破壊的イノベーションを狙うアクティブETF。ARKKとは
【ARKK】は、米国ARK Investment Management LLC(以下:ARK社)が運用するARK Innovation ETFという米国ETFです。2014 年10月31日に設定されました。マーケットはNYSEです。
【ARKK】はETFですが、ベースとなるインデックスはありません。アクティブETFとカテゴライズされます。【ARKK】について掘り下げる前に、まずはARK社について確認しておきましょう。
ARK社には投資の信条ともいえる言葉があります。
“Disruptive Innovation” -- 「破壊的イノベーション」です。
その定義は
- 劇的に生産性の向上をもたらす
- 大きくコストを減らせる
- 他のイノベーションを生み出せる下地であること
です。
次世代のイノベーションを起こす可能性がある上場企業群から、ETFを組成運用します。まさに、破壊的イノベーションをテーマとした資産運用会社となります。
女性版ウォーレン・バフェットと呼ぶ人もいるCEO兼CIO(Chief Investment Office)のキャシー・ウッド氏が2014年に創業した、まだ若い会社です。
2021年9月現在、以下の8本のETFを運用しています。
ARK社のアクティブETF
- イノベーション(【ARKK】、ARK Innovation)
- 自動運転技術&ロボティクス(【ARKQ】、ARK Autonomous Tech. & Robotics)
- 次世代インターネット(【ARKW】 、ARK Next Generation Internet)
- ゲノミック レボリューション(【ARKG】、ARK Genomics Revolution)
- フィンテック イノベーション(【ARKF】、ARK Fintech Innovation)
- 宇宙探査&イノベーション(【ARKX】、ARK Space Exploration & Innovation)
ARK社のインデックスETF
- 3Dプリンティング(【PRNT】、The 3D Printing ETF)
- イスラエル イノベーティブ テクノロジー(【IZRL】Israel Innovative Technology)
【ARKK】はARK社が運用するETFの中で一番純資産が多い(約2兆7千億円)基幹商品です。
【ARKK】の経費率、投資対象企業
ARK社のETFでも特に知名度の高い、【ARKK】についてみていきます。
経費率は0.75%です。低くはないですがアクティブETFですので仕方ないところでしょう。
【ARKK】が投資する対象は
- 新製品またはサービスの開発
- DNA技術(「ゲノム革命」)
- エネルギー、自動化、製造における産業革新(「ゲノム革命」)の分野に関連する科学研究の技術的改善に関わる企業
- 進歩に依存または利益をもたらす企業 「産業イノベーション」
- 共有テクノロジー、インフラストラクチャ、「次世代インターネット」
- 金融サービスをより効率的にするテクノロジー「フィンテックイノベーション」
などがあります。
特にセクターを問わず、イノベーションを起こせそうと判断できれば投資対象になると明言しています。どこの国の企業かは問いません。
【ARKK】の構成銘柄トップ10
それに基づいた、ウエイト上位10銘柄は以下のとおりです。上位10銘柄で約50%のウエイトを占めます。
出所 ARK Investment Management LLC website
箇条書きでまとめてみましょう。
- 電気自動車のテスラ【TSLA】
- 遠隔医療プラットフォームを提供するテラドック【TDOC】
- エンターテインメント企業のロク【ROKU】
- 仮想通貨取引所を運営するコインベース【COIN】
- ソフトウェア企業であるユニティ・ソフトウェア【U】
おなじみのズーム【ZM】やショッピファイ【SHOP】も確認できますね。
【ARKK】のパフォーマンスと株価チャート
パフォーマンスを確認しましょう。過去1年はいい数字に見えますね。
出所: US版 Yahoo! Finance
この1年のリターンは特に出色と言えます。S&P500と比較します。
出所:US版 Yahoo! Finance
赤:S&P500
青:ARKK
【ARKK】は特に2020年の夏以降の上昇が著しいです。
【ARKK】が日本の投資家で話題になったのは2020年の年末ぐらいでした。確かに、そのあたりの上昇は著しいですね。
テスラ【TSLA】のウエイトが高い運用ですが、ちょうどこのころテスラの株価も大きく上がっていました。一方、2021年春以降はやや軟調です。
もう一段の上げのためには、「次のテスラ」が必要かもしれません。
【ARKK】は構成銘柄の特徴を踏まえた購入が吉
中長期のグロースを想定した運用をしている商品です。NAVが現在120ドル程度とそれほど高いプライスではありません。そのため、少しぐらいPFに入れてサテライトとして活用するのには向いているそうです。
運用方針が明確ですから、その方針に魅力を感じる人には、良いサテライト投資先となるでしょう。
また、構成銘柄を見て中長期の個別銘柄投資のヒントにするという使い方もよいでしょう。
近年のパフォーマンスが良すぎて、注目されすぎたがゆえでしょうか。最近は、【ARKK】が純投資だけではない対象にもなっているようです。
ベストセラー「世紀の空売り」で有名になった投資家のマイケル・バーリ氏は【ARKK】のプットオプションを約3,100万ドル取得したことをSEC(米証券取引委員会)に報告しています。
プットオプションですから、単純に言えば原資産である【ARKK】の下落を見込んだポジションです。合理的かどうかは別にして、著名な投資家の行動というのはしばしば注目されやすく、そのポジションに追随するような投資家も出てきがちです。
いずれにしても、話題の割には手堅く方針がしっかりしたETFといえそうです。課題は、中小型グロース特有のボラタイルな性格です。
短期うねり取りか、長期で保有か。買う前にしっかりと自分のスタンスを決めておくことが肝要と言えます。
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