年収が高いのは良いことだけれど、無条件で安泰というわけではない
年収が高いのは良いことですね。生活が安定します。しかし、永続的に高年収である仕事というのは限られています。
たとえば、サッカー選手やプロ野球選手などは高年収で知られます。しかし、選手としての実働期間は限られますね。芸能人も、当たれば大きいですが、永遠に当たり続ける保証はありません。
ビジネスの世界でも、ベースアップはうれしいですが、成果部分が大きくなると永続性が乏しくなります。
常に走り続ける、向上し続けるというのは40代前半位まではやれるのかもしれません。しかし、だんだんと無理が利かなくなってくるのも事実です。
NBAプレーヤーやNFLプレーヤーの引退後の破産率の高さはよく知られており、6割とも7割とも言われますね。この数字の信ぴょう性はともかく、一定の数の引退選手がそのような憂き目に遭うということです。
一時のキャッシュフローに惑わされ、生活レベルを上げたり、散財すると誰でもそうなるということです。
さて、今回は堅実で金融リテラシーを十分に備えた高年収の方からのご質問を紹介します。
年収6000万ですが、今後の見通しがつかないので資産運用を考えている
たぱぞう様
いつも楽しく拝見しております。投資方針について、是非ご意見をいただけますでしょうか。
・「相談内容」
現預金5000万円(マイホーム資金予定)を運用した方がいいのか悩んでいます。
・「前提」
私:35歳 年収6000万
妻:30歳 専業主婦
子:幼稚園2人
家:賃貸で年170万円払っています。漠然とですが将来的に5000万位の持ち家を購入予定です。
現資産:
- 現預金6500万
- 投資信託(時価総額比率で先進国株式、米国株式、新興国株式、日本株式を保有)とiDeco 4100万
- 債券1200万
- 外貨預金(払済)
- 1000万
- 小規模共済1200万
- 計1億4000万
その他:現在は月100万ぐらい投資信託を購入
・「背景」
現在はある程度収入はあるが仕事上、年齢を考えても先は長くはない、収入は減るまたはいきなり無収入になる可能性もあります。
資産運用に興味を持ち、今まで貯金したお金で2年前から投資信託を始めました。長期、分散、積立でバイアンドホールドしていこうと考えています。家の購入資金として5000万はあるものの仕事の関係でいつどこに建てるのかさえ決まっておらず、このまま機会損失になるのももったいない気がしています。
家の購入資金は手をつけない方がいいのか、それとも運用に回した方がいいのでしょうか。是非ご意見をいただきたく、よろしくお願いします。
高年収の人が将来に備えていく方法は2つある
なかなか破壊力のある年収ですね。にもかかわらず、浮ついたところが一切なく、大変控え目な方ですね。小規模企業共済をされているということは、事業家、法人さんですね。
ちなみに、私ならば運用に回します。ただし、ペーパーではなくてハードアセット運用です。理由は、今の年収水準だと融資が付きやすく、投資の幅を広げることができるからです。ハードアセットの生み出すキャッシュフローは強烈です。
住宅購入や、ペーパーアセットでの運用はいつでもできます。しかし、今の年収水準が永続的でないならば、その属性を生かした投資運用というのがベストだと判断します。それは、融資を活用したハードアセットでの資産拡大となります。
ただし、海千山千の世界ですから、確かな人脈に基づいた確かな物件を購入するのが肝要ですね。今は相場も高いです。人脈と知識が無いならば、ペーパーへの分散投資のほうが安全となります。
住宅はいつどこに住むか定まってからでも良いでしょう。おっしゃるように拙速に決めるものではないですね。ただし、住宅ローンが組めなくなる恐れがあるならば、投資を止めてプールしておくのも手です。使途が明確になっているお金は投資に回さないのが原則です。
さて、ここからは一般論です。
一時のキャッシュフローが出る高年収の方が、将来に備えていく方法はいくつかあります。うまくすれば、それこそ豊かなキャッシュフローを生み、生活は安定、アーリーリタイア、セミリタイアも可能となります。
豊かな年収をストックに置き換える
将来に備える方法の1つめは、今ある資産をストックに置き換えることです。ストックは以下のものを指します。
- 株や債券などのペーパーアセット
- 不動産や太陽光などのハードアセット
これらを組み合わせていくことです。
ペーパーアセットは分離課税ですので、積み上げる金額が大きくなれば税制面でのメリットがあります。累進課税の所得税率からすると、この分離課税の2割というのは非常に大きいのですね。
ハードアセットは、減価償却が取れたり、法人化すれば経費をうまく活用できたりするメリットがあります。つまり、利益を計画的にコントロールすることができるということです。質問者さんの場合、あと何年年収6000万が続くかわかりません。しかし、金額からするとステージとしてはハードアセットを組み合わせたほうが効率的な段階に来ていますね。
高年収なので、融資も非常に付きやすく、大変有利な状況です。ただし、下手を踏む確率もペーパーより大きくなりますから、繰り返しますがよく周囲と相談したいところです。これに関してはメールを差し上げたとおりですね。
高年収だからと言って、生活レベルを極力上げない
キャッシュフローが大きくなると、ついつい生活レベルもあげてしまいがちです。そういう意味では5000万の住宅というのは、年収から考えると非常に控え目な水準ですよね。
一般に住宅は年収の5倍までと言われます。1倍にも満たないわけですね。
本来は低金利の住宅ローンを引いて、あえて融資で買いたいところです。しかし、将来的に収入が不安定ということならば、キャッシュフローが潤沢な今は貯めておいて将来買うというのもアリでしょう。
いずれにしても、高年収ゆえに取れる手段は多いです。自分に合った方法を選び、フローをストックに置き換えていくという大筋を守っていくことですね。
関連記事です。
年収600万からの住宅購入戦略です。
融資が閉まっており、ハードアセットを購入できる層は限られてきています。
どこかで資産を整理し、粛々と生活レベルを縮小していくというのも、もう一つの戦略ではあります。私もいずれはそうなるのでしょう。少欲知足は幸せの第一歩ですね。