60歳からのはじめての投資
言うまでもなく、投資は若いうちから始めたほうが有利です。理由は3つあります。
- 収入があるので失敗してもやり直しがきく
- 知識と経験が蓄積され、今後に生かされる
- 誰でもできる投資は時間を味方につける投資になる
こういう理由があります。順を追って説明を加えます。
収入があるので失敗してもやり直しがきく
まず、若いうちは仕事を得やすいので、収入を確保できます。すでに働いていれば、安定的な収入があります。実際にサラリーマンをしていると実感に乏しいかもしれませんが、この「安定的な収入が得られる」というのは非常に大きな意味があります。
投資で失敗してもやり直しが効くからです。逆に、収入が無い状態で失敗すると、投資で損を取り返そうという意識が働き、判断を鈍らせます。しかも若いうちだと投資額も限られますから、失敗しても損失は限定的です。
知識と経験が蓄積され、今後に生かされる
成功も失敗も含めて、自分の経験として蓄積されていきます。畳の上で水泳練習しても泳げるようにならないのと同様に、知識を生かすには実際に自分で投資して経験的に学ぶ必要があります。
実際の投資活動で得られた知識と経験は今後の投資に生かされます。
誰でもできる投資は時間を味方につける投資になる
誰でもできる投資術の大事な要素に「長期投資」があります。短期売買はどうしても「うねり取り」になります。これは才能が必要です。しかし、インデックスや優良株への長期投資はリターンも限定的ですが、損失も限られます。
質の良いインデックスへの投資ならば、20年をめどに投資をすれば殆ど損せずに運用することも可能です。もし今30歳ならば、80歳まで運用すれば50年も時間に投資ができることになるのです。
世界経済が発展し続ける限りにおいて、これは非常に有利な条件になります。
60歳からの投資はより慎重になればできる
では、たとえば60歳からの投資は無理なのでしょうか。投資をせずに、貯蓄を今まで通り続けていれば良いのでしょうか。
これはお答えとしてはあくまで「やり方次第」ということになります。よりセーフティに運用すればできないことはありませんし、時間も味方につけることができます。今回は58歳の方からご質問を頂いています。
ご質問を元に一緒に考えてみたいと思います。
2000万円の定期預金を投資運用に回したい
たぱぞう様
初めまして、若い頃に日本株に投資しましたが高値掴みをしてしまい、長期間塩漬けになり最終的には損切した経験がある現在58歳の女性です。
それからは投資とは無縁に年を重ねてきてしまい、日本株が好調な時にも手を出すことが出来ず銀行の定期預金に資金を預けたままです。しかし、このままではいけないと投資について色々と調べ始め,たぱぞうさんのブログに出会いました。
たぱぞうさんのブログは私の様な初心者にも大変わかりやすく、大変勉強になります。お忙しい中大変恐縮ではございますが本日はご意見を頂ければと思い連絡させて頂きました。
現在投資に回したい資金は2,000万円です。まずウェルスナビに100万円入金しました(リスクは3でしたが4で設定。毎月3万円ずつ積み立てる予定)
この他たぱぞうさんのブログより下記の商品を考えています。
- ウエルスナビに資金を再投入。
- VTI、VYM、BND、VOOの購入
- ひふみ投信の購入
- 楽天全米株式インデックファンドの購入(積み立ても視野にいれてます)
- 楽天新興国株式インデックスの購入
以上ですが、いずれも配分とどれくらいの金額をどんなタイミングで購入すればいいか判断が出来ません。
タイミングをずらすのであればそのスパンも知りたいです。尚、まだNISAも積み立てNISAもやっておりません(どちらを使えばいいかまだわからずいます)先日SBIに口座を開設して準備はしてあります。
長文になりましたがどうぞよろしくお願い申しあげます。
高齢であるほど守りの投資が大前提になる
まず、この2000万円というのは今までコツコツと貯めてきた、老後の貴重な財産であると推察します。つまり、極力減らさずに運用するのが理想だということです。そうなると、より時間をかけてコツコツと投資するのが王道になります。
よく使うiDeCoはもうご年齢からするとメリットがありません。そのため、税制上の優遇をまず埋めるとすると、つみたてNISAの利用が第一になります。
ちなみに、列挙されている以下の商品はいずれも人気商品ですね。
VTI・VYM・BND・VOO・ひふみ投信・楽天全米株式・楽天VWO
どれかをコアとして置いて、その周りにサテライトとして配置するというのが良いでしょう。
私はこの中でコアになるのは「楽天全米株式」だと思います。米国ETF群は魅力ですが、外国税額控除が手間なのと、そもそもお仕事をされおらず所得がないとすると外国税額控除自体が受けられなくなるからです。
それならば、源泉徴収課税分は捨てることになりますが最初から投信にして、配当の非課税繰り延べ効果を狙ったほうが良いでしょう。
日本株主体のひふみ投信ですが、安定したリターンで実績を残しています。もし藤野氏の考えに共感でき、アクティブファンドを買ってみたいならば、選択しても良いでしょう。人によってはひふみ投信をコアにする人もいるでしょう。
今年はボラティリティも高めですから、まずつみたてNISAでコツコツとこれらのファンドを買い、相場観を養い、いずれ本格投資を始める、ぐらいの距離感が望ましいと思います。
まとめます。
- 相場に一気投入しない
- つみたてNISAで楽天全米株式メインに積み立てる
- 楽天VWOとひふみ投信をトッピングしても面白い
こういうことになります。投資初心者の方は、ちょっと買い始めるとついつい「ドカン」と投入したくなります。まず、気持ちを抑え相場観を養い、同時並行で書籍やネットで知識を付けるというのが良いと思いますよ。
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