たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

70歳で資産運用して子や孫への支援を続けたい

世代間の富の移転は大きな課題になりつつある

 日本の経済成長に限りが見え始めた1990年代以降、日本の一人あたりGDPは停滞しています。世界各国が伸び続けたのに対し、日本は停滞していますので、この間相対的に日本は貧しくなったともいえるでしょう。

 

 特に1998年以降繰り返された金融を中心とした経済危機は、新卒一括採用が雇用の中心を占める日本においては非常に大きな意味を持ちました。正社員になるという道が閉ざされ、非正規雇用が一般化したのもこの時期です。

 

 今の40代前後、団塊ジュニアと呼ばれる世代やリーマンショック前後に就職活動をした世代は特に大きな影響を受けています。いわば、生まれた時代によって運命が大きく分かれるという非情な現実があったのです。

 

 新卒で良い企業、良い仕事に就けないと一生後を引く。そういう現実は崩れつつはありますが、過去には今以上に厳然と存在したのです。

 

 そういう意味では、比較的恵まれた時代を生きた団塊世代やそれよりも上の世代が、相続という形で下の世代に富の移転をしていくというのは理にかなった行動と言えそうです。今回は70歳、お子さんとお孫さんに資金援助をしているという方からご質問をいただいています。

70歳で資産運用をして子や孫への支援を続けています。

 私はまもなく70歳になります。現在の投資額は約3000万円です。

 ポートフォリオは以下の通りです。

  • 日本株(投資信託70% 個別株30%)40%
  • 米国株(ETF50% 個別株50%)35%
  • 先進国株(ETF)10%
  • 新興国ETF 7%
  • 先進国債券 5%
  • REIT 3%

 です。

 

 年間収入は年金の約200万のみです。子供孫への毎年の支援が150万円位必要です。そのため年200万円位のリターン約7%を目指しています。現金は約1000万位で暴落時に買い増ししようと待機してます。


 私くらいの高齢になりますと理想ポートフォリオの検索しますと、債券中心となっています。株式偏重はやはりハイリスクすぎるでしょうか? 


 個人的な考えでは

  • 日本株比率を30%(投資信託ウェイト100%へ)
  • 米国株比率を40%(ETF比率70%へ)
  • 新興国株(ETFのみ)10%
  • REIT10%
  • 外国債10%

 に向けて調整していこうかと思います。

 2018年1月-9月のリターン確定値は税引後200万円位です。

 

 来年中旬~下旬には株式には注意必要と個人的には思いますが、それまでは上記の運用でよいのではと考えています。常にポートフォリオを固定化せず状況に応じて変動させればと勝手に思っています。

 

 たばぞう様のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

年金額相当の支援を続けるのはリスクがあります。

 おっしゃるように株式の比率が高いですね。ディフェンシブとされる、債券7割、株式3割でもそれなりのリスクを負うように思います。理由はご退職をなさっており、インカムが限られるというところです。

 

 確実な年間収入である年金が200万円、お子さんとお孫さんへの支援額が200万円ということは、ご自身の生活を株だけでまかなわなくてはいけないことになります。株100%で、やや楽観的に手取りの配当金を3%と見積もると、3000万円の原資ですから90万円の収入になります。

 

 ご自宅の有無など生活レベルにもよりますが、やや苦しい水準にならないでしょうか。幸いにして、相場がよいので今年は200万の収入がおありだということですが、3000万円に対して毎年200万の収入というのは期待リターンとしてはやや高いと考えます。相場は水物だからです。

 

 もっとも、私が70歳で、労働収入がない、年金のみという生活でしたら債券を7割にします。それも、ほとんどを先進国債券にするでしょう。しかし、そうするとリターンが落ちますから、年に200万円の支援というのは難しくなります。

 

 米国株ETF、例えばVTIやS&P500連動ETFなどは過去10年において年率リターンが10%を超えています。しかし、これが常態化すると考えるのはややリスキーですね。繰り返しますが、あくまで株価は上下するもの、ランダムウォークで気まぐれなものだからです。

 

 これが生活余剰資金で投資をしていれば余裕があります。しかし、「何が何でも生活費を稼がなくてはいけない」というプレッシャーは判断を誤らせます。これが怖いのです。

 

 こうした事情をお子さんにお話の上、支援額を見直していく、同居など物的支援の形を模索するという方向性も同時にお考えになられてはいかがでしょうか。僭越ですが、自分ごとに置き換えると少々怖いなと思いました。

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 もっとも、私は意外に保守的ですので、アグレッシブな投資をされる方で、センスが図抜けているという前提に立った場合はお答えも変わる部分だと思います。ご参考になれば幸いです。

 

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