たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF【LQD】は優良社債を集めたETF

iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF【LQD】は優良社債のETF

 iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債ETFである【LQD】は、投資適格の社債を集めたETFです。 iBoxx®米ドル建てリキッド・投資適格指数への連動を目指しています。要は投資適格社債の指数との連動ということですね。

 

 債券系のETFですが、社債ですので政府系債券よりもややリスクがあり、その分分配金も高めになっています。とはいえ、構成銘柄数は1600を超えますので、リスクの分散は殆ど最大限にされていると言って良いでしょう。

 

 資産総額は260億ドル、約3兆円にも上る人気のETFです。【JNK】や【HYG】がリスク高めのハイイールド債を扱うのに対し、【AGG】や【BND】はリスク低めの国債中心の運用です。このLQDはリスク度で言うと真ん中を狙ったもの、というところでしょうか。

 

 信託報酬は0.15%です。毎年のように下がってきているのが米系運用会社のETFですね。個人でこれだけ分散させて社債を購入することは無理ですから、それを考えると納得できる信託報酬と言って良いでしょう。

LQDのチャートと分配金

f:id:tapazou:20180713060302p:plain

※画像はyahoo

2006年12月 取引値106ドル 分配金0.47ドル

2016年12月 取引値116ドル 分配金0.32ドル

2018年 7月 取引値115ドル 分配金0.345ドル

 

 取引値は8%ほど上がっています。しかし、分配金はかなり下がってしまっています。債券系のETFは低金利の流れを受けて10年前より利回りが下がっているものがほとんどです。

 

 ただ、この頃米国の金利も反転してきていますので、今後の動向に注目です。金利上昇局面での利回り上昇が期待できるのは債券系ETFすべてそうですが、例にもれずLQDも同じです。

 

 これが、分配金再投資のチャートだと以下のようになります。

f:id:tapazou:20180713061215p:plain

※以下画像は全てブラックロックのページから

 10年で70%リターンのパフォーマンスになります。株式でも配当再投資、つまり複利の力についてよく言われるところですが、これを見ると分かりますね。奇しくもこの年率7%というのは昨今の米国株投資における平均リターンと殆ど同じ数字でもあります。そう考えると悪くないかもしれませんね。

 

 ただ、直近10年だと米国株ETF、たとえばVTIは年率10%を超えるリターンを示しています。

 

 ちなみにこのパフォーマンスは国債ETFである【AGG】よりもやや良いです。AGGは60%前半です。

 

 ただ、債券系ETFとは言え社債ですから、過去の経済危機には感受性の強いところを見せており、リーマンショックでは85ドル近辺の取引値まで下げました。国債ほど経済危機に対して強くないことは頭に入れておくべきでしょう。

 

 なお、現在のLQDの分配金利回りは3.38%ほどです。だいたい近年では3%~3.5%に収まることが多いですね。前述のとおり、利上げ局面では利回りの上昇が見込まれます。

LQDの構成銘柄

f:id:tapazou:20180713060753p:plain

 1位はベライゾン【VZ】が入っています。2年前に記事を書いたときには1位のベライゾンが3%以上を占めていたので、より分散されたということですね。

 

 2位はアンハイザーブッシュインベブ、世界のビール生産量の3割を占める高収益企業ですね。3位がGEキャピタルということで、やややんちゃな銘柄になっています。

 

 JPモルガン、バンカメ、ゴールドマンサックス、ウェルズファーゴ、モルガンスタンレー、シティバンクなどの金融も多く保有されています。

 

 米国あるいは世界を代表する大企業そろい踏みというところですが、金融が多いところに注意が必要です。

f:id:tapazou:20180713061012p:plain

 保有比率を見てもそれは明らかで、金融だけで27%にもなります。高配当なのは魅力ですが、その分市場動向にも気を配る必要がありそうですね。使い方としては、ハイイールド債や政府系債券ETFとトッピングしてリスクと利回りを調整しても面白そうです。

 

関連記事です。文中に出てきた他の債券系ETFの記事をご紹介します。

【JNK】はスパイダーから出しているハイイールド債のETFです。利回りは5%~7%ぐらいを推移しています。典型的なインカム狙いのETFです。

www.americakabu.com

 【HYG】はブラックロックのiシェアーズシリーズのハイイールドETFです。【JNK】と人気を二分します。【HYG】が運用総額では上位に位置します。米国でもっとも人気のあるハイイールド債ETFと言ってよいでしょう。

www.americakabu.com

 短中長期国債をトッピングしたトータル債券ETFです。安定的かつディフェンシブな投資対象です。ポートフォリオの値動きをマイルドにするという狙いならばこの【AGG】か次の【BND】が鉄板のETFということになります。

www.americakabu.com

 【AGG】がブラックロックの旗艦債券ETFなのに対し、【BND】はバンガードの商品です。この2つの商品は機関投資家も含めて大変人気があり、広く活用されています。信託報酬も競って下げており、長期保有に適した債券ETFと言えます。

www.americakabu.com