金利上昇によって不動産価格は下がるのか
2024年7月30日、31日の金融政策決定会合によって17年振りの利上げが決定されましたね。これまでは変動金利と言いながらも、実態として変動しなかった金利です。しかし、これからは多くの方の返済状況に影響を与えるでしょう。
実際に私自身お世話になっている銀行さんから電話があり、今後の金利負担増についての説明を受けました。そこで今日は、利上げによる不動産価格への影響に関して確認していきましょう。
金利が上がると不動産価格が下がると言われる理由
一般的には金利が上がることによって不動産価格は下がると言われています。
金利上昇によって住宅ローンや不動産投資ローンの返済額が上昇し、マーケットを冷やすためです。平たく言うと、金利負担が重くなりお金を借りるハードルが上がるということです。
例えば借入額5,000万円、金利年0.4%、35年で借り入れをした場合どうでしょうか。もし1年後に1％金利が上がると返済額は約2.2万円上がります。2.2万円上がると年間では約26.4万円の支払い増になります。
利上げは物価の上昇、賃金の上昇と良い景気サイクルがあって行われるものです。しかし、今は物価高は実感するものの、賃金上昇を実感できていない方の方が多いのではないでしょうか。
金利上昇によって支払いが増加している一方で賃金は上がっていない、となるとどうしても物件価格にはマイナスの影響を与えてしまうことになります。
金利上昇をどのように考え、対策をしていくのか
不動産投資家や自己居住用で物件を購入したい方からすると、利上げはどうでしょうか。
直近の不動産価格上昇に対して歯止めがかかることを期待し、歓迎する側面もあるかもしれませんね。しかしながら、金利が上がるということは、ある意味融資を引き締めていく状況とも言えます。つまり、不動産投資家にとってはさらに新規が難しくなるということです。
不動産投資家の場合、利用するローンは不動産投資ローンになります。これは住宅ローンに比べると審査基準が厳しくなります。住宅ローンは国の施策に基づいた、比較的組みやすいローンです。
今までは人によっははフルローンに近い借り入れができたかもしれません。それが頭金を2～30%入れるのが当たり前になるかもしれません。要は、利上げは融資上はメリットが出にくいということです。
そうなると金利上昇によって物件価格が多少下がったとしても、当然買い手は少なくなります。頭金が必要になり、フルでの融資がつきにくいので購入しにくいというようになります。しかも金利も上がっているので毎月のキャッシュフローへも影響が出てきます。
不動産投資家の方がこれから下がるのを待って買うのは良い選択になる可能性はあります。しかし、そのためにはローンを使えるようにしておく必要があります。初心者の方は、まずは不動産投資ローンの借り入れができる金融機関の開拓を行っておくと良いでしょう。
とはいえ、自己居住用の場合は不動産投資ローンほどローンの状況が厳しくならないとみております。理由は、住宅ローンの審査は不動産投資ローンよりもそもそも厳しくなく、借り手の本人の属性状況に大きな影響を受けるからです。
そのため、金利の上昇による返済額の圧迫が、どこまで購入意欲に影響が出るのかという点が今後の注目材料となります。とはいえ、例えば希少価値の高いその街のランドマークになりえるような物件だと、一定コストが上がっても購入したい方がいます。
前に書いたように、立地が良く希少性のある物件は値下がりしにくく、価値がもともと下がりやすい条件の物件は下がる。このような二極化が起きても不思議はないですね。今もそうですが、さらに顕在化するということです。
すでに不動産を持っている方は、今売るとどの程度の価格になるかは適宜チェックしておくとよいでしょう。スマホでAI査定を行っているINVASE Pro(PR)は自宅や投資用マンションの資産評価を素早く行ってくれます。運営元は住宅ローンサービス、開発はモゲチェック運営のモゲ澤さんの会社です。
金利上昇は預金金利の引き上げにも繋がるため良い側面もあるのも事実です。ただし、不動産をこれから購入する方、既にお持ちの方は少なからず影響があるので注視していきたいところです。
金利上昇はゆるやか、あせらずいそがず
金利上昇は不動産価格に下落の影響を与えるのが普通です。物件価格の下落、あるいは停滞は、これから購入したい方にとっては歓迎すべき点かもしれません。とはいえ、米国とは違い動きは緩やかなものでしょう。過度に警戒する必要はありません。
とはいえ、物件を購入する際には多くの人がローンを使うことになります。金利の比較を事前に行い、相場観を養っておきたいですね。借入時に少しでも金利を下げておくと、さらなる上昇があったとしてもインパクトを下げられます。金利のある世界でも慌てず保有できる物件を選んでいきたいものですね。
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