注目のFOMCが終わり、FRBの方向転換が確認された
1月30日に米国連邦準備制度委員会は2つの大きな方針を示しました。
- 保有資産の縮小ペースの見直し
- 2019年中の利上げの見直し
2018年は順調に0.25%の利上げを繰り返してきたわけですが、株安の1つの理由になっていました。米国の金融政策はリーマンショックで一気に金融緩和に転じましたが、ここにきてさらなる正常化へブレーキがかかった形です。
FRBは2018年は総じて非常に強気でしたが、やはり12月の世界的な株安がこたえましたね。トランプ大統領は露骨にパウエル議長を批判していましたし、中国との貿易の見通しが暗いことから、一旦仕切り直しというところです。
これを受けて、米国株は勢いを取り戻し、完全にS&P500の節目である2600を超えてきました。以前お話したように、今度はこの2600が下値のサポートラインとして意識される展開になります。
材料がなければ突破はなく、実際にかなりもたついていました。しかし、FRBの決定を受けて、超えてきましたね。
今後は上値をどこに見定めるかです。
このチャートは1月13日の弊ブログの記事の再掲になります。2800に上値のレジスタンスラインがあることがはっきりと確認できます。この上値を次は目指す展開になるでしょう。
全人代を意識した中国が何らかの譲歩をし、トランプ大統領との間で貿易交渉がまとまれば、当面の懸案はなくなります。大きなインパクトになることは間違いなく、うまくすればS&P500は2800を超えて、過去最高値を伺う原動力となる可能性があります。
ただし、同時にFRBの保有資産はリーマン・ショック時には1兆ドル前後でしたが、一連の金融緩和で4兆ドルまで膨らんでいます。保有資産の削減は途上にあり、これをどのように減らしていくのかという課題は先送りされる形となります。
また、米国企業の業績も下振れが予想されていることも頭の片隅に置いておきたいところです。つまり、2017年のような業績を伴ったラリーにはなりにくいということです。下手に株高を演出すると、あとあとよくない影響が出そうです。
FRBの方向転換を受けて、ドル円の動向はどうなるのか。
FRBが追加の利上げを見直し、保有資産の減少に歯止めをかけたことから、米国株式市場はリスクオンの流れになっています。金融引締めが緩和されるわけですから当然ですね。
一方、米国金利は追加利上げが当面止まるということで、下げています。利上げの停止は、ドルで運用するメリットが薄れることを意味します。そのため、資金は引き上げられることになります。
こうしたことから、当面はドル安円高、つまりドルを売って円を買う流れになりそうです。米国株は恐る恐るながらも上昇に転じるでしょうが、日本株は円高という材料が加わりますから判断の難しい展開が予想されます。
期待される米中貿易交渉の行方と、今後数カ月の投資の方向性
FRBの方向性が定まったので、次に耳目を集めるのは米中貿易交渉の結果ということになります。こちらの本気度がどの程度かによって結果は大きく左右されそうです。
もし、米中貿易交渉が首尾よく行くと、株価は加熱し、貿易も数字を取り戻す流れになるでしょう。そうなると、再び利上げの必要も出てくるかもしれません。
逆に、物別れになるようなことになれば、1月冒頭のアップルの決算修正のときのように、株価は停滞、下がることになるでしょう。
いわば、半丁ばくちのような面があります。私は年末に120ドルで仕込んだVTIをFOMCの前に135ドルで売りました。これは、FOMCがどの程度妥協してくるか、確信が得られなかったからです。レジスタンスは抜けましたので、次の注目は143ドル近辺になります。
いずれにしても、どちらに転んでも良いような資金管理をしつつ、適宜リスクを取りに行くという展開になるのでしょう。
長期投資の資金はまったくこういうことを考えずに淡々と積み増して行けば良いですね。中期の場合は、確信の持てる相場で入りつつ、予め決めておいたラインで売買をしていけばよいということです。
少なくとも、市場心理は大きく変わりましたので、中期投資家にとっても入りやすい展開かもしれませんね。
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1月13日の記事ですが、やはり月末のFOMCが大きなイベントになりましたね。これで米中貿易交渉が何らかの形で成果を残すようになると、改めて高値を狙える可能性があります。しかし、企業業績は若干の陰りが見えていますので、突っ込みすぎないことですね。
VTIならば、143ドルあたりがレジスタンスラインになりますね。これを抜けると新高値も狙える位置にきますが、それだけのパワーが有るかということです。米中貿易交渉の行方次第ともいえますね。
結局3日連続ストップ安のサンバイオです。仮想通貨もそうですが、祭りと知って参加するのと、そうでないのは大きな差がありますね。銘柄に惚れ込まない、都合の悪いストーリーにも耳を傾けるのが大事です。