遺族年金と資産運用の関係
遺族年金は大変大きいセーフティーネットです。一家4人で厚生年金加入者の場合だと、何かあった時にケースバイケースですが、おおよそ月々15万円前後の遺族年金給付を受けることができます。残された人の年収制限800万円というのがありますが、今の日本の平均年収だと多くの人が超えないですね。
年金は批判が多いですが、老齢年金に焦点が当たりすぎています。遺族年金や障害年金の持つ保険機能にも目を向けて判断していく必要がありますね。さて、今回は遺族年金受給中の方からのお問い合わせをご紹介します。
急な事故で夫を亡くし、遺族年金受給中。資産運用を始めたい。
たぱぞうさん、はじめまして。いつも為になるブログありがとうございます。
お忙しいとは存じますが、お返事頂けたら幸いです。
私事で恐縮なのですが、一昨年急な事故で夫に先立たれてしまいました。1年くらいはただ抜け殻で生きてきたのですが、子供の為にもこのままではいけないと思い、真剣に人生について考え出しました。
シングルマザーで一生子育てしていくつもりです。
私の現状なのですが今年2歳になる子供が1人いて、無職です。
- 遺族年金が月14万弱
- 児童手当が3歳までは月1.5万円
- それ以降は1万円という収入になります。
今は実家でお世話になってるので家賃などは発生しません。
幸いにも今までの貯金や相続や生命保険などで約6000万円ほどは現金や資産で持っています。外資の変額保険の生命保険に毎月15万以上支払っています。外貨建てのドルの積み立て生命保険にも入っています。
殆どのお金は、祖母の勧めで0.27%の定期預金にとりあえず預けていて、来月満期なので、投資に回そうと思いますが、私の力にそぐわない大金を持ってしまったという事と、今まで金銭的な事は全て夫に任せていた為、無知で今後の長い子育てが不安になり、最近ネットや書籍で子育てやお金の事、、、色々勉強し始めました。
夫が残してくれたお金を大切にし、最大限に活かしたいと思います。
多くのブログや書籍は今から増やす、積み立てていく投資方法であり、またキャッシュが十分あって一括投資か分散投資で悩まれてる方も月々の収入がそれなりにあるかと思いますので、私のように今ある資産を削っていくしかないような状況、しかし極力減らしたくない人向けのものは少ないです(需要がないので当たり前ですが。)
そこでこのブログに出会いました。前置きが長くなり申し訳ございませんが、もしよろしければ力を貸して頂けると幸いです。
今後の生活の重点
- 母子家庭ということもあり子供との時間を大切にしたいので、子供が小さいうちかはバリバリ働くことは極力避けたいです。できれば小学生までは空いた時間在宅ワークなど。。
- 少しですが主人と子育て方針など話し合ったので、出来るだけ主人の意向に添いたいです。
- その為都心での生活希望です。
- 崩していくだけの使い方は出来るだけしたくないです。
生活面でのお答え
事情を知らない中で、推測で申し上げますね。今までのご質問のケースを思い出しながらです。そのため、参考程度にしていただけると幸いです。
ひとまず、優先順位をつけるとよいですね。都心に出るのが大事か、時間を得るのが大事かということです。
私は経験上、後者だと思います。実家で過ごせるというのは非常な力になります。まず、孤独ではないし、助けがあるからです。ですから、少なくとも小学校、あわよくば中学校ぐらいまではご実家でも良いのではないかと思います。
ご主人との理想もあると思います。ただ、それは前提条件が両親健在ということだと思います。そう考えると、今は前提が崩れています。私たち残された家族は、新たな人生設計をする必要があります。
私も経験したから言いますが、片親で働きながら育てるのは大変です。ゆったりとした時間を、喜怒哀楽一緒に子どもと過ごす。こういう普通のことが片親家庭だとなかなか難しくなります。
時間に追われ、子どもを追い立てるようにして生活する。そういう生活になりかねません。心穏やかに過ごすためにどうするか、というのを考えても良いかもしれませんね。大きなテーマです。
