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BITO、ビットコイン・リンクETF。暗号通貨ETFのチャートと考察

ビットコイン・リンクETFのBITOは代表的な暗号通貨ETF

 中央銀行の裏付けがない「通貨」でありながら、暗号通貨はマーケットでは毎日のように話題になるようになりました。暗号資産の代表的存在がビットコインでしょう。

 

 そして、2021年10月19日にBitcoin-linked ETFが上場しました。ティッカー【BITO】です。

ビットコイン・リンクETF、【BITO】とはこのようになっている

 【BITO】は米国Proshares社が運用しており、正式名称をProShares Bitcoin Strategy ETFといいます。マーケットはNYSEです。経費率は0.95%とETFとしてはかなり高い水準です。

 

 Proshares社はホームページで” The fund does not invest directly in bitcoin”(このファンドはビットコインに直接投資していない)と謳っています。

 

 【BITO】の投資対象はビットコイン先物であり、暗号資産現物を売買しているわけではありません。そもそも、暗号通貨自体が目に見えて実在しないものですが、ここではさしあたり「現物」と呼ぶことにします。


 これは、暗号資産の性格を考慮したものと考えられます。また、先物に投資しているからこそ経費率が高くなっています。

ProShares Bitcoin Strategy ETF【BITO】

ProShares Bitcoin Strategy ETF【BITO】

出典: Proshare社 website

暗号資産取引特有の性格

 現物の暗号資産を取引するためには、「ウォレット」が必要ですし、株式や先物等の取引所とは別なマーケットで取引する必要があります。


 一方、先物であれば、例えば株価指数先物と同様の取引や決済が可能です。例えばビットコイン先物はCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で取引されているので、例えばS&P500先物と取引ルールは同じになります。

 

 その先物をベースとしたETFを組成することで、投資家は例えばVOOやVTIといったETFと同様の取引が可能になります。投資家にとって敷居が低い形で暗号資産投資ができる点はメリットでしょう。

 

 また、リアルな通貨ではないが故ですが、暗号通貨への課税制度は発展途上にあり、今後変化が予想されます。例えば、バイデン政権の税制改革案では今後暗号資産への課税を一般所得と同じにすると言われています。

 

 その点、先物であれば、そのルールがすでにはっきりしていることも【BITO】が先物へ投資している理由ではないでしょうか。

 

 ちなみに、米国の運用会社ヴァンエックが2020年12月に申請したビットコイン現物を対象としたETFはSEC(米国証券取引委員会)が2021年11月に承認を却下しました。

 

 現物に投資するETFは「1934年証券取引所法」の要件を満たす必要があり、同法は上場商品について「詐欺的および操作的な行為、慣行を防止する設計」と、「投資家および公共の利益を保護する」仕組みの整備を求めています。


 SECはビットコイン現物が上場される予定であったCboeグローバル・マーケットの規則変更案について、証取法の定める要件を満たしていると証明できていないと述べたそうです。


 ビットコイン現物への信頼性は既存の枠組みの中では、まだ低いということなのでしょう。ボラティリティの高さは、その反映とも言えます。

【BITO】のチャート

 【BITO】の投資先であるビットコイン先物(2021年12月物)と比較しました。赤が先物です。


 【BITO】は2021年10月に上場したばかりですので、まだ期間は短いです。概ね先物を下回っているのは、ETFには経費が必要だからです。


 また、ビットコイン先物は休日でも取引されるため、例えば11月25日の感謝祭の日も値がついているのが他の資産とは違う点ですね。足もとはかなりネガティブな推移ですが、長い目で見ていったほうが公平でしょう。

【BITO】のチャート、取引値推移

【BITO】のチャート、取引値推移

出典: US版 Yahoo! Finance

BITOは現状日本の証券会社では取引できない

 ビットコインの値動きに魅力を感じる人であれば【BITO】は証券取引所が開いている時間帯であれば取引しやすく、敷居が低いと考えられますが、現状日本で【BITO】を扱っている証券会社はありません。

 

 暗号通貨の壁は税制です。ビットコイン現物取引で得られた利益は原則雑所得で最大45%(住民税込みで55%)の総合課税です。申告分離でもありません。


 一方米国ETFの譲渡所得に対する課税は米国分も含めてもおおよそ28.3%です。
ほぼ同様の資産に対する課税方法とその率が大きく異なっているため、金融庁が【BITO】の扱いを承認することで【BITO】を取引する人が増えれば、既に現物を保有している人との課税方法に差が出ることを好ましくないと考えている可能性もあります。

 

 つまりビットコイン連動ながら、ETFということで、証券税制を当てはめることができる、そのような利用が考えられるということです。

 

 【BITO】が米国で取引されることで、ビットコイン先物の価格も動くでしょうから、結果として現物価格を左右することは想定されます。ビットコイン現物を保有している方は、【BITO】の動きにも着目しておくとよいかもしれませんね。

 

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