たぱぞうの米国株投資

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高配当株投資が良いのか、成長株投資が良いのか

高配当株投資が良いのか、成長株投資が良いのか

 高配当株投資は安定感が魅力で、非常に人気がありますね。

 一方で成長株の爆発的な資産増の可能性も魅力があります。

 そのどちらが良いのかということでご質問を紹介します。

FIREを見据え、高配当株投資か成長株投資が良いのかで迷う

たぱぞう様

 初めて質問させていただきます。40代後半アラフィフの窓際サラリーマンをしております。投資歴は23年ほどありますが、日本株・Jリート現物を少しやってきただけで期間だけ少し長いですが振り返ると自分の投資・経済知見は安定の低空飛行でした。

 

 それでもなんとか曲がりなりにも市場にしがみついています。


 数年前からたぱぞう様などのブログや書籍で勉強させてもらい、遅ればせながら4年半ほど前から米国株投資も始めまして、自分のPFの主力にしています。

 

 たぱぞう様のブログと書籍はもちろんですが、他の米国株ブロガーのブログ・書籍で自分の投資知識・知見が大幅に広がった意識があり、本当に感謝してます。

 

 あとはその成果を自分の投資へ反映させ、長年の夢でありますFIREを達成し、米国株投資への気付きを頂いた、たぱぞう様への(自分勝手な)恩返しといきたいところですが、世の中そんな甘くなく?いろいろと個別事情もあり定年が先かFIREが先か(あるいはリストラでまさかの強制FIRE?)というところで踏ん張っている今日この頃です。


(それでも自分にとって必要そうな老後資産は形成できそうで改めて米国株投資に巡り合えた幸運を感謝してます。)

 

 さてそんなFIRE資産(というかほぼ老後資産ですが)を形成するうえで一点、腹落ちしていないことがありたぱぞう様に御教授いただきたくよろしくお願いします。(米国株投資に関するものです)

 

 私の不勉強なだけかもしれませんが、老後資産を使うステージにおける無配(ハイテク)グロース株の切り崩しと配当株によるインカムゲットの比較についてです。

 

 定性的な話になりますが、いろいろな経済情報やブログ等々をみますと無配グロース株の切り崩しと配当株での配当入手は本質的に同じことで配当においては税金もかかる(もちろんグロース株売却時にもかかるはずですが先送りできる)ことから、無配グロースの会社が取っている手法として利益をビジネス成長に振り株価を上げることで株主に報いるほうがいいのだというロジックがイマイチ理解しきれておりません。

 

 ざくっとの言い方ですが一般的に配当は会社が捻出した利益から必要経費を抜いての余剰資本を株主に与えるという理解です。一方で株価を上げて株主価値を上げ、株主が株を売却してその利益を享受するのは確かに見かけ上、同じように思われますが株価が上がるためには市場に十分な買い手というか買い資金があるのが前提ではないかということです。


 自己株買いは配当株であればたとえそれによる株価上昇はあったとしても増配と同じこと(配当原資が同じとして株数が少なるので増配と同等という意味)だということは理解し易いです。


 ただ無配グロース株について成長期待を背景とした株価上昇による株主還元の考え方は、もし利益をビジネス成長に廻しても期待以上の成長が見込めなくなったとき、たとえ利益が出ていても(イノベーションによる需要開拓と収穫が厳しくなるステージと言ったらいいでしょうか)株価を上げられず、最終的には利益がずっと出ている状態では内部留保を貯め続けるわけにもいかなくなり結局、配当を出して株主還元するしかないのでは?とも思います。


 そのようになった場合、無配グロース株から成熟配当株へと痛み(株価調整)を伴う移行が起こるのではと思うのです。あるいはそんなことはないかもしれませんが市場に十分な買い余力がない場合、いくら利益をあげても株価が上がらないということも可能性としてはあるかもと思います。


(市場に資金が十分にあってもセクターローテーションなどでもその状態に陥る可能性も)

 

