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ゴールドマン・サックス【GS】は世界最大の投資銀行、配当は底堅い

ゴールドマン・サックス【GS】は世界最高峰の投資銀行

 ゴールドマン・サックスの歴史は、ドイツの牛飼いの息子であったマーカス・ゴールドマン氏が1869年に設立したゴールドマン商店までさかのぼることができます。

 

 約束手形を扱う小さな商店でしたが、近隣から始めたその事業は軌道に乗り、徐々に拡大をしていきます。それに伴い、娘婿であったサム・サックス氏を迎え入れ、共同経営をするようになります。

 

 その後、マーカス・ゴールドマン氏の息子であるヘンリー・ゴールドマン氏も事業に加わり、さらに拡大していきます。

 

 ちなみにマーカス・ゴールドマン氏もサム・サックス氏もユダヤ系移民です。当時すでに商業銀行分野はプロテスタントのアングロサクソン、いわゆるワスプで占められており、後発のゴールドマンは約束手形から派生して財産の証券化、投資銀行といった分野に進出していくことになります。

 

 ちなみに現在の大手商業銀行であるバンクオブアメリカ、JPモルガンチェース、ウェルズファーゴはワスプ系の流れということになります。

 

 それに対し、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、そして今はなきリーマンブラザーズ、ベアスターンズ、といった金融集団がユダヤ系です。これらは全て後発であり、金融技術を生かした証券化で付加価値をつけたり、リスクヘッジをしたり、顧客に魅力的な提案をして業容を拡大してきました。その中でも最大規模がゴールドマンサックスと言えるでしょう。

 

 日本の銀行も伝統的にそうですが、従前の商業銀行は資産や土地を評価し資金を貸し付けるのが基本です。いわばPBR基本の貸出業務でした。

 

 それに対し、ヘンリー・ゴールドマンらは毎年の現金を作り出す力に注目します。それが債務の返済力になるという考え方です。そしてそれが利益を生み出す力であり、会社本来の力であると主張します。それは今現在PERとして広く使われています。

 

 投資銀行業務、商業銀行業務、どちらが良くてどちらが悪いという話ではなく、アメリカという国はこのように様々な民族や人種の伝統や商売方法を取り込みつつ、競争あるいは共存させつつ成長してきた国です。

 

 金融に限らず、その柔軟性と多様性が現在もアメリカの強みになっています。 

※ゴールドマンサックスのページから

ゴールドマン・サックス(GS)の配当とチャート

ゴールドマンサックス【GS】の株価チャートと配当

ゴールドマンサックス【GS】の株価チャートと配当
  • 2006年10月 株価183ドル 配当0.35ドル
  • 2016年8月  株価166ドル 配当0.65ドル
  • 2018年5月  株価240ドル 配当0.75ドル
  • 2020年7月  株価200ドル 配当1.25ドル

 

 ゴールドマン・サックス(GS)はリーマンショックを経ても無配にはなっていません。株価は50ドル近辺まで下落しました。その後1年たたずして持ち直しています。その後長らく横ばいでしたが、トランプ政権になってリーマンショック前の水準を回復しました。

 

 これはドッドフランク法、金融規制法案の見直し期待をきっかけにしたものでした。その後、落ちることなく水準を維持しています。株価はリーマンショック前の躍動を考えると、やや足踏みと言ったところです。

ゴールドマン・サックス(GS)の基礎データ

 引き続いて基礎データを見てみましょう。

ゴールドマン・サックス(GS)の基礎データの配当と配当性向

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 業績の出入りは激しいですが、配当に関しては比較的安定的です。配当性向は20%を超えることはほとんどなく、よくコントロールされた配当施策と言ってよいでしょう。業績に応じた配当をしています。

 

 投資銀行という金融危機の影響を受けやすい業態にも関わらず、リーマンショック時にも配当をきちんと出していたところは評価されていいでしょう。

ゴールドマン・サックス(GS)のBPSとEPS

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 BPSは右肩上がりで増えています。EPSはリーマンショック時で4.5ドル、過去10年で最も良い時は22ドル、2009年です。リーマンショック翌年に大きく稼いでいるあたり「らしさ」が表れています。2017年は久々にEPS10ドルを割り込んでいます。

ゴールドマン・サックス(GS)のBPSとEPS

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 売上はこの10年で横ばいです。純利益は緩やかな下降傾向にあります。EBTマージンは業界内で特別高いというわけではありません。WFC・JPM・BACといった他銀行もおおむね30%台の推移です。

ゴールドマン・サックス(GS)のBPSとEPS

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 出入りの激しいキャッシュフローです。リーマンショック以後、厳しくなった金融規制もあり、常に潤沢なフリーCFに恵まれるという業態ではなくなっていますね。華やかな世界ではありますが、2000年代のそれを思えば落ち着いたと言えるでしょう。

 ゴールドマン・サックス(GS)の株数とROE

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 自社株買いを順調に続け、リーマンショック前の水準以下になりました。ROEはあまり高くありません。20%、30%を超える企業が珍しくない米国企業においては意外に地味です。やはりここでも法改正の影響を認めることができます。

 

 リーマンショック後は他業種と比べて金融は割安に置かれがちでした。ゴールドマンサックスも例外ではなく、PERなど見ても低めの推移でした。このところの金利高で銀行業績の向上が見込まれ、株価も盛り返しています。

 

 EPSは年によって変動が大きく、世界経済の影響を強く受けます。投資業界においてゴールドマンサックスは世界最高レベルのブランドと言って良く、最強の企業であることは間違いありません。

 

 ただ、銀行業というのは競争相手も多く、差別化を図るのが難しい業態です。「この会社でなくてはならない」という強みを得にくいということです。このあたりをどう判断していくかということですね。この10年、株価は業績に比べてやや割安水準に置かれることが多いですね。

 

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