遺族年金+αで過ごせる生活で、心と収入の安全域を保つという手を私なら取ります。男親だといつまでも実家に甘えることはやはりできないですし、仕事の都合で私はしませんでしたが、世間的には母親は別ですね。不自然なことではありません。
資産運用上、悩んでいること
- 外資変額保険の解約をすべきか。
掛け捨ての生命保険以外はいらないと学びました。これは最低でも5年続けないと払い済みにもできず、1年そこそこでは信託報酬とトントンもしくは数千円戻ってくるかどうかなので、約200万捨てるか、5年払って(トータル500万以上)払い済みにするか悩んでます。ちなみにドル建ての方は払い済みに出来るようなのでそうしました。
何年払い込んでいるのか分かりませんが、年数が浅いならば解約してよいでしょう。長いならば、払い済みで権利を得たほうがいいですね。
- 国際分散投資か、米国投資か。
勉強した後、やっと投資に踏み切ることができ、楽天VTIに積み立てNISAで運用始めました。これは米国だけなので、もっと分散した方がいいかどうか。楽天VTI +VEA(パシフィック +欧州) +VWO(新興国)か、むしろAにプラス債券やリートなども入れるべきか。
欧州や新興国は入れなくていいです。迷うとすれば、全世界投資、ACWIかVTぐらいです。リバランスの手間が無いからです。
欧州は、低成長です。金額が大きくなればVWOも検討してもよいかもですが、ボラティリティは高く、リターンは低いです。もちろん、単年で良好な成績を出すことはありますが、20年、30年後を見据えて投資したほうがよいと判断します。
同様に債券も、資産が増えてからで大丈夫です。当面、潤沢なキャッシュで資産のバランスを取っていくのが自然でしょう。
積み立てNISAで楽天VTI +米国高配当株ETFに投資で配当もらって取り崩しを減らすのも手かと思います。(VYM or HDV)
この際の残しておくキャッシュとの兼ね合い、投資の方法(分割かいくらか)計算したところ3000万で月10万の配当→5%の利回りなので月10万は厳しいですね。
取り崩す場合は働くまで手元のキャッシュが減る一方なので、精神的に辛いかもです。都心に出た後、遺族年金は家賃と光熱費と通信料などの固定費で消えると思います。
お若いので、当面は高配当型ではない投資信託で良いと思います。ご自分の所得が出た段階で、米国ETFで配当を取りに行くかどうか考えるというのが1つの手ですね。理由は、所得が無いと外国税額控除による所得税の控除が効かないからです。リターンも高配当系は低めなので、無理しなくて良いでしょう。
取り崩すことに抵抗があると思いますが、それぐらいの資産になると相場のうねりの増減のほうがはるかに影響が大きいです。したがって、無理せず分散投資で、足りなければ取り崩してよいと思います。
明けない夜は無く、今を凌ぐということ
最後に。
大変なことでしたね。普段は、あまりすぐに返信できないのですが、たまたま時間がありました。遺族年金を受給されているということで、目に留まりました。
私も子ども二人を抱えて家内を無くしましたから、その大変さはよくわかります。また、受けたショックの大きさも深く共感するところです。
経験者として申し上げるならば、「明けない夜はない」ということです。今が一番大変かもしれませんが、徐々に道は拓けます。今を凌いでいきましょう。凌いで、しんどい時期は、何となくやり過ごせばいいのです。
つらい現実は無理に向き合う必要はないのです。そうしている間に、時間が無理なく解決してくれるのですね。現実を乗り越える必要も無く、いつしか自然と共存できるようになるのです。凌ぐというのはそういうことです。共にがんばりましょう。
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年金はこのような保険機能もあるということですね。月々5万円足りないというのは、自然な資産運用で十分補えます。
厚生年金料率引き上げは一応ストップしているのが現状です。
年金を1から学ぶためのバイブルと言って良いでしょう。学ばないと、雰囲気で流されてしまいます。自ら考え判断する力を身に着けたいですね。