 成熟配当株はすでにその調整は織り込まれている(ある意味、成長性はあきらめられている)ので市場全体のダウンがあって多少は株価が下がろうともワイドモートのビジネスが確保されていれば配当は維持されると思います。

 

 このようなことを考えると老後に資産を食っていくステージに入った後に、無配グロース一辺倒での資産形成は危険なのではと思ってます。人にもよるかと思いますが資産食いつぶしステージではどちらかというと資産額最大値よりもインカムのロバスト性が高いほうがいいように思うのです。

 

 確かに現在、ちょっと調整は入っているもののナスダックに代表されるような無配グロース株へのPF偏向は資産最大化には本当に効率がいいと思いますが一方で上記のようなリスクがあることは頭において成熟配当株にも振っておくことは重要かと思ってます。

 

 あとはトリニティスタディを頭で知っていてもそれを実行できるメンタルが保てるかという懸念も少しあります。

 

 もちろんナスダックインデックスはイノベーションリスク(リターンも)がノーマ
ライズされていると考えられこれからも本当に強いであろうとも思っています。

 

 長くなりましたがつまり老後資産としては無配(ハイテク)グロース振りより成熟配当株へ振ったほうがいいのではないかという考えはいいのでしょうか?というというのが質問になります。

 

 インカムロバスト性求めるなら株より債券のほうがいいと言われればそれまでかもしれませんが・・・

 

 長々としかも抽象的な物言いで質問の意味がぼやけているかもしれませんが、まさにそれが理解できていない証拠ということで、温かくみていただけますとありがたいです。

 

 お忙しいところと思いますがご意見いただければ幸いです。

高配当投資と成長株投資の基本的な考え方とリターン

 まず言えるのは、成熟株が良いか成長株がよいかというのは、現状だと二項対立ではないということですね。

 

 ETFに例えると、少々乱暴ですが以下のような分類になります。

  • 成熟株 VYM、HDV、SPYD
  • ミックス S&P500、VTI
  • 成長株 QQQなど

 VYMの組み入れ筆頭はかつてMSFTでした。しかし、株価成長と共に利回りが落ち、VYMから外れました。いわば、VYMは最もおいしい時期を逸したとも言えます。

高配当株か、成長株か、あたかも純米か純吟か旨口か辛口かのよう

高配当株か、成長株か、あたかも純米か純吟か旨口か辛口かのよう

 しかし、これはベンチマークのルールに従っただけですから、ぶれないという意味では正しいです。

 

 一方QQQはかつては本当におやんちゃな銘柄であふれていました。しかし、ITによる産業革命の進展により業績が付いてくる企業が多くなりました。時代が下るにつれて、成熟株の比率が増える可能性もありますね。

 

 理由は、Nasdaqに上場する時価総額加重平均のETFだからです。同様に、今成長株比率が高いVGTなどもそうです。そういう意味では、実は成熟株と成長株の境目というのは流動的です。


 ただし、この20年以後の推移においては、米国株のリターンの源泉は成長株によるところが大きいです。成熟株投資ばかりしていると、ある程度の底堅さの代償としてリターンの大きな果実を逃していることになります。


 究極的には、このITによる産業革命がいつまで持続するのか、またその後に新たな産業革命が来てマーケットの成長があるのか、というところになるかと思います。


 安定した業績を持つ企業による持続可能な配当は安定したリターンを生みます。これは、経済停滞時には意味を持ちますね。しかし、イノベーションが起きるような局面においては成長株のキャピタルがもたらすリターンに劣後することがあります。


 どのようなストーリーを描いて投資をするのか、というのは永遠の課題です。誰もができる投資術として、中庸のS&P500やVTIとするのはそういうことですね。

 

 とはいえ、ITバブル以後は成長株優位は鮮明ですから、持続性に注意は必要ながらもQQQやVGTなどのセクター投資が有効であるのもまた真実というわけですね。

 

 なお、マーケットからお金が抜ける、流入しないというのは詳述は避けますが、今の資本主義下の会社制度が変わらない限りは無いですね。

 

 ご質問ありがとうございました。

 

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