そのため、最後には税としてとれることは間違いはないですが、両機会とも課税ということはないです。
DIE WITH ZEROか、それとも相続か。永遠の課題ではありますが、一般的なお答えとしては上記の通りとなります。
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相続を考慮すると不動産をツールとして絡めるのは非常に有効になります。相続税評価額のギャップですね。