エスティローダー【EL】の銘柄分析。ブランド戦略が売上げに直結。
エスティローダー【EL】の銘柄分析です。
1946年にジョーゼフ・ローダー氏とエスティ・ローダー氏によってニューヨーク市で起業されました。初期は、万能クリーム、パック、クレンジングオイル、スキンローションの4種類の製品が取り扱われましたが、すぐに順調に業容を拡大します。
起業からわずか14年後の1960年には、海外イギリス進出を果たします。1961年にはイギリス由来の香港などのアジアにも進出します。ちなみに日本進出は1967年、東京と大阪に同時進出を果たしています。
また、1964年からは男性用化粧品の取り扱いを始めます。主にスキンケア用品を扱い、性別問わず広く支持される業容となっていきます。
現在では、エスティ・ローダー、クリニーク (CLINIQUE)、メイクアップ・アート・コスメティックス(MAC)、アラミス(Aramis)、ドゥ・ラ・メール (LA MER)などのコスメ系、香水系ブランドのみならず、アパレルにも進出しています。
アパレルでは、トミー・ヒルフィガー、スティラ、ケイト・スペード(kate spade beauty)、マイケル・コース(Michael Kors)などが著名です。よく知られるトミー・ヒルフィガーはオーナーから投資会社エイパックス・パートナーズを経て、エスティローダーに売却をされています。
アパレル業界などと同じく、ブランドのM&Aからのリブランドが宿命ともいえる業界ですね。
エスティローダー【EL】の株価チャートと配当
エスティローダー【EL】の株価チャートと配当を見てみましょう。
- 2009年 株価21ドル 配当0.1375ドル
- 2019年 株価207ドル 配当0.48ドル
2009年時点では四半期配当ではありません。そのため、四半期の水準にして掲載しています。
2017年までは安定的な株価の伸びを示していました。しかし、それ以後が爆発的ですね。以前はアパレルのVFCのようなイメージを抱かれることが多かったのではないでしょうか。レッドオーシャン業界であることは間違いないです。
しかし、よくよく財務を見てみると固いですし、なによりも売り上げの伸びがこのところ素晴らしいです。現在の株価では割安性は薄いものの、バランスの良いブランド戦略と、イメージ作りが的確です。決算を追いたい企業の1つと言ってよいでしょう。
エスティローダー【EL】の基礎情報
続いて、エスティローダー【EL】の基礎情報です
エスティローダー【EL】の売り上げと利益
2年前の語る会で出てきた銘柄ということです。完全に将来性を誤りましたね。古いイメージで判断していました。課題だった営業利益は10%からおよそ20%へと大改善しています。
売り上げ成長率は年率15%と大変好調です。業界の平均成長率は5%ですから、驚異的と言ってよいでしょう。業態は米国の強いセクターの王道というわけではないですが、堅実な経営ぶりが好感持てます。
歴史的に北米、ユーロ圏に強みを持ちます。新興国への浸透は改善の余地があり、全売り上げの20%にすぎません。先進国においてのコスメ、ヘアケアへの一人当たり支出は年間で300ドル近くになりますが、新興国は20ドル前後といったところです。
逆にこの浸透度というのは面白いかもしれません。業界におけるシェアは15%ほどで、ディアジオやコカ・コーラ、インベブの30%に比べると小さいですが、業界が違うので十分なシェアと言ってよいでしょう。
エスティローダー【EL】の配当性向
配当は8倍に伸びています。インカム目当てで買う銘柄ではないですが、50%を超えない、無理のない配当性向が業績の伸びを物語っていますね。増配余地は十分です。
エスティローダー【EL】のBPSとEPS
米国企業としてはめずらしくBPSも伸びている企業です。自社株買いはこの10年で10%に満たないものの、業績の伸びが支えています。EPSの伸びはこの10年で4倍強ですから、大変良いですね。
エスティローダー【EL】のキャッシュフロー
キャッシュフローも毎年一定というわけではないですが大局でよく伸びています。営業CFが2.5倍というのは、これも評価されてよいでしょう。
今後、中流階級が全世界的に増えることを考えると、成長余力が十分なマーケットを相手にしているといえるでしょう。しかし、一方で「ぜいたく品」であることは事実です。これは、不況耐性は弱いことを意味します。
この10年の世界経済はおおむね好調でしたから、リセッション時のリスクはそれなりと見込んでおいたほうがいいでしょう。現在の200ドル前後の株価は、過去の数字からするとやや走っていますが、売り上げ成長率を加味すれば妥当性ある株価と言えそうです。
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