銀行預金だけではリスクがある、というのは本当か
銀行預金は誰もが利用している金融サービスの1つです。かつては、定期預金を組んで、資産運用をすることも可能でした。しかし、それは20世紀後半までの話で、21世紀の今では資産運用はできません。多くの人たちは専ら、出入金を中心としたサービス利用になっています。
定期預金で資産運用ができないのは、言わずもがなですが低金利時代を迎えているからです。そのため、「銀行預金だけでは老後生活が不安だ」「老後に備えてしっかり資産運用をしなくてはいけない」という意見がよく聞かれるようになりました。それは、事実です。特に、20代~40代の人はそうでしょう。
ただし、50代以降になると「守りの資産運用」が大事になります。定年退職という出口が見えてくるからです。そうなると、資産背景を考慮しない、やみくもな「資産運用」はリスクがひときわ意識されることになります。
周りが「銀行預金ではお金が増えない!」と言うから、急いで何かを始めるというのは避けたいところですね。ケースバイケースがより意識されるのが50代以降ということになります。
さて、今回はその50代の方からのご質問を紹介します。
銀行預金中心の資産運用を見直し、6000万円を元手に投資にチャレンジ
はじめまして。これまで何度も相談させて頂きたいと思いつつ勇気がなくて…。今回思い切って相談させて頂きます。
老後資金についてです。現在夫56歳、私52歳。夫65歳の年金受給開始時点の老後資金は6000万円です。
(夫60歳での定年退職後~65歳までのパート収入、私の現在~65歳までのパート収入は収入に計上しておらず、夫60~65歳までの期間は貯蓄取り崩しの試算です。)
6000万をどうするかですが
- 1000万を銀行預金
- 2000万を10年変動国債
- 3000万を積立国際分散投資
にしようかと思っています。
夫が20年以上持っていた個別株が近年ようやくマイナスを脱し売却し、今後は個別株ではなく積立分散投資に切り替えたいと思います。
少し前に独立系FPの方に相談し、5~10年でemaxis slimの 国内株式 先進国株式 先進国債券 に均等に積み立てては。と提案頂きましたが、今のタイミング(こんなに株価が上がっている)で毎月25~50万を積立開始に躊躇してしまいます。ですがスタートしなければ積立は始まりません。そこでアドバイスお願いできますでしょうか。
①積立期間はどの位が妥当でしょうか。
②今は最終積立額を期間で割った3分の1だけ積立していき(それでも多い気がしてとりあえず各3万位にしとこうか。と思ってしまいます)、アメリカ経済減速と騒がれ始めたら積立増額、但し、株価が幾らを切ったら増額するかを予め決めておいて実行する(これはFPの方のアドバイスなのですが)。
などと考えますが、「いつスタートしても大差ない。良いタイミングは誰にも分からない」ので私のような素人は今から同一額を機械的に積立開始。が良いのでしょうか。
③1000万はemaxis slim先進国債券ではなくBNDにし、逆に割と短い期間に数回で購入はどうかと思いますが、BNDで問題なければどれ位の期間で購入したら良いでしょうか。
④分散投資3000万以外の部分のアドバイスもお願いできますでしょうか。
インデックス積立投資本を沢山読み、日本円だけ・銀行預金だけがいかにリスクがあるか納得しましたが、経済に関して全くの素人ですのでアドバイス頂けましたら有難いです。(夫の個別株は夫の父が好きで選んでくれていた物でした。) お忙しいところ恐縮です。どうぞよろしくお願い致します。
無理して銀行預金を崩さない姿勢が素晴らしいですね
守りの姿勢が素晴らしいですね。6000万円あって、ご主人が定年まで勤務をされるのであれば、年金+退職金で老後はまず安心ですよね。そうなると、投資をする必要性というのはほとんどないわけです。
独立系のFPさんも良心的ですね。意味の分からない保険をおススメしてこない、この時点でFPさんの目線がどこに向いているかわかります。
これから投資を始められるということですから、無理してBNDなどドル前提のETFを買わなくて良いように思いますよ。思い切りシンプルにポートフォリオを作るならば以下のようになるでしょう。
- eMaxis Slim先進国債券 60%~70%
- eMaxis Slim米国株式 40%~30%
これだと、2つの商品で完結します。新興国のアセットや日本株はこの際、入れなくても良いと考えます。ただし、利上げ局面なので、焦って債券を入れると、しばらくは値下がりリスクがあります。最終的な比率ということですね。
積み立て期間は、何がベストというのは無いですが、5年から10年というのは私も妥当と感じます。最初は10年のペースがよいです。おっしゃるようにゆっくりゆっくりです。慣れてきたところで増額すればいいですね。
1000万を銀行預金というのは、生活防衛的な意味合いで良い金額と感じます。また、変動国債ですが、為替リスクを避けるという意味では良いでしょう。ただ、先進国債の為替ヘッジ付の投資信託でもこの部分は良いです。
そう考えると、債券割合が相当大きいですね。でも、それでよいと考えます。いずれにしても、焦る必要が無いポジションをすでに築かれたわけですから、ゆっくり取り組まれるのが良いですよ。
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