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ゼネラル・エレクトリック【GE】の銘柄分析。資本財の代表的銘柄。

ゼネラル・エレクトリック【GE】の銘柄分析。資本財の代表的銘柄。

 ゼネラル・エレクトリック【GE】はアメリカの発明王トーマス・エジソンによって1878年に設立されました。当初の社名は「エジソン・エレクトリック・ライトカンパニー」でした。ジョセフ・スワン氏が開発し、エジソンが改良・事業化した白熱電球の製造販売が中心だったことが由来です。

 

 その後、発明家であるエジソンは事業上いくつかの失敗を重ねます。ウエスチングハウス社との直流・交流の主導権争いで敗れたり、発電所への発電機納入で採用されなかったりといった出来事です。

 

 当初は大きな理解者であった出資銀行であるJP・モルガンから経営者として見切られ、会社はエジソンの影響下から離れます。このときに、社名からエジソンの名前がとられることになります。

 

 しかし、電気を使った発明品はエジソンが去った後も、いくつも開発されます。例えば電熱トースターや冷蔵庫です。こういった家電部門は白熱電球以来の祖業と言って良く、確たるブランドイメージを確立させました。

 

 同時に発電所向けの大型発電機製造や航空機や鉄道のエンジン製造など、重電分野でも業界をリードする存在になります。米国初のジェットエンジンを開発したのもゼネラル・エレクトリック【GE】です。医療分野でも大きな強みを持ち、現在ではCTや高解像度MRIも製造しています。

 

 NYダウ平均算出を始めた1896年以来、ずっと採用され続けてきた製造業の名門企業です。しかし昨今の経営不振を受け、2018年にダウ30種から外れています。

 

 近年の有名な経営者としては、ジャック・ウェルチ氏がいます。ジャック・ウェルチ氏は1981年から2001年までCEOを務めます。

 

 その時に多岐にわたったGEの事業分野にメスを入れ、その産業分野で1位か2位であることを存続の条件にしました。つまり、勝てる事業分野だけを残し、選択と集中を進めたのです。20世紀最高の経営者とも言われる人物です。

 

 この方針は今も引き継がれ、GEキャピタルという金融部門を2015年に売却決定したり、祖業以来ともいえる家電部門を2016年にハイアールに売却決定したり、フレキシブルな事業構築を行っています。

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※画像は米国GE本社から

ゼネラル・エレクトリック【GE】の配当とチャート

ゼネラル・エレクトリック【GE】のチャートと配当

ゼネラル・エレクトリック【GE】のチャートと配当

※画像はグーグルファイナンスから

 あえて長期チャートを取りました。今の株価水準は1995年の水準ですね。

  • 2006年9月 株価34ドル 配当0.25ドル
  • 2016年6月 株価30ドル 配当0.23ドル
  • 2017年9月 株価17ドル 配当0.24ドル
  • 2019年9月 株価9ドル  配当0.01ドル

 リーマンショック時に株価7ドルまで落ちています。GEはGEキャピタルという金融部門を傘下に抱えていました。そのため、他の金融機関と同様に株価が急激に下がりました。かつてはGE主要4部門の1つと言われ、利益を多く出していました。

 

 もともとは自社製品を顧客にローンで提供し、幅広い層に買いやすくするために始まったGEの金融部門でした。しかし、およそ100年の時を経て事業は巨大化しており、レバレッジを効かせた商品を多く扱っていたことが傷を大きくしました。

 

 結局安定した自力解決が難しいことから、600億ドルの政府保証を受け、再建することになりました。日本円でおよそ6兆円です。本業回帰はこのときから意識されていたと言えるでしょう。2015年になり、金融部門を売却しました。

 

 ちなみに株式市場からはこの売却は歓迎され、一時的ですが株価は上昇しました。米国市場はスピンオフや不採算部門の売却と言った、機動性に富む経営判断を歓迎する傾向にあります。

 

 配当はリーマンショック後に四半期0.1ドルまで下がっています。その後じりじりと回復しましたが、昨今の経営不安を受けて、再び0.1ドルになっています。

 

