ドル円が115円を突破したが
ドル円が115円を突破しました。
トランプ大統領の誕生を予測した人は多くありませんでした。そしてトランプ大統領の当選がこんなにも急激な株高と円安を招くと予想した人もほとんどいませんでした。
特に為替というのは多く予想されますが、本当に当たりません。万年あたり続ける人というのは皆無と言って良いでしょう。専門家でさえそうですから、個人でぴたりと当てるのは無理です。
ただ、当てることが無理だと分かった上で、それなりの対策は立てられるのではないかとも逆説的に思います。
急激すぎる思惑相場
私は冬のボーナスをドル転するのを珍しく躊躇いました。いつもならばちょっとまとまった資金ができると割とためらわずにドル転していました。しかし、今回は円で貯めてあります。
というのも、何も状況は変わっていないのに、いくらなんでも為替の動きが急激すぎるのです。
例えばアベノミクスは明確な緩和政策があり、珍しく乗りやすい、予想しやすい為替政策でした。
しかし、今回のトランプ大統領の当選に伴うドル高はすべて「見込み」で動いています。実際に採用された政策はまだ一つもなく、しかもまだ大統領になってさえもいません。
※画像はGoogleファイナンス
ドル転の場面は焦らずとも必ず来る
トランプ大統領の政策というのは基本は保護主義的です。ドル安誘導は予想されても、急激なドル高を許容しつづけることは考えにくいです。
トランプ大統領の奔放に見える発言は、氏が公職についたことなく、しかも生まれながらの経営者だったからというのが大きいように思います。
氏には組織で自分を押し殺すという経験は殆ど無いと言って良いでしょう。そういう意味ではバランスを取りながらも歴代の大統領に比べて遠慮なく自分の思い、つまり米国第一主義を貫くと予想します。
また、利上げが注目されるところですが、アメリカ経済も盤石というわけではなく、このごろまでドル高が続いたことにより主に多国籍企業において業績の陰りが見られました。
11月の雇用統計では非農業部門就業者数が前月比17万8000人増加し、失業率は4.6%で2007年8月以来の低水準となりました。リーマンショック後、失業率はおおむね下がり続けています。
しかし同時にわずかですが労働参加人口や平均賃金の減少も見られました。労働参加率は0.1%ポイント低下の62.7%であり、時間当たり平均賃金は前月比0.1%減と、前月の0.4%増からマイナスになっています。
このことは、仮に12月に利上げがされたとしても、それがゆるやかであり、さらに継続的ではないことを示唆しています。2016年に実施された利上げ幅がわずかで、しかも今まで1度にとどまっていることから見てもそうです。全ての数値が強いわけではないからです。
世界で最も強いアメリカ経済でさえ盤石ではないのです。
また、日本国内の様子を見ても、アベノミクスに伴う国債買い入れやETF買い入れも飽和しつつあり、そのスピードの鈍化が来年中に予想されるところです。国債はすでに4割以上を日銀が保有しています。
これらは円安誘導に大きく寄与してきました。その鈍化というのは円高要因になります。アベノミクスもそろそろ出口戦略が検討される時期、それが来年以降であるということです。
12月のFRBによる利上げで「やれやれ」とひと段落つくのか、さらなるドル高があるのか注目されるところですが、短期的にさらなるドル高になったとしても継続的であることは日米様々な要因から考えても難しそうです。
すでにある程度のドルのポジションを持っているならば
2017年中にまたドル安になる局面が来るでしょう。2016年につけたような100円前後に戻る時が来ると予想します。そういう意味ではすでにある程度のドルポジションをもっているならば焦る必要は全くないでしょう。
もちろん、40年、50年といった超長期では私は円安を予想していますので、いつドル転しても良いのですが、あまりに急激なのと経済と政策の逆を行く為替相場のように見えるので予想してみました。まあ、当たらないのですが予想は楽しいんですよね。
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11月、当選直後の時点でドル安を予想していますが、早速盛大に外しています。自分を信じ、自分の思い描く未来に投資することが大事ですね。