60歳以後の投資のメリットデメリット
定年退職は長らく60歳がスタンダードでした。しかし、平均寿命と健康寿命が長くなり、65歳に後ずれし始めています。すでに、多くの職場で65歳まで働けるような仕組みづくりが進められています。
人口的にもっとも多い層である、今の40代半ばの世代つまり団塊ジュニア世代が退職を迎える20年後にはどうなっているでしょうか。この世代への年金の支払い、あるいは社会保障全体の負担というのは大きな課題になっていることでしょう。
というのも、団塊ジュニア世代を支える若者層は、人口が少ないからです。いびつな逆ピラミッド状態になるため社会保障負担は非常に大きなものになります。
そうなると、最も有効な手段は「定年延長」ということになります。もしかすると、70歳定年というのが常識になっているかも知れませんね。20歳前後から働き始めて、退職は70歳前後ということです。足掛け50年のサラリーマン人生ということになります。
もっとも、今は投資情報に恵まれ、投資先も豊富です。今まで以上に、定年を自分で決めるという流れが常識化している可能性さえもありますね。私もそうでした。
いずれにしても、これからの日本を担う若い世代は、上の世代以上に投資が重要になってくることは間違いないでしょう。
さて、今日は60歳以後の投資のメリットデメリットということでご質問を頂いています。
60歳を目前に控え、投資をしようと思っています。
いつも貴ブログで楽しく勉強させていただいています。
老後のため、米国株で資産運用すべく現在勉強中です。
- 年齢:58才・独身
- 生活費: 月15万円(持ち家、ローンなし)
- 収入: 再就職で月15万円
- 公的年金: 160万円(65才から)
- 貯金: 6,000万円
来月から、毎月30万円を15年間に渡り、コツコツと
- VOOを購入し、配当も全て再投資する。
- 個別株(BRKーB)購入する。
以上を考えています。
この投資のメリット・デメリットを教えて頂ければ幸いです。
お忙しいところ、よろしくお願いします。
60歳以後の投資は不利だが、ケースバイケース
一般的に老後の投資は不利です。理由は1点、収入が減るからです。そのため、以下の条件であれば比較的積極的に投資をすることができます。
- 年金が手厚く、支出以上にかなりある
- 定年を延長して働いており、安定した収入がある
- すでに投資を長らくやっており、そこからの収入がある
これらのケースは、現役世代と比べてもそん色ないぐらいに稼げています。ポイントは、支出を上回る収入、あるいは支出よりもやや少ないぐらいの収入があるかどうかというところです。
質問者さんの場合は、65歳以後に生活費のほとんどを賄える年金が入りますね。これは心理的に大きな支えになります。
また、6000万円という大きな手元資金があるので、老後の生活に不安はありません。
老後の投資のメリット
老後の投資のメリットの1つは、言い方は悪いかもしれませんが残存生存年数、つまり寿命が限られるので計算が立ちやすいことです。また、必要なお金も少ないです。例えば、何億円という金額必要な人は限られるはずです。
質問者さんの場合は正直に申し上げると、年金がしっかりあり、支出も絞り、預貯金がふんだんにあるので投資をする必要はありません。
しかし、かなり余裕があるので投資に振り向けて趣味にするという選択も無くは無いですね。ただし、最初の取り組みとして30万円というのはいささか大きいように思います。15年の分散ということで、かなり余裕は取っています。しかし、株式集中投資になるリスクは知っておいて良いと思います。
ざっくり生活費と同等、15万円ぐらいからでも良いのではないでしょうか。これだと、現預金がかなり長い間、大きな割合として手元に残ります。株式だけでなく、債券などのアセットも含めるならば、金額はもう少し多くても良いでしょう。
ちなみにBRKはこの場合あまりおすすめしません。こちらは、アクティブファンドのようなものですが、個別株です。つまり、個別株リスクとは無縁ではありません。老後の投資は「分散」と「守り」が大きなテーマになります。
リターンよりもリスクに目を向けた投資になるということです。
老後の投資のデメリット
老後の投資のデメリットは、限られたインカムの中で投資を行うことであることは述べたとおりです。失敗すると、取り返しがつきません。
例えば、6000万が3000万円になってしまったらどうでしょうか。年間160万円の年金から取り返すのは至難の業です。
しかし、質問者さんのように十分な預貯金があり、年金収入と支出のバランスが保たれるならば、たしなみ程度に始めるのは悪くないと思います。
私も何歳になってもおそらく投資は続けるつもりです。老後の生活の1つの張り合いになるとよいですよね。
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