 長期で見ると株価は絶不調です。分散投資の重要性を教えてくれる銘柄になってしまいました。

ゼネラル・エレクトリック【GE】の基礎データ

ティッカー:GE
本社:アメリカ
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)

 事業分野は多岐にわたり、資本財銘柄の代表格です。反面、経営効率という意味では課題を抱えており、20世紀初頭にはトリプルAだった財務格付けも2009年にはAAになり、2015年にはそのAAもネガティブに見直し、2018年にはBBBとなっています。

ゼネラル・エレクトリック【GE】の売り上げと利益

ゼネラル・エレクトリック【GE】の売り上げと利益

ゼネラル・エレクトリック【GE】の売り上げと利益

 近年の業績は良くないですね。営業利益の縮小は中でも目立つところで、この10年で10%割れまで減ってしまっています。弊ブログで取り上げている銘柄の中でも際立って苦戦が目立つ企業、それがゼネラル・エレクトリック【GE】ですね。

 

 業態としては代替不可能な社会インフラを担う企業で、強みは健在です。ただ、再生の方法によっては株主が不利益を被らない可能性はゼロではありません。それが株価に反映されています。先進国の製造業は難しいですね。好調な米国産業界においても、製造業は年々製造業は比率を落としているのです。

ゼネラル・エレクトリック【GE】の配当と配当性向

ゼネラル・エレクトリック【GE】の配当と配当性向

ゼネラル・エレクトリック【GE】の配当と配当性向

 リーマンショック後に減配しましたが、回復基調にありました。しかし、業績が厳しいので、「電力」「航空機エンジン」「医療機器」の3分野に注力するとともに、減配に踏み切りました。

 

 並行して、電力・エネルギーはフランスの重電であるアルストムから買収・強化をしました。ちなみにアルストムは鉄道に強く、世界シェア2位です。この買収を巡ってはシーメンス・三菱重工連合と競っての落札となりました。

 

 ヨーロッパでの電力事業への成功はこのアルストムのエネルギー部門の買収にかかっていると言ってよく、業績が振るわない中での社運をかけた買収戦略になっています。

ゼネラル・エレクトリック【GE】のBPSとEPS

ゼネラル・エレクトリック【GE】のBPSとEPS

ゼネラル・エレクトリック【GE】のBPSとEPS

 一株利益、EPSが振るわないのが気になるところです。近年はEPSがマイナスに転落しています。また、GEキャピタルを売却するなど資産売却を進めており、BPSの低下もその一環です。

 

 ともかく、EPSの反転が待たれるところですが、そのためには先に挙げた「電力」「航空機エンジン」「医療機器」を中心とする事業の復活が必要です。

ゼネラル・エレクトリック【GE】のキャッシュフロー

ゼネラル・エレクトリック【GE】のキャッシュフロー

ゼネラル・エレクトリック【GE】のキャッシュフロー

 驚異的なスピードで営業CFが収縮していきました。また、同時にフリーCFはマイナスに転じています。これだけ見ると買える株ではありませんが、非常に株価が下がっており、逆張り投資家にとっては食指の動きそうな水準になっています。

 

 とはいえ総論としては注力している分野でも減損の可能性がつきまとっており、不確定要素の大きい企業です。

 

 直近の決算では、キャッシュフローは赤字見込みから黒字転換、0~20億ドルのプラスに上方修正されています。これはサプライズで、好感した買いが集中しました。

 

 調整後1株利益は0.15ドルで予想の0.12ドルを上回りましたが、売上高は未達でした。中でも、ボーイング737MAXの運航停止が関係するジェットエンジン事業など、セグメントによっては厳しい状況が続きます。

 

 決算で上げる前の9ドル水準はやや妙味がありましたが、およそ10%上げた今は割安感は無いですね。もっとも、ボラタイルなので、ファンダメンタルズから値付けを判断するのが難しい銘柄です。

 

 うねり取りの目線も必要な、上級者向けの銘柄になっていますね。 

 

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